輪島市の国名勝「白米千枚田」で8日、田植えイベントが行われ、全国のオーナー会員やボランティア約550人が、世界農業遺産「能登の里山里海」を代表する棚田に足を入れ、爽やかな汗を流した。新型コロナの行動制限がない大型連休となったため、うちオーナー会員は過去最多の約240人が集まった。参加者が一斉に作業するのは3年ぶりで、待ちわびた景色に喜ぶ人々の姿が見られた。
耕作ボランティア「白米千枚田愛耕会(あいこうかい)」のメンバーの指導の下、参加者は約580枚の水田にコシヒカリの苗を植えた。はだしになり泥の感触を楽しむ子どもの姿もあり、地元の高校生らも助っ人に加わった。
田植えイベントは、高齢化や担い手不足で耕作放棄地が増えた千枚田の景観を守るため1992(平成4)年に始まり、今年で31回目を迎えた。2年前はコロナで市民のみとし、昨年は完全予約制で午前午後に分散して実施した。
さいたま市から家族で参加した北島理喜枝(りきえ)さん(68)は「千枚田の景色が好きで、もう一度来たいと思っていた。子どもたちと一緒に田植えができるなんて、いい思い出になった」と笑顔を見せた。