積み替え貨物ゼロ続く アジアから日本向け 那覇港管理組合 関連予算1億5000万削除


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歳入歳出決算を賛成多数で可決する那覇港管理組合議会=21日、同議場

 那覇港の長期構想を検討している那覇港管理組合が取り扱う、アジアから日本本土向けの国際貨物を中継するトランシップ(積み替え)がない状態が続いている。同組合は2019年度予算に盛り込んだ船会社誘致費などの関連予算1億5千万円を全額減額し、既に那覇市と浦添市から支出された交付額計6千万円を返還することを決めた。20日に開かれた那覇港管理組合議会で同組合が明らかにした。

 那覇港管理組合が03年に策定した現行の港湾計画は、北米・欧州航路の大型母船が那覇港に貨物を積み降ろしし、アジアの各港向けに仕分けして小型船で輸送する国際貿易港の構想。トランシップ貨物は年間約45万TEU(20フィートコンテナ45万個分)を取り扱う需要予測を立てた。

 同組合は国際トランシップ貨物を取り扱う外航船社に費用支援する「那覇港輸出貨物増大促進事業」を17年度から5年計画で実施するが、初年度に委託料などで2100万円使用したものの、定着した船社はなかった。本年度は1億5千万円の予算を見込んだが、実際の交付額は6千万円にとどまった。

 20日の議会では議員から「現行計画の需要予測は過大で、そこに固執している。港湾計画を立てたときと現状は大きく違ってきている」(渡久地修県議)などの指摘があった。

 田原武文常勤副管理者は「計画を達成できていない状況を踏まえ、港湾計画の中でトランシップについてはしっかり考え方を整理していきたい」と述べ、需要予測を見直す考えを示した。

 那覇港管理組合によると、新たな港湾計画は那覇軍港の浦添市への移設協議がまとまり次第、那覇港の長期構想検討委員会で議論する。トランシップについては需要予測を下方修正し、20万TEUとすることも検討しているが、上海や高雄、釜山などの近隣国の国際港が中継地として多くの貨物を既に取り扱っており、競争力の面などから需要予測についてはなお厳しいとの見方もある。