TSMC工場「特需」に沸く熊本と台湾をラーメンで繋ぐ…熊本空港に台湾出身CEOのフードベンチャーが進出

Yo-Kai Express、阿蘇くまもと空港、台湾

Yo-Kai Expressのアンディ・リンCEO(左)と、桂花ラーメンで知られる桂花拉麺の中山雅光代表。熊本空港にて3月19日撮影。

撮影:村上タクタ

3月23日にリニューアルオープンする熊本の「阿蘇くまもと空港」に、台湾出身のCEO率いるシリコンバレー発のフードテックベンチャー「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」が進出する。

いま、熊本県では世界トップクラスの製造技術を持つ半導体企業・TSMCの工場建設が進んでいる。2024年12月の操業開始に向け、工場建設、道路整備、従業員向け住宅や、その子どもらが通うインターナショナルスクールの受け入れまでを急ぐ、さながら「TSMC特需」の様相だ。

Yo-Kai Expressが狙うのは「食」での貢献。空港で台湾グルメを24時間提供し、台湾と日本の友好関係に弾みをつける。

TSMC進出の一方で台湾食のサポートに危機感

Yo-Kai Express、阿蘇くまもと空港、台湾

自販機の設置場所は3月23日にオープンする熊本空港の新ターミナルだ。国内線と国際線が一体となった地上4階建てのビルは、床面積は以前の約1.4倍となる3万7800平方メートルに及ぶ。

撮影:村上タクタ

Yo-Kai Expressが熊本空港に設置するのは、ラーメン自販機だ。独自技術を用いて自販機内で調理するため、最短90秒で熱々の生麺タイプのラーメンが食べられるのがウリだ。

詳細は過去の記事に譲るが、アメリカではテスラの工場にも導入され、作業員たちの労働を24時間支えてきた。

日本には2022年に上陸し、羽田空港やJR上野駅、首都高のパーキングエリア、NTTのデータセンターなどに設置されている。

Yo-Kai Expressが関東圏以外に進出するのは今回が初めてだ。熊本空港への進出の背景には、Yo-Kai Expressの支援者のひとりで、熊本県出身の実業家・外村仁氏の活動がある。地域の盛り上げと、ビジネスチャンスの両面で注目したという。

「熊本空港に進出することになったのは、2つの理由があります。1つはせっかく熊本のラーメンをメニューに出すなら、熊本の地を盛り上げたいと思ったから。もう1つは、TSMCの工場進出で台湾の方がたくさん来るのに、スーパーやレストランなど彼らの食生活を支える体制が十分に整っていなかったからです。

これらを県庁に相談したところ、リニューアルする熊本空港に自販機を設置してほしいという話が持ち上がりました。

今回のことが台湾の皆さんへの食事面でのサポートが増える呼び水になり、また熊本でフードテックが発展していくきっかけになることを願っています」(外村氏)

台湾の「国民食」牛肉麺は一風堂らが開発

Yo-Kai Express、阿蘇くまもと空港、台湾

新メニューの「Taiwan ⽜⾁麺」。

撮影:村上タクタ

Yo-Kai Expressと熊本国際空港が話し合いを始めたのは、わずか1カ月半前の2月3日。そこからYo-Kai Expressにすでにメニュー提供している「一風堂」を運営する力の源ホールディングスと、その子会社の渡辺製麺、そして熊本のソウルフードともいえる「桂花ラーメン」で知られる桂花拉麺の3社がスタートアップ流の急ピッチで共同開発を進めたという。

用意した新メニューは2種類。桂花の「熊本とんこつラーメン」、そして台湾の国民食とも言われる「牛肉麺(ニュウロゥミェン)」だ。

牛肉麺は本場の味に近づけるため、台湾の人気店を食べ歩いて調査した。ポイントは、八角を利かせたオリジナルの醤油だれで柔らかく煮込んだ牛肉だ。

TSMC工場に台北間のチャーター便も

熊本城

熊本城ライトアップのイメージ。

出典:熊本市HP

3月23日と26日には熊本と台北を結ぶチャーター便も就航する。運行は台湾の大手航空会社・中華航空(チャイナエアライン)だ。熊本県の蒲島郁夫知事は定期便化を目指す考えも示しており、これを記念して、熊本城の天守閣を台北市の市旗の色である赤、黄、緑、青のカラーにライトアップすると発表している。

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