Facebookはニュースパブリッシャーに対する「ほほえみ外交」を継続し、BuzzFeedを含むパブリッシャー5社と、プラットフォーム上でリーチを向上できるようにするツールを試験利用している。これを使用すれば、ヘッドラインや説明文・画像などの要素をリアルタイムに多様に変化させながら、コンテンツをテストできる。
Facebookは、ニュースパブリッシャーに対する「ほほえみ外交」を継続し、BuzzFeedを含むパブリッシャー5社がプラットフォーム上でリーチを向上できるようにするツールを試験利用している。
このオーガニックコンテンツのテストツールを使用すれば、パブリッシャーはヘッドラインや説明文・画像などの要素をリアルタイムに多様に変化させながら、コンテンツを4バージョン分までテストできる。このツールを使わない場合、パブリッシャーは投稿の効果をブーストさせるために、広告資金を投入する必要がある。しかし、このツールを使えばパブリッシャーは、インタラクションやクリックスルー率などのデータ、それらの指標から得られる予測をリアルタイムに確認できるため、もっとも効果的なバージョンを選んで各社のすべてのフォロワーに対して公開することができる。
「これは何かの罠か?」
Facebookはすべてのテスト結果を発表するのは時期尚早だとしているが、ニュース制作統括者であるアレックス・ハーディマン氏の下で働く、Facebook製品マネージャーのモリー・バンダー氏は、テストを行ったパブリッシャーは大抵の場合、最初に使用したバージョンとは異なるバージョンのストーリーを最終的に選択することになったと振り返る。つまり、ツールを使用することでパブリッシャーは、自社Webサイトへのトラフィックを増やすことができているということだ(なぜなら、ツールは現在、Facebookのインスタント記事ではなくパブリッシャーのWebサイトに、ユーザーを誘導するリンク投稿のテストだけを行っているからであり、そのおかげで閲覧者をこのプラットフォームに引き留められているからだ)。
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Facebookはここ数年、ニュースパブリッシャーを重視してきた。ニュース速報のタグを作成することによって、パブリッシャーがストーリーを投稿し、ニュースフィードで注目を集められるようにした。そして、ペイウォールを利用するパブリッシャーを補助するためのサブスクリプションツールをテストしている最中であり、さらに、フェイクニュースを取り締まり、パブリッシャーがFacebookの動画セクションであるWatch(ウォッチ)向けのニュース番組を制作する費用をも支払っている。
これまでは、ニュースフィードにおいてパブリッシャーのコンテンツの優先度を低くしたり、プロモーション用のニュース記事を政治的なコンテンツとして扱い、そのようにレッテルを張る方針を構築したりして、パブリッシャーが憤慨したこともあった。パブリッシャーが過去にクリックベイトを利用してFacebookのアルゴリズムを悪用したために、Facebookがパブリッシャーを罰したことを記憶しているパブリッシャーにとって、パブリッシャーがFacebookのアルゴリズム向けに最適化できるようにするツールは、嫌疑を起こすとまではいかないだろうが皮肉だといえる。「これは何かの罠か?」と思った人もいる。
パブリッシャーの手助け
オーガニックコンテンツのテストツールをFacebookが開発する理由を尋ねると、バンダー氏はパブリッシャーの手助けをするためにほかならないと言った。
「このツールは、パブリッシャーがFacebook上で、コンテンツを最大限に売り込めるものだ」とバンダー氏は言う。「『普遍的なベストプラクティスはこれだ』というのではなく、各パブリッシャーが独自のベストプラクティスを構築するために利用できるツールを提供しようと試みている最中だ」。
このツールによってどの程度差別化できると思うかを尋ねられると、バンダー氏は次のように語る。「このツールを使用することで、パブリッシャーはこれまで以上に巧みな管理が可能となり、Facebookに可能な限り多く投資できるようになることを期待している。このツールが柔軟性に富み、使い勝手がよく、付加価値を与えてくれるものであれば理想的だ」。
いまのところ開発途中
Facebookによると、名前を出しても良いと言ったのはBuzzFeedだけで、他のテスト中のパブリッシャーの名前は出せないとしている。BuzzFeed News(ニュース)のニュースキュレーション担当の副ディレクター、フラン・バークマン氏はこのツールによって、BuzzFeed NewsはFacebook上でストーリーを最適化する方法について想定できるようになり、また、テスト結果に基づいて、コンテンツの投稿方法をいくらか微調整したと述べた。しかし、彼はこのツールは真の意味でトレンドを変えるほどのものではないとも述べている。
「これは、Facebook上の顧客のトラフィックが大幅に減少したために登場したものだ。そのため、投稿を最大限生かせるのは良いことだが、まだ得られるものは少ない」と、彼は言う。
このツールを他のパブリッシャーに拡大する予定はないが、Facebookはツールをより使いやすく、より少ないリソースで利用できるようにしようとしている最中であり、「このツールを精力的に開発している最中にある」とバンダー氏は言う。