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スタンリー・キューブリック監督が「2001年宇宙の旅」のラストについて語る貴重な映像が公開されて話題に

by Matthew J. Cotter

シャイニング」「2001年宇宙の旅」で知られるスタンリー・キューブリック監督に、テレビ番組ディレクターで超常現象研究家で知られる矢追純一氏が1980年に電話インタビューを行った映像が発見されました。このインタビューでキューブリック監督は、かねてより解釈について議論が続いていた「2001年宇宙の旅」のラストシーンについて明確にコメントしていて、世界中の映画ファンが注目しています。

The End of ‘2001: A Space Odyssey’ Explained By Stanley Kubrick
http://screencrush.com/2001-a-space-odyssey-ending-explained-by-stanley-kubrick/


スタンリー・キューブリック監督の作品「シャイニング」の撮影が行われたエルストリー・スタジオで火事が多発していたというウワサを耳にした矢追氏が「これは超常現象ではないか」と考え、1980年に人気深夜番組「11PM」の企画として実際にエルストリー・スタジオを訪れ、キューブリック監督とその娘であるヴィヴィアン・キューブリック氏にインタビューを行いました。

この企画自体はお蔵入りになってしまったようですが、その時に撮影された映像のテープが、海外のUFO研究家である故ウェンデル・C・スティーブンス氏のコレクションから発見され、2016年に海外オークションサイト・eBayに出品されました。そして、2018年6月29日に落札者によってその全容がYouTubeで公開されました。

From a rare unearthed Stanley #Kubrick interview with Jun'ichi Yaoi: https://t.co/XRjTU1h6qE

“The footage comes from a tape that was auctioned on eBay in 2016. It finally surfaced online!”

Many many thanks to the original uploader! https://t.co/lixBJXRnoX

— Cinephilia & Beyond (@LaFamiliaFilm)


アップロードされた映像は以下のムービーで見ることができます。

The Shining - unseen interviews with Stanley Kubrick & Vivian Kubrick, 1980 (Jun'ichi Yaoi / 矢追 純一) - YouTube


エルストリー・スタジオに到着する矢追純一氏


矢追氏はまず、ワーナー・ブラザーズの副社長だったジュリアン・シニア氏と会見。シニア氏の背後には「シャイニング」のポスターが貼られています。


オリジナルの「シャイニング」のフィルムを見るシーンも。


矢追氏はシニア氏とスタジオを訪れた後……


制作オフィスへ向かいます。


そこで矢追氏が会った女性はキューブリック監督の三女のヴィヴィアン・キューブリック氏。キューブリック監督作品にも俳優やスタッフとして参加していて、「シャイニング」ではメイキングの撮影を行ったり、ボールルームの幽霊としてエキストラ出演をしています。


ヴィヴィアン氏が取り出しているのは、NASAが人工衛星用に開発したレンズでキューブリック監督が映画撮影に利用したカール・ツァイスのプラナー50mm/F0.7。キューブリック監督が「バリー・リンドン」でロウソクの明かりだけで撮影するために入手して改造したレンズで、世界に数本しかない貴重なもの。


続いてヴィヴィアン氏が案内したのは、キューブリック監督の撮影に使われた小道具やさまざまな記録を収めた資料室。


「バリー・リンドン」の衣装や……


「2001年宇宙の旅」冒頭で猿が登場するシーンで、フロントプロジェクションによる撮影で使われたスチール写真のパネルなど、貴重なアイテムが映ります。


そして、キューブリック監督のオフィスにもカメラが入ります。


編集室でヴィヴィアン氏にインタビュー


さらに矢追氏は、メディア嫌いで知られたスタンリー・キューブリック監督へのインタビューにも成功。ただし、「カメラに映るのはいやだ」とのことで電話越しでのインタビューです。


このインタビューでは、矢追氏は「シャイニング」のラストシーンについて尋ねている他、「2001年宇宙の旅」のラストシーンについても質問しています。「2001年宇宙の旅」はSF作家のアーサー・C・クラーク氏とキューブリック監督が共同でストーリーを制作した作品で、「宇宙船ディスカバリー号の船長であるデヴィッド・ボーマン船長の前にベッドルームとモノリスと老人が唐突に現れる」というラストシーンは、その解釈を巡って長年議論が重ねられました。このラストシーンについて、キューブリック監督が直接コメントすることはほとんどなかったため、この電話インタビューでのキューブリック監督のコメントが注目を集めていて、インタビュー部分だけを抜粋したムービーも有志によって公開されています。

Stanley Kubrick on the meaning of the ending of 2001 in a rare 1980 interview - YouTube


インタビューの中でキューブリック監督は「ラストシーンのアイデアとしては、ボーマン船長が神のような存在、形のない純粋なエネルギーと知性を持った生命体に取り込まれたと考えていました。ラストシーンのあの部屋は、ボーマン船長を観察し研究する動物園のようなものです。船長のすべての人生があの部屋を通過し、船長は時間を超越した存在になります」と語っています。

また、ベッドルームのデザインについては「知的生命体は、フランスの建物を不正確に複製した部屋を用意しています。動物園の動物が、人間から『人間が自然環境の複製だと信じている環境』を与えられているのと同じことです」とコメント。「ボーマン船長はある種の超存在に変化し、地球へ送り返されます。彼が地球に戻った時に何が起こるのかは想像にお任せします。これは多くの神話に見られるパターンで、私たちもそういうものをアイデアとしてまとめたというわけです」とキューブリック監督は語っています。

by William Beutler

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in 動画,   映画, Posted by log1i_yk

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