まさかのうっかりミス?! 沖縄・沖縄市議会 委員会で全会一致も本会議で与党が否決 アリーナ建設巡る請願


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委員会で全会一致で採択された請願は本会議で一転、反対多数で否決された=8日、沖縄市議会議場

 【沖縄】委員会では与野党全会一致で賛成が本会議では一転、与党の反対多数で否決―。与党側の意思疎通ができていない中で8日の沖縄市議会は迷走した。6月定例会の最終本会議があったこの日。ある請願を巡り、委員会採決を無視するような本会議の結末に、複数の議員から「何のための委員会か」と批判の声も上がった。

 請願は、沖縄市が計画を進める多目的アリーナの実施設計に疑義があると指摘し、市議会での審議をやり直すよう求めて市民が提出していた。2月定例会から総務委員会で継続審議され、慎重に議論を重ねてきたはずだった。

 アリーナ建設は、桑江朝千夫市長の重要施策の一つだ。市長を支える与党からすれば請願には反対するシナリオを描いていた。ところが採決すると与党も含めた全会一致の賛成。「疑義がある」との請願を与野党そろって可決したのだ。委員の一人は「うっかりとしか言いようがない。委員長との調整もできていなかった」と漏らす。

 最終本会議では、委員長報告に対する質疑や討論はなく、賛成した与党の総務委員が反対に転じ、反対多数で否決となった。

 総務委員の野党市議らからは「委員会は会派の代表の場。その決定を軽視している」と不満が噴出。閉会前に議会運営委員会が招集された。

 総務委員の与党市議は「(与党の委員間で)齟齬(そご)があり全会一致になった。その後会派で検討し、違う結論になり、委員会としていい流れではなかった」と釈明。議会運営委員らに「反省し、今後につなげたい」と述べた。

 国会や県議会、多くの地方議会では、議案などの慎重な議論のために委員会制が採用されている。照屋寛之沖国大教授(政治学)は「本会議で採択がひっくり返ってしまえば、結局は数の論理になってしまう」と指摘する。「委員会が形式的になってしまっているのではないか。緊張感が欠けていたとしか思えない」と苦言を呈した。