マーケターズ・ロード 紺野俊介 #02

新卒で入社した会社を1年で辞めた理由と、創業者・高山雅行との出会い【前・アイレップ社長 紺野俊介】

前回の記事:
「インターネットの未来に、希望を持ち続けてほしい」―紺野俊介、アイレップ社長退任に寄せて

新卒1年目で、上司のある発言から転職を決意

 私は、これまでのキャリアで一貫して「世の中の役に立ちたい」という意識を念頭に置いていました。その上で重視してきたのは、規模と貢献度です。

 例えば、目の前にゴミが落ちていたら、もちろん拾ったほうがいいけれど、それだけでは街全体はキレイになりません。ポイ捨てに罰則をつけるなどの法整備、清掃工場を運営して大規模な清掃活動、捨てたゴミがゴミではなくなるようなイノベーションなど、さまざまなアプローチがあると思いますが、ある程度の規模感をもって、世の中に貢献することが大事だと考えているのです。

 新卒として、社会に出たのは2002年。

 当時の私は、ユーザーとしてインターネットをかなり活用していましたが、ビジネスでは「インターネットよりもITのほうが、世の中を大きく変え、生活を豊かにするインフラになり得る」という感覚を持っていました。

 最初に入社したEDS(エレクトロニック・データ・システムズ)は、米国の実業家 ロス・ペローが、GMからIT部門を分離して設立したITアウトソーシングサービス企業。当時のグローバルランキングで、業界1位がIBM、2位がEDS、3位が富士通だったと記憶しています。



 社会インフラたるITを担うエンジニアとしての自分の可能性を模索したい、そんな思いで入社したのですが、結果的には1年強で同社を去ることになります。

 その理由はいくつかありますが、もっとも大きな理由は、自分の目指すあり方と会社の評価制度との不一致です。年に一度、上司から受けるフィードバックで「紺野のやり方は、お客さまからは評価されるけれど、会社からは評価されない」と言われたのです。

 自分の未熟さゆえに、それに対する回答を持ち合わせなかったという部分があります。しかし、私は「顧客の要望」「自分の行動」「会社としてのベクトル」がすべて一致する場で仕事がしたいという思いを強く持っていました。

 たかだか1年目の社員がどれだけのことを成し得たのかはわかりませんが、1年間必死に走った結果、それがお客さまの評価につながっても、会社からの評価にリンクしないのなら、継続して働くことは難しいと判断しました。

 そして、EDSでの経験が、私がアイレップに至るきっかけをつくりました。

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