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サッカー日本代表のツイッター事情がブラジル大会から4年で激変していた

徳力基彦noteプロデューサー/ブロガー
普段ピッチでは見られない素の表情が見られるのもツイッターの魅力でしょう。(写真:ロイター/アフロ)

 まだ昨日のことのようにコロンビア戦の興奮が思い出される今日この頃。

 今大会では、何人もの日本代表選手がツイッター経由でファンに感謝の言葉を投稿しているのが印象的です。

 特にこの長友選手がコロンビア戦の試合後に投稿した写真なんかは、まさに選手が直接SNSに投稿できる時代だから見られる裏側と言えると思いますし。

 昨日は、本田選手が「気持ちは分かるし、僕は味方ですからね」と意味深なツイートを投稿して話題になり、複数のメディアに取り上げられたりしています。

 参考:本田圭佑、ネット上での批判に「気持ちは分かるし、僕は味方ですからね」とツイート

 そんな中、個人的にふと気になったのが「あれ?サッカー日本代表の選手って、こんなにツイッター使ってたっけ?」ということ。

 2014年のブラジルW杯の時は、正直あまり日本代表選手がこういう投稿をしていたのを見た記憶がありません。

 ちょっと気になったので調べてみました。

■日本代表選手のツイッター利用率は倍増

 まず単純比較で言うと、日本代表選手のツイッターの利用人数は倍増しています。

■W杯日本代表選手によるツイッター利用率

・ブラジルW杯  23選手中 7人

・ロシアW杯   23選手中 15人

 ただ、さらに特徴的なのは、投稿の傾向。

 4年前のブラジルW杯の期間中に、上記の7選手によるツイッター投稿は・・・なんと0件でした。

 もちろん、過去の投稿なので削除されたのかもしれませんが、少なくとも現時点で遡る限り、7選手とも大会期間中の投稿はありませんでした。

 現時点で唯一発見できたのは、香川真司選手の大会直前の写真と、酒井選手、斉藤選手の大会後の投稿のみ。

 前回大会は今回のように勝利の歓喜を表現するタイミングがなかったからなのかもしれませんし、ひょっとしたら、前回のブラジルW杯期間中においては、日本代表選手はSNS投稿が禁止なり抑制されていたのかもしれません。

 それが今回は、明らかに状況が違います。

 選手達が投稿している写真の多くは明らかにオフィシャルの写真のようですし、おそらくはサッカー協会なりから公式の写真素材が配布されて、選手が自分が好きな写真をツイッターに投稿できるようにしてくれているのではないかと想像されます。

(例えば香川選手の投稿したこちらの写真は、私が先日書いた記事のヘッダーに使ったロイターの写真と同じものです

■ロンドン五輪で加速したスポーツ選手によるSNS活用

 実は、筆者の勤めるアジャイルメディア・ネットワークでは、2012年のロンドン五輪の際にオリンピック選手のソーシャルメディア利用状況を調査したことがあります。

参考:AMNがスポーツ選手のインパクトランキングを発表

 2012年のロンドン五輪においては、IOCが選手達に積極的にツイッターでの情報発信を促したことで、初のソーシャルメディア五輪と注目されたこともあり、北島康介選手をはじめとする男子競泳が全員ツイッターの公認アカウントを取得しているなど、非常にスポーツ選手によるSNS活用が進んだ年でした。

参考:ソーシャル五輪 新たな観戦の可能性開く

 ただ、この時も実は、女子サッカーのなでしこは利用率が高かったのですが、男子サッカー選手のツイッター利用率はかなり低かった記憶があります。

 そのため、個人的にはちょっと残念な気がしたりもしましたし、2年後のブラジルW杯でも冒頭に書いたように日本選手はほとんどツイッターを活用していませんでした。

 それが、昨年、本田圭佑選手がツイッターアカウントを開設して話題になったことにも象徴されるように、ブラジルW杯からの4年間で、男子のサッカー選手においてもツイッター活用に対する意識や利用状況は、大きく変わっていったようです。

参考:本田圭佑、ツイッター始めた理由語る 「学んだことを伝えた方がいい」

 いまや、23人の代表選手中15人、つまり3分の2の選手がツイッターアカウントを保有しており、香川選手や本田選手を初めとした8人の選手がコロンビア戦後に感謝の投稿をしているわけです。

 4年前のブラジル大会では0投稿で、こんな選手とサポーターのつながり方が不可能だったことを考えると、激変したと言って良いでしょう。 

 そんな選手達のツイッター投稿はNHKの記事でも取り上げられていたりしますし、冒頭の本田選手のようにメディアのネタになったりしているわけです。

参考:サッカーW杯 日本代表選手 SNSでサポーターに感謝

■プレイだけでなくツイッター投稿でもダントツは長友選手

 そんな日本代表選手の中でも、特に印象的な投稿を続けているのが長友選手です。

 長友選手はパラグアイ戦の前に髪の毛を金髪に染め、自ら「スーパーサイヤ人になってチーム救いたい。。」と投稿したことで大きな話題を呼びましたが、W杯が開幕してからもその積極的な投稿姿勢は継続しています。

 まず、コロンビア戦勝利のなんと「30分後」に、早くもサポーターへの感謝をテキストのみで投稿

 試合後30分というと、タイミング的にはロッカールームに戻ってスマホを持ったらすぐに投稿したのではないか、と思われるぐらいの早さです。

 さらにその3時間後には、冒頭のバスの前での集合写真を投稿。

 この同じ写真は、その後乾選手と昌子選手も投稿してますから、長友選手がリードしてツイッター用の集合写真を撮ったと想像されます。

 

 さらにさらに、その12時間後には「みんなで掴んだ勝利。この感情を表現する言葉が出てこない。」とオフィシャル写真4枚を投稿。

 これ、時間的にはロシアは朝6時みたいですから、朝起きて改めて喜びを噛みしめていたのではないかと思われます。

 

 さらには、そのまた6時間後に香川真司選手と「nice goal」とコメントした二人のツーショット写真を投稿。

 現地時間はお昼のようなので、ランチにでも車で移動するところだったのでしょうか。

 選手ならではのサービスショットと言えるでしょう。

 長友選手は、コロンビア戦においても、日本人選手の中でもダントツで長い距離を走っていることが印象的でしたが、ある意味、試合後のツイッター投稿でも日本代表の先頭を走り続けていると言えるかもしれません。

 先日、スポーツにおけるツイッター活用法についての記事を書きましたが、長友選手のツイッター活用のスタイルは、スポーツ選手によるツイッター活用の1つの理想型と言っても良いように思います。

参考:川淵会長に気づいて欲しい、スポーツにおけるツイッター活用のあるべき姿

 もちろん、人によってはSNSに写真投稿している余裕があるなら、次の試合に集中しろと思う人もいるかもしれませんし、全選手がこうしたコミュニケーションを義務として実施する必要はありません。

 ただ、我々サポーターからしたら、こんな嬉しい幸せのお裾分けは、ツイッターがなければあり得ない話でもあります。

 是非、ツイッターを利用されている日本代表サポーターの皆さんには、テレビの向こうで真剣にプレーしている選手達の、素の声とそのままつながれる楽しさを、しっかり味わって頂きたいなと思う次第です。

 ちなみに、日本代表選手のツイッターアカウントの一覧は、こちらのページにまとめてみましたので、是非皆さんも気になる選手をフォローして、応援の言葉を贈ってみて頂ければと思います。

参考:サッカー日本代表選手のツイッターアカウントまとめ(ロシアW杯編)

 現在は、日曜日深夜に控えたセネガル戦に向けて各選手とも集中を高めているようで、当然ながらほとんどツイッターへの投稿は見られませんが。

 改めてセネガル戦後にも、そしてその後にも、選手達の歓喜の声をツイッター上でも見られることを楽しみにしたいと思います。

noteプロデューサー/ブロガー

新卒で入社したNTTを若気の至りで飛び出して、仕事が上手くいかずに路頭に迷いかけたところ、ブログを書きはじめたおかげで人生が救われる。現在は書籍「普通の人のためのSNSの教科書」を出版するなど、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についてのサポートを行っている。

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