名医に聞いた「わが家の『常備薬』」この組み合わせが最強です

自宅の「薬箱」を見せてもらいました

病気になれば、薬局に駆け込み、店員にすすめられたものを買う。これでは病気の治りも遅い。賢い市販薬との付き合い方を、プロが教える。

最も評価が高かったあの風邪薬

「基本的に、特許の切れた薬や、臨床の現場で長い間使われたものが市販薬になります。逆に言うと、効能が証明されているものしか市販薬にはなりません。

一方、新しい薬は医師の処方箋がないと買えない。また、市販薬になったばかりの薬は製薬会社が開発コストを回収するために、高額化しやすいのが特徴です。

しかも、それが良い薬とは限らないのです。医薬品は他のサービスと違って、価格が高いことが体に良いこととイコールではありません。

古い市販薬は開発コストも回収し終えたから安いのであって、効能が低いわけではない。ロングセラーの市販薬にも十分な効能があり、安心して使えるものも多いのです」(皮膚再生医療の専門医で、セルバンク代表の北條元治医師)

医療の最前線で働く現役の医師たちは、最先端の医薬品を使っているかというとそうでもない。彼らも普通の人だ。激務の合間に医師にかかることもままならず、薬局の市販薬で病気の症状を抑えることはよくある。

ただし、専門家だけに、自分で買って飲む薬とそうでない薬を明確に分けている。本誌が前号で名医が実際に飲んでいる市販薬の「実名リスト」を掲載したところ、大きな反響があった。

そこで今回は、名医13名に「自宅の薬箱」を実際に見せてもらった。彼らが常備している薬の中から市販薬の「最強の組み合わせ」を紹介しよう。

 

まずは最も一般的な病気である風邪の薬。毎年のように新商品が発売され、それなりに値段も張る。しかも、本誌6月16日号で報じたとおり、一部の風邪薬は、長期間飲み続けることで認知症のリスクを高めることが英国で指摘されている。

実際、パブロンやルル、ベンザブロックといった総合感冒薬を常備薬にしている名医はほとんどいなかった。マイシティクリニック院長の平澤精一医師が言う。

「市販の風邪薬は症状を緩和する成分が入っているだけです。ひき始めから3日以上経って、高熱が出てきた場合は、特殊なウイルスや細菌が原因と考えられますので、医療機関に行ったほうがいいでしょう。

しかし、初期症状の風邪のときは、私も漢方薬を使うことがあります。発熱症状があり、脈が早い場合は、葛根湯を飲めば大きな間違いはないと思います」

名医13名中、実に4名が葛根湯を風邪の初期に飲むと口を揃える。具体的な商品名として葛根湯エキス顆粒A(クラシエ薬品)が挙げられる。

地域医療の専門家で、さくらクリニック院長の石代誠医師が話す。

「私も家族も風邪のひき始めには葛根湯を飲むことが多いです。頭痛や鼻炎の軽い症状が出たときにも使います。体をリラックスさせる効果もある漢方薬です。

また、市販薬には処方薬にないタイプの薬もあります。たとえば、のどに直接スプレーするのどぬ~るスプレーEXクール(小林製薬)は患部に直接スプレーできて便利です。抗菌抗炎症作用もあるので、わが家の常備薬の一つです。のどの調子が悪いときにはすぐにスプレーしています」

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