MRJ、16日から英で初の展示飛行も…「2強」覇権争いで埋没の懸念

 国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の針路に暗雲が漂っている。航空機メーカー2強の米ボーイングと欧州エアバスが、小型機部門の強化に乗り出したためだ。三菱航空機は、英国で16日始まる世界的な航空見本市でMRJの展示飛行を初披露するが、開発にてこずる間に競争の構図が激変し、今後の受注に苦戦する恐れが強まってきた。

 ボーイングは今月5日、ブラジル航空機大手エンブラエルの民間機部門を傘下に収めると発表した。エアバスは一足早く、カナダ航空機大手ボンバルディアの小型機部門を1日に買収完了しており、これに対抗するのがボーイングの狙いとみられる。

 150席以下の小型機市場では、エンブラエルとボンバルディアが計8割のシェアを握るが、格安航空会社(LCC)の広がりや新興国の経済成長から、市場規模の拡大が見込まれる。

 日本航空機開発協会の予測では、ジェット旅客機の運航機数は2017年からの20年間で8割増の約3万9900機に伸び、新規納入の半分以上を169席以下の機種が占める見通し。この需要を取り込むのが三菱航空機のもくろみだ。

 しかし、航空機2強の覇権争いが小型機分野まで飛び火したことで、「MRJが埋没する」(証券アナリスト)懸念が深まった。

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