ハードウェア

ゲーム機に貼られている「剥がすと保証は無効」シールについて任天堂やソニーが保証を見直し


家庭用ゲーム機やコンピューターなどに貼られている「剥がすと無効」のシールは、ステッカーを剥がすと製品保証が受けられなくなるというものです。メーカー以外の第三者による分解・解析を防ぐためとして当たり前のように貼られていますが、実は違法なものであるとして、長らく問題視されてきました。そんな違法であると知りながらも長年にわたって「剥がすと無効」シールを使い続けてきたメーカー側に対して、2018年4月に不公正な取引を監督・監視する機関であるアメリカの連邦取引委員会(FTC)が警告書を送付したことが明らかになっていたのですが、この警告により任天堂やソニー、ヒュンダイといったメーカー側が保証内容を更新したことが判明しています。

Hyundai, Nintendo, and Sony have updated their warranties following warnings from the FTC - The Verge
https://www.theverge.com/2018/5/13/17349568/hyundai-nintendo-sony-updated-warranties-ftc-warnings

電子製品の本体などに貼られている「Warranty void if removed (このシールを剥がすと保証は無効)」の封印シールが違法でありながらなぜ使われ続けてきたのかについては、以下の記事を読めばよくわかります。メーカー側の目線としては「意図しない修理や改造が行われたハードウェアまで保証できない」という主張が見えてくるわけですが、これはアメリカのマグナソン・モス法により禁じられている行為であり、FTCも封印シールが違法であると明言していました。それでもメーカー側が封印シールを使用していたのは、消費者側が裁判を起こしても取り戻した金額よりも裁判費用のほうが高くなってしまうため、泣き寝入りせざるを得ない状況だったからと考えられています。

「剥がすと無効」の封印シールは違法なのにMicrosoftやソニーなどが使い続けている理由とは? - GIGAZINE


そんな中、2018年4月になってついにFTCがメーカー側に「剥がすと保証が無効になると警告する封印シールは連邦法に違反している」という警告を出すと共に、大手企業6社に対して違法性を指摘し慣行を止めるようにとの警告書を送付しました。

プレステ・Xboxなどで横行する「剥がすと保証は無効」のシールは違法だとFTCが大手企業に警告書を送付 - GIGAZINE


FTCが警告書を送付したのはASUS、HTC、ヒュンダイ、Microsoft、任天堂、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の6社だったのですが、任天堂およびソニーが警告を受けて自社ハードウェアに関する保証条件を更新したことを発表しました。

SIEは保証条件の更新を以下のページで発表しており、「当社の以前の保証は、製品がSIEによって供給またはライセンス供与されていない周辺機器と共に使用される場合、保証が適用されないとしていました。しかし、当社の新しい保証では、ライセンス供与されていない周辺機器を使用した際に起きた製品の『損傷』時のみ保証が適用されないと記載されています」としています。また、「以前の保証では製品の保証シールが変更または削除された場合は保証が適用されないと述べていましたが、最新の保証では製品の開封に起因する損傷、またはSIEの代理人もしくはSIE認定サービスプロバイダ以外の者のサービスによる損傷には適用されないと記されている」と、封印シールを剥がした場合の保証範囲も変更されていることを明かしています。

Warranty Updates for U.S. and Canada PlayStation® Systems
https://support.us.playstation.com/articles/en_US/KC_Article/Warranty-Updates-for-U-S-and-Canada-PlayStation-Systems


同じく任天堂も保証内容を変更しており、これまでは「製品が任天堂が販売またはライセンス供与していない製品で使用されている場合、保証は適用されません」と記されていたのですが、最新の保証では「任天堂が販売またはライセンス供与していない製品が損傷している場合、保証は適用されません」と変更されています。

Nintendo - Customer Service | U.S. Warranty Text |
https://www.nintendo.com/consumer/manuals/warrantytext_eng.jsp


さらに、ヒュンダイも保証内容を変更したことを自動車専門メディアのCar and Driverに明かしています。

なお、FTCから警告文を送付された6社は30日以内に回答する義務があり、怠れば法的措置を受ける可能性もあります。

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in ハードウェア,   ゲーム, Posted by logu_ii

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