イヌが飼い主の注意を引きたがっているとき、たいていはきちんと伝わるものだ。彼らは体をなでてほしいときにごろりと寝転がったり、食べ物が欲しいときに前足で飼い主の脚をつついたりする。
学術誌「Animal Cognition」に発表された新たな論文によると、飼い主に自分の要望を伝えるために、イヌは少なくとも19種類のジェスチャー(身ぶり)を使いこなしていることが明らかになった。たとえば前足でつつく、首をかしげるというジェスチャーの組み合わせは、「外へ行きたい」と解釈できるし、食べ物を要求するための組み合わせも存在する。(参考記事:「犬は人が見ると「悲しげな子犬の顔」をすると判明」)
「イヌと、イヌがわたしたちに求めていることを、もっと深く理解したかったのです」。今回の研究のリーダーで、英マンチェスターにあるサルフォード大学の大学院生、ハンナ・ワーズリー氏はそう語る。(参考記事:「音声学者がネコ語の研究を本格始動」)
イヌはすぐれたコミュニケーション能力を持っており、「類人猿と似たようなことをしますが、彼らはそれを種の壁を越えてやっているのです」(参考記事:「【動画】おねだりしあうエビと魚、微笑ましい光景」)
イヌの「共通言語」
指示的ジェスチャーとは、言葉を使わずにメッセージを伝える行動だ。人間を含む類人猿の間では一般的に見られるもので、人間の赤ちゃんも親の注意を引くときにこれを使う。霊長類以外では例が少ないが、最近の研究ではワタリガラスもこうした行動を取ることがわかっている。(参考記事:「カラスは親切な少女に贈り物をするのか?」)
指示的ジェスチャーの定義においては、メッセージの送り手が自分の体の一部または物を使って要求を伝えることが必須とされる。ジェスチャーは受け手に向けられており、反復によって学習される。また、あくまでその行動自体は「物理的に効果を持たない」ものでなければならない。
「指示的ジェスチャーは意図を持って行われるものです」とワーズリー氏は言う。
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