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世界自然遺産候補地の西表島、入島制限は年33万人へ 沖縄県が方針


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生い茂るマングローブ林の回廊=2019年12月、西表島(又吉康秀撮影)

 世界自然遺産候補地の竹富町西表島における観光客の入島上限人数の目標となる基準値について、県は過去10年間(2009年~18年)の観光客数の平均を基に、年間33万人に設定する方針を固めた。観光客が多いピーク時は、1日当たり1230人に設定する。県は20年度からの基準値導入を目指している。国、県、民間の観光・自然保護団体などが西表島の適正な保全・管理について検討する地域部会が30日に開く会合で協議する。

 県や町、環境省などが20日に西表島西部地区で開いた観光管理に関する住民説明会で示した。県世界自然遺産推進室によると、ピーク時の基準値は、島内5カ所の上水施設から供給可能な水量を試算した。

 世界自然遺産登録に伴い、国内登録地の中には観光客が登録前の1・5倍に増加した地域もある。西表島でも登録後の増加が見込まれていることから「オーバーツーリズム」への懸念が広がっており、登録に否定的な意見も多い。

 基準値の導入でピーク時の観光客数の抑制や年間を通しての平準化を図り、オーバーツーリズムを抑える狙いがある。モニタリング調査実施のほか、「混雑日カレンダー」や施設、交通機関の事前予約・変動料金制度の導入などで基準値内に誘導したい考えだ。

 石垣―西表間定期船を運航する民間船会社や、ツアーを企画する旅行会社などの協力を得て、実効性を担保したいとしている。西表島の過去10年間(09~18年)の観光客数は、15年の約38万8千人が最多。18年は約30万1400人が訪れた。