Googleがユーザーの「検索意図」を予測して、検索結果を変化させていることは多くの人が知っているだろう。
たとえば、「SMAP SHAKE」と検索すると、一番上にYoutubeの動画が表示される。
検索ボックスの下のタブに注目してほしい。
「すべて」のすぐ右に「動画」があるのがわかるだろう。
これは、
「『SMAP SHAKE』で検索するユーザーは動画を求めているだろう」
とGoogleが判断し、「動画」を左に寄せたのだ。
「渋谷 イタリアン」で検索すると、今度は地図が一番上に出てくる。
タブは「すべて」の横に「地図」が配置され、検索画面上に営業時間やGoogle上の評価までもが表示されるようになった。
Googleの目的は、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」である。
その目的の中には、人々がより便利に、より使いやすく、より時間がかからずに必要な情報を取り出せるようにすることも含まれている。
世の中には無数のウェブサイトが存在するが、ユーザーが自社のサイト上に滞在する時間を短くすることに命を賭けている会社はGoogleだけだろう。
もはや単純な質問ではウェブページを踏む必要すらなくなっている。
ページまで踏まなくても、検索だけで解決してしまうのだ。
Googleがページを踏ませず、検索結果上に答えを表示させようとしていることは、ずいぶん前から感じていた。
しかし最近はGoogleのウェブページを理解する能力がより向上し、多少複雑な疑問にも検索結果上で答えられるようになってしまったのだ。
「石原さとみ 彼氏」の検索結果にはしっかりと前田裕二さんの名前が出てくる。
そしてさらに驚いたのは、「渋谷 コインロッカー」で検索したら、ウェブページの要約(見出し部分をまとめたもの)まで表示されていたことだ。
それも写真と一緒に。
Googleの進化は検索結果だけにとどまらない。
iPhoneアプリのGoogle Mapで何気なく宿泊予定のホテルを検索したら、自分が予約したホテルの宿泊日程やチェックイン・チェックアウト時間がGoogle Map上に表示されていた。
iPhone上でGoogleアカウントは共有されているので、GoogleがGmailの内容を解析して、Google Map上に僕の予定を表示してくれたのだ。
これでわざわざGmailを遡ってチェックイン時間を調べなくても良くなった。
Googleが整理する情報はウェブの情報に限らない。
僕たちの個人的な情報すらも整理し、より簡単にアクセスできるように進化しているのだ。
無論、この進化はユーザーにとって歓迎すべきものである。
一方で、ブロガーやウェブサイトの作成者はGoogleの進化を眺めながら、自分のブロガーとしてのスタンスを変化させていく必要がある。
というのも、Googleは今後もより一層、
「ユーザーがウェブを訪れなくても答えがわかる」
ように進化することが予想され、そうなると当然、SEOに依存したPV獲得戦略の効果は薄くなってくる。
その影響がすぐに現れるとは思わないが、Googleの進化の影響を受けにくいサイトを意識することは重要である。
では僕たちブロガーにできることは何か?
指名読みしてくれるファンを作ること
「加藤はいね」さんというブログ界の冨樫義博のような人がいる。
年に一回も更新しないが、出たブログは全て最高の作品として記念碑的に崇められている。
「加藤はいね」はGoogleの影響など微塵も受けない。
というのも、彼女のブログは検索など全く意識されておらず、読者もただただ彼女の文章が大好きで読みに行っているだけなのだから。
加藤はいねさんのような才能を持つブロガーは今後10年現れないとは思うが、
Googleの影響を受けにくくするためには、加藤スタイルから学べることが多くある。
その心は、
「指名」
である。
「検索でヒットした記事から良さげなものを探したい」
ではなく、
「この人の記事を読みたい」
と思ってもらえるようになれば強い。
そのように指名を受けるためには、読者と信頼を築く必要があり、そのためには自分の全力クオリティのコンテンツを発信し続けなければならない。
Googleの検索結果はパーソナライズ(個人に対して最適化)されるため、指名が多いブログはファンの方の検索結果にも表示されやすくなるはずだ。
また、Googleからの流入が減ったとしても、入ってきたユーザーにブログ内を循環してもらえるようにサイトの導線を作っておき、また関連する記事を充実させるのも有効な施策だと思う。
このような10年先も生き残るためのノウハウは『Googleアドセンス マネタイズの教科書』でめちゃくちゃ詳しく解説されているので、ぜひ一度読んでみてほしい。
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関連記事:【感想】『Google AdSenseマネタイズの教科書』が神本である5つの理由
関連記事:「加藤はいね」という怪物。
「ブログか動画か」は本質ではない
最近ツイッターでは
「ブログはオワコン、人は動画に流れる」
と主張する人が増えている。
しかし、「これからの発信はブログか動画か」などと単純化して考えるのは本質的ではない。
大事なのは、「自分が何を伝えたくて」「それをユーザーに最も伝えやすい表現方法は何か?」を考えることだ。
たとえば僕のツイッターは料理アカウントとして活動しているが、料理のレシピを伝える場合は、ブログよりも動画が適している。
文字だけで見るよりも動画で伝えた方がユーザーに料理方法が伝わりやすいからだ。
同じように、サッカーのドリブルの仕方やバスケのシュートフォームを学びたいときも、ブログよりも動画が適しているだろう。
一方で、何かのノウハウを伝えたい場合は動画よりもブログのほうがユーザーに優しい。
文字のほうが必要な情報を検索しやすいし、ユーザーの時間を奪わないで済むからである。
動画かブログかと単純に考えるのではなく、漫画で表現してもいいし、音声で伝えてもいい。
大事なのは、何が最も読者にとって費用対効果が高く、何をすれば自分の伝えたいことが的確に伝わるかを考えることなのだ。
発信方法は手段に過ぎない。
少し話がずれるが、ユーザーは「暇つぶし」でウェブを使う場合と、「必要な情報を取得するため」にウェブを使う場合がある。
「暇つぶし」でブログを見るユーザーはたしかに減ってきているし、娯楽が溢れている今、面白いブログを読んで探して回るようなことはしないだろう。
「ブログがオワコン」というのは、「暇つぶしツールとしては今後縮小していく」という文脈においては正しい。
しかしYoutubeをやれば勝てるかというと、これも「指名」がないと厳しいだろう。
というのも、今ではAmazonプライムやNetflixで無数の良質なコンテンツを見ることができるし、「暇つぶし」という土俵で戦うなら「テレビ」や「ゲーム」も競合となる。
そう考えると、「指名」して動画を見てくれるファンいないような人がいきなりYoutubeを始めたとしても、強力な競合に歯が立たず、労多くして功少ない結果に終わってしまう可能性が高い。
「可処分時間の奪い合い」は完全なるレッドオーシャンで、競合に勝つためには「指名」でコンテンツを見に来てくれるファンを作っていかなければいけないのだ。
表現技術を複数持つこと
Googleがユーザーの意図を読み取って、最も適した結果を表示するように進化している、と冒頭で紹介した。
Googleが基準が全てではないが、僕たち自身も表現方法を複数持っておく必要はあるだろう。
ブログも一つの手段。
動画も一つの手段。
読者が欲しい情報を最もわかりやすく、伝わりやすく表現できるツールに習熟しておくとよい。
「○○がオワコン」と思考停止するのではなく、常に「読者にとって便利な表現方法を模索するスタンス」こそが大事になるのだ。
もちろん、競合と差別化してファンをつけるためには自分の適性も考える必要があるだろう。
その先の結果として、Googleに自分のコンテンツが表示されやすくなったり、ファンが増えたりして、露出の拡大につながってくるのだ。