「全ては官邸のおぼしめし」 官邸主導 沖縄でも顕著に 在職最長の安倍首相 存在感がなくなったのはあの省庁…


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 安倍晋三首相の通算在職日数が20日、憲政史上最長となった。長期政権の一因とされる官邸主導は、2012年の第2次政権以降の沖縄政策において顕著に表れた。首相が「政権の最重要課題」と位置付けてきた沖縄の基地負担軽減については、担当相を兼務する菅義偉官房長官が取り仕切る。沖縄振興も同様で、基地問題を巡る県と政府の対立が毎年の沖縄関係予算の増減に影を落とす状況が続いている。

 首相は第2次政権発足後、「唯一の解決策」として一貫して米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進める考えを打ち出してきた。国会論戦などでは、普天間問題で「最低でも県外」を掲げ迷走した民主党政権をやゆする場面が度々あり、反面教師としている節がある。

 辺野古を巡る県との協議は菅氏や杉田和博官房副長官らが手綱を握り、防衛省関係者は自嘲気味に「全ては官邸のおぼしめし」と語る。第1次安倍政権下、守屋武昌防衛次官(当時)を軸に普天間問題の協議が進み、防衛省が存在感を示していた時代も今は昔だ。

 首相は政権交代後の目に見える成果として、KC130空中給油機の普天間から山口県への移駐(14年)や、米軍北部訓練場の過半返還(16年)などを挙げ「結果を出している」と強調。一方、今や沖縄の基地問題の象徴となった普天間返還については、辺野古とは別の解決策を見い出す姿勢は乏しい。「県民に寄り添う」(首相)と繰り返しつつ、選挙で民意が示されても押し切る強硬ぶりは際立つ。

 内閣府が所管する沖縄振興では、名護市辺野古の埋め立てを県が承認するかどうかが焦点となっていた13年12月、沖縄関係予算について首相が21年度までの3千億円台の確保を表明。この方針は現在まで堅持されているが、仲井真県政期の3501億円(14年度当初予算)をピークに、基地問題で対立が深まった翁長県政下では毎年のように削られ、19年度予算は3010億円まで減った。

 沖縄関係予算は他県とは仕組みが異なり、内閣府の担当部局が各省庁分の予算を一括計上し、財務省に要求している。内閣府関係者は「総額が示される枠予算ゆえにトップダウンが効きやすい」と明かす。そのため、時の政治情勢とも絡められやすい性質を帯びる。

 21年9月までの首相の任期中には次期沖縄振興計画に関する議論も控える。官邸主導は引き続き影響を及ぼすことになりそうだ。