2018-06-26

Hagex-day.Infoが「故人サイト」になってしまたことを受け入れられない

「故人サイト」という本がある。

 慣れ親しんだブログサイトが突然更新されなくなっても、多くの場合理由など分からないが、その本に出てくるサイトは、タイトル通り、管理人の死去によって「故人サイト」になったものばかりである

 例えば主が病没した場合家族などがその旨を報告すれば、読者は悲しいけれどブログ主との別れを受容することになる。

 刑事事件や不慮の事故海外旅行先の病気などで命を落とされても、報道された人物と、ブログに綴られた情報とのシンクロに誰かが気づくことによって、多くの読者がブログ終焉理由を知るに至るケースもある。

 まさか、私が最も長い期間読んでいたブログが、これ以上ない衝撃的な形で、NHKトップニュースになるような(6/26朝)経緯で、「故人サイト」の仲間入りをしてしまうなんて。


 6月25日朝7時、いつものように「Hagex-day.Info」をチェック。更新されていない。予約投稿であろう「本日一曲」もない。

 いつだったか、数日単位更新がなかったときは、「Hagex心配する人の声まとめ」みたいなのもできる位マメに、精力的に更新されていたブログなのだが、朝イチでは更新されていないことは時にあるので、この時点ではいもの朝だった。

 25日の朝9時前、Twitterトレンドに「hagex」を発見し、「へ~、何で?」と見に行ってみたら、とても信じられない、悪夢のような文字が。字は読める、意味は分かるのだが頭が理解しなかった。

 確かに地元福岡で24日夜に勉強会をする旨を彼は告知していたが、まさか

 Twitterで「この被害者Hagexさんでは」という書き込みを読み進め、「福岡セミナー講師が刺された」「講師とはHagexさんだったらしい」ということは飲み込めたが、「刺殺」ってなんだ。もう生きてないのか、死んじゃったのか。

 どうしても飲み込めなかった。とてもじゃないが咀嚼できる情報じゃなかった。

 刺された人がいたとしても、「人違いでした」というオチ絶対にあると思っていた(”ロング・グッドバイ”みたいに、仕組まれ替え玉じゃないか…と。代わりに死ぬ人がいなければ成立しない、酷い願望なのに本気で考えた)。

 タブレットに表示されたHagexさんのお顔、お名前、知りたくなかった。知る必要なんてなかった。Hagexさんが自ら開示されるならともかく、いったい誰が、こんな形で彼の素顔を知りたいと考えるだろうか。

 25日は他の事が手につかなかった。たまたま仕事を休んでいたのは幸いだった。26日の朝も、目覚めてすぐに「あれは夢だったのでは?」と思った。

 

 夢ではなかった。


 Hagexさんのブログは04年4月から始まったらしい。

 私が読み始めたのはいつ頃だっけ?と、記憶に残る最も古い記事検索してみたら05年のこれ。

  http://hagex.hatenadiary.jp/entry/20050813/p1

 この少し前から読み始めていると思うので、約14年間の「Hagex-day.Info」の歴史のうち、約13年間、ほぼ毎日読み続けていたことになる。

 きっかけは発言小町だったと思う。

 その頃よく発言小町を読んでいたのだけど、Hagexさんやトピシュさんの言うところの「もやもや」を抱くことが多い。

 「いや、これ創作でしょ」「これ、トピ主が変でしょ」等々、突っ込みを入れて楽しみたかった私が見つけたのが「Hagex-day.Info」だったのだ。

 その他、発言小町まとめサイト複数あったのだけど、小町運営会社から抗議があったらしく、ある時期に全てなくなってしまった。

 Hagexさんも、「小町運営会社からはてな削除依頼があったが、削除依頼があってもきちんとユーザーサイドの意見を聞いてくれるのは大変嬉しかった。」と仰っていた。

 その後、ブログ批判したサイト運営会社から名誉毀損信用毀損」を理由削除要請があった際も、即削除することなく、ユーザー意見を聞いてくれたはてなに対し、「ユーザーに対して誠実な対応をしてくれた、はてな感謝!」と綴られている。

 それらを読んでいたので、私も「はてな」には良い印象を持っていた。


 Hagexさんのブログ、ごく初期は普通日記、その後は発言小町から抜粋発言小町から転載が禁じられて以降は2ちゃんねるからコピペが多くの割合を占める。

 事件で初めてHagexさんのブログを訪れた人は、「ただのまとめサイト管理人じゃん。何を騒ぐことがあるのか」と思ったりするのだろうか。

 そういう方(はてなにそんな人はいいか…)は、是非右側の「人気記事」に並ぶエントリークリックしてほしい。特にFacebookバカばかり」とか。

 私は、2ちゃんから転載別に嫌いじゃないし、読み物として読んでいた。面白いと思ったものブックマークもした。

 しばらくの間は、「Hagexさんは、時折投入する渾身のエントリーをより多くの人に読んでもらうために、せっせとまとめサイト的な投稿をしてるのだろう」と思っていたのだけど、「三度の飯よりインターネットが大好き」な彼は、まとめ的投稿結構楽しんでいるのだろう、と考えるようになった。

 でも、Hagexさんの真骨頂は、やはり時折アップされる舌鋒鋭いネット批評

 Hagexさんのお蔭で、仕事子育てに追われる私も、「デマは怖い。デマは、面倒でも火消ししなければすぐに広がってしまう」とか、「これ、掘って行ったらココと繋がるのか。やばいよね」等、ネットと、それに連なる世間の怖さを垣間見ることができた気がする。

 あるいは、TwitterRTされてきて、「何これ、こんな安い話によく食いつくよね」と鼻白む思いで見たサイトが、Hagexさんによってコテンパンに貶されているのを読んでスッキリしたり。

 「“落としどころ”なんて言葉はオレの辞書にはない」と言わんばかりの、どこまでもしつこく、容赦ない筆致に、「これ、食いつかれたら大変だわ…」と嘆息することもしばしばだった。

 一方、Hagexさんの映画音楽評は実にユーモラスで、「観て(聴いて)みようかな」と思わせるものだった。Hagexさんのエントリーが切っ掛けで観た映画は少なくない。

 その中でも最も素晴らしく、紹介してくれたHagexさんに感謝しているのは「ザ・フォール 落下の王国である

 ハゲ子の社畜ぶりを自嘲するエントリー最近飼い始めた「猫先生」を含む、Hagexさんの身辺雑記も楽しかった。

 そういえば、「古本屋さんで買った本にかなり昔の写真が入っていた。アップしたら持ち主が見つかるかな?」というエントリー写真とともにアップされていたこともあった。「写真、アップしちゃって大丈夫?」と思う一方、「Hagexさんロマンチストなのかな」と微笑ましく感じたエピソードだった。


 Hagexさんは福岡出身で、貶しながらもこよなく故郷博多弁を愛していること、タバコが大嫌いなこと、小児を性の対象にする行為断じてさないこと(当たり前の事ではあるけど、これに関しては殊に強いHagexさんの意思を感じた。)など、ブログを通じてHagexさんの人となりが、断片的にだけど見えてきたような気もしていた。



 そんなHagexさんが、故郷で開催する初めての勉強会、その終了直後に問答無用で殺されてしまうなんて。

 あれほどネット上の戦いに精通し、危機管理に自信を持っていたように見えた彼が、理不尽暴力の前にはあまりにも無力だった(というか、誰だって無力だ)。

 Hagexさんは、容疑者とされる人物が、自分と同郷だということを知っていたのだろうか。


 酷すぎて、酷すぎて。

 使い古された言葉だけど、これまでの人生で使う機会もなかった言葉だけど、「神も仏もないものか」という叫びが、私の中で暴れ続けている。

 心中で叫ぶだけでは、やりきれなくて辛いので、心の赴くままにだらだらと綴ったのがこのエントリーです。

 東京で行われた一回目の勉強会結構本気で行きたかったのだが、幼い子を持つ身なので諦めていた。「これから勉強会を定例化するのであれば、いつか行く機会もあるだろう」と思っていたが、その機会はもう訪れない。私はHagexさんに会えない。

 「落下の王国、素晴らしくてソフトも買っちゃいました!」と、なぜコメントを入れなかったのか。

 明日明後日も、ずっと続くはずの日常は、いとも簡単に、あっけなく断ち切られるものでもある。その理不尽さに、恥ずかしながらこの歳になって初めて接した気がする。

 十数年の間、ブログへのアクセスが毎朝の日課だったので、今朝もつアクセスしてしまった。「注目記事」のトップにある記事タイトルにまた悲しい気持ちになる。

 「お前は一体彼の何だからこんなに湿っぽい記事をアップするのだ」と問われれば、「スミマセン、コメントも1~2度つけただけの一読者です」としか言えないのだけど、「それなのに、どうしてこんなに辛いのかな、悲しいのかな。」と自問自答しながら、べそべそと泣きながら、Hagexさんにこの駄文を捧げます


 日常どころか人生を、あっという間に断ち切られてしまったHagexさんはどれほど無念だろう。「安らかに」なんて白々しく言える心境じゃない…と思いつつも、それでもHagexさんの眠りが安らかであることを祈らずにはいられない。

「長い間、本当にありがとうございました。どうか安らかにお眠りください」

  • キモいんだよ お前もさっさとHagexの元へゆけ

  • 岡本顕一郎氏を偲ぶならわかる。ブログで個人叩きをしていた酷いとしか言いようがないhagexを偲ぶのは本当にわからない。 増田は自覚のないいじめっ子だ。気をつけた方がいい。

  • 13年もHageXに毒されていたなんて、これこそ、お気の毒にと言わざるを得ない。

  • 「ネットウォッチはゲスな行為である」と言う認識が本当にないんだな。 「ゲスブログだけど、面白いよね」「ここを読んでるなんて他人にはとても言えないようなブログだけど、こっ...

    • 全く同意。ゲスなのはいい。増田は自分のゲスさ加減に自覚がないということが問題。 増田はお子さんへの教育だけは気をつけて下さい。

      • いや本当に、元増田は子供にどういう教育をしているのか。 子供に「ママはこのサイトが大好きなんだよ」って言えるのかな。 ママ友に「面白いサイトあるよ!」って紹介できるの? ...

    • 週刊誌読むのと同じ感覚で、ブログを惜しむのに「ゲスだ」と敢えて言及する必要ないでしょ 特にHagexブログは日頃から何度も「自分のブログはゲス」って書いてたんだから、2005年から...

  • >そんなHagexさんが、故郷で開催する初めての勉強会、その終了直後に問答無用で殺されてしまうなんて。  あれほどネット上の戦いに精通し、危機管理に自信を持っていたように見え...

  • 同感 子育て仕事に忙しい日々で残った、数少ない毎日見るサイト 現実は遠いんですが、非常に身近な存在でした 悲しすぎる

  • ありがとうありがとう 同じ思いでいますが辛くて吐き出すこともできません ハゲ子さんがみんなに愛されていたのだと思うと多少気が楽になりました

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