教材費も不適切経理 沖縄県内の高校吹奏楽部 県教委、全校に調査指示


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 県立小禄高校吹奏楽部の顧問らが県費から役務費として支出した「楽器調整費」を不適切な経理で業者にプールしていた問題で、役務費だけでなく学校の教材費も業者にプールされていたことが関係者の話で分かった。同校は合唱曲集の購入費として2015年度と16年度にそれぞれ約12万円、17年度に約19万7千円を計上しており、その一部がプール金に回った疑いがある。平敷昭人県教育長は12日取材に応じ、役務費に関する不適切な経理があったことを認め「誠に残念だ」と述べた。県教育委員会は小禄高校以外でも不適切な経理がなかったか調べるため、全県立学校と出先機関に調査を指示した。

 教材費は県費とは異なり、保護者が支払う学校徴収金が財源となっている。

 問題を告発した元副顧問の男性教諭によると、合唱曲集は生徒の人数分に当たる約140冊を購入するとして、教材費から業者の口座に支出された。業者から納品書も受け取ったが、納品されなかった。授業では合唱曲集を生徒に配布せず、古い合唱曲集を使い回していたという。一方、業者は琉球新報の取材に「注文の冊数より少ない数を納品し、差額をプール金に回した」と主張している。

 県教委は業者への聞き取りを行っており、県費や教材費の流れを調べている。

 この問題を巡り、元副顧問は不適切な経理に加担したことなどが原因で休職に追い込まれたとして公務災害の認定を申請し、告発文も提出しているが、県教委は「公益通報制度の手続きにのっとった通報は受けていない」と説明。同制度での調査ではなく、公務災害申請に伴って問題が発覚し、調査しているとの認識を示した。元副顧問は県警にも不適切経理について相談している。