モバイル

スマホの次世代5G通信を実現する統合型「5Gミリ波アンテナ」をQualcommが発表


最大で「毎秒10ギガビット(10Gbps)」という超高速通信性能を持つ第5世代移動通信システム(5G)は次世代の携帯端末技術と大きく注目されていますが、必要なデバイスをスマートフォンの小さな本体の中に必要なデバイスを収めることが大きな課題とされています。Qualcommはアメリカ時間の2018年7月23日、携帯端末にも収まるほど小型化された5G向けデバイスを発表しました。

Qualcomm Delivers Breakthrough 5G NR mmWave and Sub-6 GHz RF Modules for Mobile Devices | Qualcomm
https://www.qualcomm.com/news/releases/2018/07/23/qualcomm-delivers-breakthrough-5g-nr-mmwave-and-sub-6-ghz-rf-modules-mobile

Qualcommが発表したのは、世界で初めて5G NRミリ波通信に必要な機器を統合したアンテナモジュール「QTM052」と6GHz以下の無線周波数(サブ6GHz)に対応する無線通信モジュールファミリー「QPM56xx」の2種類。同社の「Snapdragon X50 5Gモデム」に対応し、スマートフォンでの超高速通信を実現するとしています。

4Gより最大50倍高速の5Gに対応するモデム「Snapdragon X50」をQualcommが発表 - GIGAZINE


QTM052は、電波の指向性を制御する「ビームフォーミング」や「ビームステアリング」および「ビームトラッキング」の技術を備えた4つのミリ波アンテナと、電波を送受信するためのトランシーバーおよびパワーアンプ、通信品質を高めるためのフィルターなどが一体化された統合型チップです。

5G通信を実現する上において、特に「ビームフォーミング」技術は不可欠なもの。複数のアンテナを組み合わせて電波が飛んでいく向きを制御することで高い通信品質を実現する技術なのですが、全ての要素を統合して小型化することがスマートフォンに搭載する際の大きな課題とされてきました。ミリ波の電波を用いるこのデバイスは、主に短距離で高速な通信において用いられます。なお、カバーする周波数帯は「26.5~29.5GHz」「27.5~28.35GHz」「37~40GHz」とのこと。


一方、ミリ波ほどの高速性はないものの、より信頼性の高い通信を可能にする「サブ6GHz」の帯域をカバーするのが無線通信モジュールファミリーの「QPM56xx」。「3.3~4.2GHz」「3.3~3.8GHz」「4.4~5.0GHz」という周波数帯をカバーすることで、指向性がシビアなミリ波よりも信頼性の高い通信をカバーします。

5G NRは理論値で最大5Gbps、実効値では1~1.5Gbps程度の通信速度が見込まれている技術で、これは既存の4Gネットワークの実効値である75~100Mbpsと比べてはるかに高速な通信が可能になるとされています。今回の発表について同社のクリスティアーノ・アモン社長は「モバイル業界における大きなマイルストーン」であると述べています。そしてさらに、5Gの実現により「消費者は、手のひらにのるデバイスでギガビット級のインターネットスピードをかつてない信頼性で利用することができます。これはモバイル体験における革命になるでしょう」と述べています。

Qualcommはすでに、2018年7月から顧客に対してモジュールのサンプル出荷を開始済み。実際の5Gサービスは2019年の提供開始が見込まれています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
次世代モバイル通信「5G」で1Tbpsの超高速通信に成功、国内最速225Mbpsの4000倍以上の速度 - GIGAZINE

15Gbpsの高速無線通信を可能にする世界初の5G向けLO移相方式の28GHzフェーズドアレイ無線機を東工大が開発 - GIGAZINE

4Gより最大50倍高速の5Gに対応するモデム「Snapdragon X50」をQualcommが発表 - GIGAZINE

1Gbps超えのギガビットLTE用モデムチップをQualcommとIntelが発表 - GIGAZINE

in モバイル,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.