コーディングが得意じゃなくても、BitcoinやDogecoinのほか、ニッチな仮想通貨が増え続けている様子を見ていて、「自分でも仮想通貨を作れるのでは」と思ったことはありませんか?

結論からいうと、仮想通貨は自分で作れます。ただし、はじめる前に考えなければならないこと、注意すべきポイントがいくつかあります。

コインとトークンの違いを知る

まずは、コインとトークンの違いを知ることが重要です。どちらも仮想通貨ですが、Bitcoin、Litecoin、Dogecoinなどのコインは、独自のブロックチェーン上で運用されています。一方、トークンは、Ethereumなど既存のブロックチェーンを利用しています。ブロックチェーンとは、ひとことで言えば取引の記録であり、ネットワークで保護されています。

つまり、コインは独自の取引台帳を有しており、トークンは取引や所有権の検証・保護を、その基礎となっているネットワークのテクノロジーに依存しています。一般的にコインは富の移動に使用されますが、トークンは物理的な物からイベントチケットやショッピングポイントに至るまで、あらゆるものの「契約」を意味することが多いです。

トークンはしばしば、「イニシャル・コイン・オファリング」(ICO)と呼ばれるクラウドセールによって、既存のコインと引き換えに発行されます。これにより、ゲーミングプラットフォームやデジタルウォレットなどのプロジェクトが資金調達をするのです。ICOの終了後も、コインを買うのと同じように、基礎となっている通貨を使って購入すれば、トークンを公に入手することができます。

トークンの作成やクラウドセールの実施は、誰にでもできます。しかし、クリエイターが投資家のお金を持ち逃げするなど、ICOには徐々に暗雲が立ち込めています。米証券取引委員会(SEC)がICOを厳しく取り締まるようになり、トークンは株式と同様、規制対象の有価証券として取り扱われるようになりつつあります。SECは投資家に対し、ICOでローンチされたトークンを買う前に、自分でリサーチするように警告しています。

CoinMarketCap」のリストによると、この記事を執筆している時点で、895のコインと679のトークンが公開で取引可能です。ただ、トークンは必ずしも交換を目的としておらず、Ethereumアナリティクスを提供するEtherscanのアーカイブには、71,000を超えるトークンがあるそうです。専門家は、仮想通貨市場は不安定ながらも、今後さらに多くの人がアイデアを採用するようになり、成熟を続けるだろうと考えています。

仮想通貨の概念そのものは、誰でもコードにアクセスできるところにあります。だからといって、理解が容易なわけではありません。以下に、あなただけのコインやトークンを作る方法を紹介しましょう。

ブロックチェーンを自分で作る

どちらにしても、かなりの技術的知識、あるいは技術に精通したデベロッパーの助けが必要です。コインは独自のブロックチェーン上に存在するので、ブロックチェーンをゼロから作るか、既存のものを利用して新コイン向けに改造するかのどちらかしか方法はありません。前者には本格的なコーディングスキルが必要であり、そのためのチュートリアルは存在しているものの、ある程度の知識レベルを前提にしており、完全に機能するコインを完成させることは困難です。

あるいは、GithubでたとえばLitecoinなど既存のブロックチェーンのオープンソースコードを見つけ、多少の変更を加え、新しい名前(Garlicoinなど)を付けるだけで、新たなブロックチェーンをローンチできます。ここでも、変更すべきポイントやその理由を知りたければ、コードを理解しなければなりません。

仮想通貨作成プラットフォームを使ってコインやトークンを作る

一般的な人には、この方法が現実的でしょう。作成サービスに技術的な部分をお任せしてしまえば、完成したコインまたはトークンがあなたのもとに届きます。たとえば「CryptoLife」では、実際にカスタムコインを作ってくれます。ロゴや1ブロックに署名すると、もらえるコインの数などのパラメーターを入力だけでOKです。さらにシンプルに、名前とシンボルだけで済むテンプレートも用意されています。このサービスの基本料金は0.25BTC(記事執筆時点で2002.00ドル)で、数日以内に新コインのソースコードをもらえます。WalletBuildersも同様のサービスを0.01BTCから提供しており、無料のテストバージョンも利用できます。

トークン(基本的にスマートコントラクト)は、公開ICOをしてもしなくても作れます。トークンは、「コンサートチケット」「投票権」「クラウドセールによる資金調達」「物理通貨」など、どんな資産の代理にもなりうるため、実際には価値のないトークンも、友人どうしの取引でない真面目な目的のトークンも作ることができます。BitcoinやEthereumで使用されている既存技術に依存するので、独自のブロックチェーンが不要であり、コインを作るよりも早くてシンプルで安価です。

一般的な商品の1つが、Ethereumブロックチェーンを利用した「ERC-20」トークンです。意欲的な人はこのトークン契約クラウドセールのためのコードを入手できますが、そのプロセスを跳び越えられるユーザーフレンドリーなプラットフォームが存在します。

たとえば「CoinLaunch」のCoinCreatorでは、Ethereumネットワークに接続するためのMetaMask拡張機能をブラウザに追加し、ウォークスルービデオに従うだけで、トークンを作成し、ICOをローンチできます。このプラットフォームは、投資家向けにボーナスや受給権スケジュールを作成したり、クラウドセールなしでトークン契約をローンチしたりといったオプションを用意しています。トークン契約プロセスは無料ですが、CoinLaunchが各ICOから手数料を取ります(調達した資金の額に応じて4から10%)。

仮想通貨に興味があるなら、トークン契約で実験をしてみても罰則はありません。たとえばCoinLaunchを利用して、ERC-20トークンから始めてみてください。友達に分配したり、バーでドリンクを買う人に渡したりしてみましょう。金銭的価値や責任は伴いませんが、技術的側面を理解し、トークンの仕組みを知ることができると思います。本気でないなら、ICOは避けておいたほうが無難です。なぜなら、虚偽に対する規制や罰則が強化されつつあるからです。

プログラミングスキルがなく仮想通貨を自作できない場合

コーディングの経験はないけどトークンじゃ満足できず、本当の価値を持つコインを作って、より多くの人にマイニングや売買をしてもらいたいというあなたは、デベロッパーを雇うといいでしょう。サービスを利用して自分の通貨を作るにしても、必ずメンテナンスが必要になります。この作業は決して安くなければ、リスクがないわけでもありません。Redditの「r/coindev」や「CodementorX」などのサイトで、あなたのプロジェクトに合った仮想通貨デベロッパーを見つけることができます。

仮想通貨プロジェクトのローンチを成功させるために重要なのは、仮想通貨の技術的な作成だけではありません。コインやトークンに価値を与えること、インフラの構築と維持、誰かに買ってもらうことなど、ほかにも大変なことはたくさんあります。Garlicoin、Dogecoin、PepeCoinなどのmemeコインでさえ、テクノロジーを安定に保ち、コミュニティを飽きさせないために、デベロッパーやユーザーに向き合うチームを有しています。

ICOが誠意をもって行われなかった、コインが継続的な関心を生むことができなかったなど、失敗に終わる仮想通貨は数知れず。法的に疑わしいものもたくさんあります。「shitcoin」という言葉が存在するのもうなずけます。


Image: REDPIXEL.PL/Shutterstock.com

Source: Masterthecrypto, Fortune, Wired, CoinMarketCap, EtherScan, Coin Telegraph, Hackernoon, Bitcoin Talk, Crypto Life, WalletBuilders, GitHub, Ethereum(1, 2), Meta mask, Coin Launch

Emily Long - Lifehacker US[原文