【初心者向け】ECサイトの作り方の手順から注意ポイント・おすすめ本まで徹底解説

ECのミカタ編集部

ECサイトの作り方はビジネス規模で変わる

ECサイトの作る方法には、カートASPやクラウドEC、パッケージ、オープンソースなどがあります。どの方法を選択すべきかどうかは、ビジネス規模によって変わります。まずは個人か法人か、次にECサイトの年商を基準として、利用するプラットフォームを選択すべきでしょう。
以下では、ビジネス規模に応じたECサイトの構築方法について紹介します。

①個人の場合は無料カートASPから始めるのがおすすめ


個人でECサイトを開設する場合、無料のカートASPがおすすめです。カートASPとは、オンラインでアプリケーションを利用できるプラットフォームです。サーバーへのインストールなしでECサイトを構築できます。代表的な無料カートASPには、BASEやSTOERSなどがあります。

無料カートASPは、初期費用、月額費用ともに無料です。はじめのうちは売上の予測がたたないため、わずかな固定費でも打撃になりかねません。コストを抑えてスモールスタートしたい方は無料ASPから始めてみるとよいでしょう。

②年商1億未満の企業は有料カートASPから始めるのがおすすめ


法人でECサイトを開設する場合、売上のめどがたっていないのであれば有料カートASPがおすすめです。代表的な有料カートASPには、MakeShopやShopifyなどがあります。有料カートASPは、月額制となっているケースが一般的です。安いものでは月額1,000円前後ですが、高いものでは月額50,000円を超えるプラットフォームもあります。有料カートASPは、無料カートASPよりも機能が充実しており、本格的なECサイトを立ち上げられます。

法人で運営するのであれば、月額費用の負担は大きなコストにはならないうえ、将来的な拡張性にも優れているため、有料カートASPを利用するとよいでしょう。

③年商1億円以上の企業は「クラウドサービス」「パッケージ」「オープンソース」を検討


法人でECサイトを開設する場合、年商1億円以上の売上が見込まれるのであれば、クラウドECやパッケージ、オープンソースなどがおすすめです。代表的なプラットフォームには、ecbeingやEC-orange、ebisumartなどがあります。

パッケージやオープンソースは拡張性の高さが強みです。ECサイトの規模が大きくなるにつれて、独自の要件やシステム連携が必要となるため、拡張性の高いプラットフォームを選ぶことが大切です。

また、クラウドECはオンラインでアップデートを完了できるため、最新性を維持できます。つねに最新のシステムを利用できることは、セキュリティやユーザビリティの面においても重要です。

ECサイトをオープンさせるまでの手順

ECサイトをオープンさせるまでの手順は、プラットフォームによって異なります。中には、サーバーの用意のように準備が必要となるケースもあるため、事前にチェックしておくとスムーズに構築できるはずです。

以下では、ECサイト構築の手順について紹介します。

カートASPの場合


カートASPは、手軽さをウリにしているプラットフォームです。そのため、構築の手順もシンプルです。

カートASPに登録する
ログインに必要なメールアドレス、パスワード、ECサイトのURLを設定する
テンプレートを選び、デザインを決める
商品を登録する

カートASPの場合、最低限の設定のみでECサイトを開設できるよう、システムが組まれています。複雑な手順を踏まずにECサイトを開設できるため、初心者の方にもおすすめです。

カートASPでECサイトを作るメリット


カートASPのメリットは、価格と手軽さです。無料のカートASPが多く、有料のプラットフォームも月額数千円ほどで利用できるものがほとんどです。また、同じくコストを抑えられる方法としてオープンソースがありますが、オープンソースはサポートがないため、専門的な知識が求められます。一方、カートASPは基本的な機能はデフォルトで備えており、構築においてWeb制作に関する知識やノウハウは必要ありません。

カートASPでECサイトを作るデメリット


カートASPのデメリットは、柔軟性の低さです。コスト重視の簡易的なプラットフォームであるため、オープンソースやパッケージと比べると、デザインや機能の柔軟性に欠けています。
テンプレートの編集に制限があったり、機能の追加ができなかったりと、ECサイトを運営する中で不便を感じることもあるかもしれません。はじめに要件を洗い出しておき、対応できそうなプラットフォームを選ぶことが大切です。

パッケージ・クラウドの場合


パッケージやクラウドECは、既存のシステムを組み合わせて利用するプラットフォームです。構築には3か月から半年ほどかかります。

要件定義をして仕様書を作成する
システムを設計する
システムを開発する
システムをテストする

パッケージ・クラウドでECサイトを作るメリット


パッケージやクラウドECのメリットは、機能性の高さです。要件定義やベンダーの提案からプロジェクトを開始するため、ニーズに応じたプラットフォームを構築できます。カートASPの場合、必要な機能を備えたプラットフォームを選択しますが、パッケージやクラウドECはクライアントに合わせたセミオーダーメイドです。
また、同じくオーダーメイドタイプの構築方法にフルスクラッチがありますが、フルスクラッチに比べると大幅にコストをカットできる点も魅力です。

パッケージ・クラウドでECサイトを作るデメリット


パッケージやクラウドECのデメリットは、コストの高さです。初期費用の目安は300万円以上となっており、場合によっては1,000万円近くかかるケースもあります。また、パッケージはシステムの老朽化もデメリットとしてあげられます。サーバーにインストールして利用するため、ベンダーによる自動アップデートなどはありません。アップデートの際には別途費用をかけて依頼する必要があります。

オープンソースの場合


オープンソースは、ソースコードを無償で公開しているプラットフォームです。ITリテラシーやWeb制作のノウハウさえあれば、オープンソースのソフトウェアを利用して、みずからECサイトを構築することも可能です。

サーバーを準備する
ソフトウェアをインストールする
各種設定やサイトのデザインをする
商品を登録する

オープンソースでECサイトを作るメリット


オープンソースのメリットは、コストの安さと柔軟性の高さです。ソースコードが無償で公開されているため、プラットフォームの利用料がかかりません。一部のオープンソースは有料プランを設けているものの、基本的には無料で利用できます。

また、ソースコードの改変も認められています。そのため、自身でコーディングしてデザインや機能を編集できるうえ、世界中のエンジニアが開発したプラグインをインストールして新たな機能を実装することも可能です。

オープンソースでECサイトを作るデメリット


オープンソースのデメリットは、セキュリティ面のぜい弱性です。ソースコードを公開する性質上、悪意をもったハッカーにも内部のシステムを知られてしまいます。そのため、ソースコードを公開していないプラットフォームに比べて、セキュリティ面がぜい弱である点は否めません。

とくに、個人情報や決済情報を取り扱うECサイトの場合、情報漏えいが大きな問題となりやすい点にも注意が必要です。オープンソースのソフトウェアを利用するのであれば、技術力のある制作会社に依頼すべきでしょう。

ECサイトを作る際に注意したい3つのポイント

ECサイトを作成する際、構築方法やデザインの工程があります。開設前の段階ではありますが、売れるサイト設計ができていなければ、ローンチ後に失敗しやすくなります。準備のタイミングから集客や顧客体験を意識することが大切です。

以下では、ECサイトを構築するうえで注意すべきポイントについて解説します。

商材・サイト規模に合った構築方法を選ぶ


前述のとおり、ECサイトの構築方法は多種多様です。どんなプラットフォームを利用すべきかどうかは商材やサイト規模によって異なります。たとえば、定期購入商品やBtoB販売を取り扱う場合、対応していないカートシステムも少なくありません。

また、安価なカートASPは一度に大量のアクセスがあると処理できない可能性もあります。システムエラーによって機会損失が発生するリスクもあるため、要件やサイト規模に応じてプラットフォームを選択すべきです。

ユーザー視点でデザインする


ECサイトをデザインする際は、つねにユーザー視点を意識することが重要です。商品を探しやすいか、購入までのフローはわかりやすいかなど、ECサイトを訪れたユーザーが利用しやすい設計を目指しましょう。

デザインが洗練されていたり、豊富な機能を備えていたりしても、商品の検索・購入の方法がわかりにくければ離脱されやすくなります。顧客体験を第一に考える意識がないと、ユーザビリティに欠けたサイトになってしまいます。

改善しやすいサイト設計にする


ECサイトを運営する中では、ユーザーの意見や反応をもとに改善を図ることも必要です。Googleアナリティクスやヒートマップなどのデータを参考にして、サイト改善に向けたPDCAを繰り返しましょう。

たとえば、Googleタグマネージャを活用すると、個々のページのHTMLを編集せずにタグを一元管理できます。はじめに管理体制を整えて、改善しやすいサイト設計にしておくこともポイントです。

ECサイトを作る際に参考になる本

近年ではECサイト制作が非常にポピュラーになっています。もともと物販を手がける法人はもちろん、個人でもECサイトを開設するケースが増えています。しかし、ECサイトの構築や運用には知識やノウハウが必要です。そこでECサイトの開設に際して、本から情報を得るのがおすすめです。

以下では、ECサイトをつくる際に参考になる本について紹介します。

新人IT担当者のための Webサイト 構築&運営がわかる本


ECサイトの構築や運用における基本をまとめた書籍です。
タイトルのとおり、初心者向けにわかりやすく解説する内容となっています。イラストや図解が多い点が特徴的です。必要な知識、具体的なノウハウを含めて、ECサイトについて横断的に学習できる一冊です。

気付けばプロ並みPHP 改訂版-ゼロから作れるようになる


PHPでECサイトを制作するうえで参考になる書籍です。PHPはWeb制作に適したプログラミング言語です。初心者でも比較的理解しやすく、本書を参照すれば基本的なサイト構築はできるようになるでしょう。ただ、発行年が2017年のため、一部情報が古くなってしまっている点に注意すべきです。

すっきりわかるJava入門


JavaでECサイトを制作するうえで参考になる書籍です。Javaは、OSに依存せず動作する言語のため、iOSやAndoroidを問わず安定したパフォーマンスを発揮できます。処理の速さやセキュリティの面においても優れていて、ECサイトの構築にも向いています。

先輩がやさしく教えるEC担当者の知識と実務


ECサイトを運営するうえで必要な知識や実務を理解できる書籍です。とくにECモールを利用したショップ運営を中心としています。Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングの3大モールをメインに解説しており、モールを含めて検討している方におすすめです。チャネルごとの特性を理解するには最適な一冊です。

成功するネットショップ集客と運営の教科書


ECサイトの作り方だけでなく、構築後の集客やロイヤリティ向上までを含めて解説している書籍です。売れるECサイトの特徴を60のポイントとして列挙しており、読み進めるうちに要点をおさえた運用ができるようになるはずです。初心者はもちろん、ECサイトの運営に悩む中堅担当者にとってもヒントになるでしょう。

はじめてのネットショップ 開店・運営講座


ECサイトの構築から運用までを、講座形式で解説している書籍です。商品紹介ページの作成方法などを実践形式で学べる点も特徴的です。具体的なノウハウを身につけられるため、EC運営の即戦力にもなれるでしょう。

小さな会社のWeb担当者・ネットショップ運営者のためのWebサイトのつくり方・運営のしかた 売上・集客が1.5倍UPする プロの技101


中小事業者や個人向けに、ECサイトの構築や運用について解説している書籍です。
中小規模のECサイトは、大規模なサイトに比べて、流入の確保やファンの育成が難しいため、本書は参考になるでしょう。とくに集客や販促についての情報が充実しており、SEO施策や分析ツールの利用方法なども学べる一冊となっています。

まとめ

ECサイトの作り方は、ビジネスの規模によって適切な方法を選択すべきです。プラットフォームごとの特徴やメリット・デメリットを把握しておくと、選びやすくなるはずです。また、ユーザー視点や運営中の改善を意識したデザインを組むと、売れるECサイトを構築しやすくなります。本やネット上の情報を参考に、しっかりと準備したうえで土台を構築することが大切です。


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