山形・国宝「羽黒山五重塔」と神秘的な参道 現世の道を行く

山形・国宝「羽黒山五重塔」と神秘的な参道 現世の道を行く

更新日:2019/10/17 12:50

mikami kaoriのプロフィール写真 mikami kaori アナログ&スケッチイラストレーター、ほっこり旅ブロガー
羽黒山・月山・湯殿山の三山からなる山形県の出羽三山。それぞれの山は、現在・過去・未来を表し、この三山を巡ることは、“生まれかわりの旅”といわれています。
出羽三山の中で、現世にたとえられる羽黒山には国宝の美しき五重塔があり、多くの参拝客が訪れています。現世の幸せを願いながら、羽黒山五重塔までの参道をゆっくりと歩いてみませんか。

現世の幸せを祈りつつ神秘的な参道を行く

現世の幸せを祈りつつ神秘的な参道を行く

写真:mikami kaori

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現世を表わす山、羽黒山の参拝は、出羽三山神社社務所そばにある随神門から出発し、三神合祭殿がある山頂まで2446段の石段を登り下りする、片道1時間ほどのお参りです。(車で山頂まで行く道も整備されています。)

しかし、五重塔までなら、随神門からゆっくりのんびり写真を撮りながら歩いて片道20分ほど。随神門からすぐ始まる長い石段の登り下りは多少キツいですが、杉並木と石段の風景がとても神秘的で美しいので癒されますよ。

現世の幸せを祈りつつ神秘的な参道を行く

写真:mikami kaori

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季節折々の出羽の草花に彩られた羽黒山。現世の幸せを祈りつつ参道をゆっくりと歩いてみましょう。

現世の幸せを祈りつつ神秘的な参道を行く

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参道の途中には、昔、三山詣での人々がその川で身を清めたといわれる祓川が流れ、その川には朱塗りの神橋がかかっています。羽黒山の神秘的なほど清々しい緑色と鮮やかな朱色の橋が織りなす風景は、とても美しい眺めですね。

自然と溶け合うかのような感覚を楽しもう

自然と溶け合うかのような感覚を楽しもう

写真:mikami kaori

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羽黒山五重塔が建つエリアは、羽黒山中で最も低い谷にあります。そのため、随神門を出発してから五重塔までの道のりは、山の中へと降りていく・入っていく感覚です。

自然と溶け合うかのような感覚を楽しもう

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それはまるで、羽黒山の自然と溶け合うかのような不思議な体験。ぜひじっくりと味わってくださいね。

羽黒山五重塔は“お山”を愛し信仰してきた人々により守り継がれたシンボル

羽黒山五重塔は“お山”を愛し信仰してきた人々により守り継がれたシンボル

写真:mikami kaori

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羽黒山五重塔は羽黒山最古の建立物。最初に建立されたのは平安期、平将門の創建といわれており、その後幾度も修繕と再建がなされました。歴史書にも出てくる平氏の豪族が創建したなんて、とてもロマンを感じます。

五重塔からほんの少し離れたところには、樹齢1,000 年以上ともいわれる、羽黒山で最古にして最大の杉の木“爺杉”(国天然記念物)があります。現世を表わす羽黒山中で、五重塔と爺杉両方に出会うとき、長い時の流れが確かに現在に繋がっていることを実感せずにはいられないでしょう。

羽黒山五重塔は“お山”を愛し信仰してきた人々により守り継がれたシンボル

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現在の羽黒山五重塔はその建築様式から、鎌倉・室町時代のものとみられています。高さは29.4m。杉材による三間五層の素木造り(しらきづくり)、屋根は杮葺(こけらぶき)という伝統的な手法で建てられており、日本に数ある五重塔の中でも、東北で唯一国宝に指定されている、とても貴重な美塔です。

樹齢300年以上の杉木立の中に静かに佇む、色彩が施されていない荘厳な五重塔。出羽の地と自然に溶け合うその様に、まるで最初からそこにあるべくしてあったかのような不思議な感動を覚えますね。

羽黒山五重塔は“お山”を愛し信仰してきた人々により守り継がれたシンボル

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五重塔は、仏塔の一つで屋根が五重のものをいいます。下から“地・水・火・風・空”の5つの世界を構成する仏教的な宇宙観“五大思想”を現わしており、実用的な建築というよりは信仰のシンボルとして建立されているのだそう。
羽黒山五重塔は、仏教的な世界観を現す建立物ではあるものの、現在は、この世とあの世を司る神であり、国造りの神でもある“大国主命(おおくにぬしのみこと)”が祀られています。

古来より、出羽三山は自然崇拝・山岳信仰で知られる東北屈指の霊場。長い日本の歴史の中で、神仏分離令などに翻弄されるといった時期もありましたが、羽黒山五重塔は、出羽の人々の知恵と努力により、そのような激動の時代を守り継がれてきたのです。
羽黒山五重塔は、“お山”を愛し信仰してきた人々の思いに支えられ、その美しく厳かな佇まいを今もこの世にのこしています。

令和元年11月30日まで内部特別拝観開催中

令和元年11月30日まで内部特別拝観開催中

写真:mikami kaori

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羽黒山五重塔は、明治以降、公に開扉された記録はありません。しかし、令和元年は平成から令和へと時代が移り変わった慶ばしい年であり、また出羽三山神社において、平成30年に三神合祭殿再建200年という佳年を迎えていることから、これらをお祝し、公開されることとなりました。

令和元年11月30日まで内部特別拝観開催中

写真:mikami kaori

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平成31年4月27日から令和元年11月30日までの間、内部が特別に一般公開されており、五重塔2階部分までプレハブの階段が設えられています。拝観の順番を待つ間、五重塔の荘厳な造りを間近に見ることができ、また、五重塔を肌に感じながら眺める参道の風景は圧巻です。

令和元年11月30日まで内部特別拝観開催中

写真:mikami kaori

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羽黒山五重塔が建つエリアは、創建当時、足元もおぼつかないような湿地帯だったそう。きっと建てることは容易ではなかったはず。当時の人々がなぜここに五重塔を建てようとしたのか。ぜひこの特別拝観の時期に五重塔を訪れ当時の人々の思いに考えを馳せてみてはいかがでしょうか。

時間がなくても、羽黒山五重塔までは行ってみよう

時間がなくても、羽黒山五重塔までは行ってみよう

写真:mikami kaori

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出羽三山を巡ることが“生まれかわりの旅”といわれていることから、本来であれば時間をかけて、羽黒山(現在)・月山(過去)・湯殿山(未来)の三山を全て巡りたいところですが、観光で訪れた場合は、なかなか時間が取れないことも。また、長い石段の登り下りは体力的に厳しいという場合もあるでしょう。

時間がなくても、羽黒山五重塔までは行ってみよう

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そんなときは、ぜひ随神門から五重塔までのミニ参拝を体験してください。距離は短くとも、出羽三山の一端に触れ、神秘的な現世の参道を歩く経験は格別なものがありますよ。

時間がなくても、羽黒山五重塔までは行ってみよう

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五重塔までの参拝後は、随神門近くにある出羽三山神社社務所で、記念に御朱印をいただくのもとても良い思い出になりますね。

国宝羽黒山五重塔の基本情報

住所:山形県鶴岡市羽黒町手向字手向7
電話番号:0235-62-2355(出羽三山神社)
アクセス:JR鶴岡駅から庄内交通路線バスで約40分 随神門下車

2019年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2019/09/22 訪問

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