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グアテマラの先住民族に学ぶ「子どもが家事を手伝うようになる方法」とは?


メキシコの隣国グアテマラの先住民族の生活に密着すると、子どもたちが率先して家事を手伝う傾向があることがわかります。なぜ、この子どもたちが自発的に家事を手伝うようになるのか、多くの心理学者たちがその理由に迫っています。

Families In A Maya Village In Mexico May Have The Secret To Getting Kids To Do Chores : Goats and Soda : NPR
https://www.npr.org/sections/goatsandsoda/2018/06/09/616928895/how-to-get-your-kids-to-do-chores-without-resenting-it

心理学者のスザンヌ・ガスキンズ氏は1990年代初めにユカタン半島のバジャドリード近くにあるマヤと呼ばれる小さな村に住んでいました。ある日、マヤ村で出会った7歳と9歳の姉妹と会話をすると家事の話になり、姉は「私は自分の服とまだ赤ちゃんの弟の服を洗うの」と話すと、妹の方は「私も自分の服を洗ってるもん!」と普段家で行っている家事について話をしたそうです。

ガスキンズ氏は、この姉妹だけに関わらず、マヤに住むグアテマラの先住民族の子どもたちの多くが、親から依頼されたものではなく、自主的に手伝う習慣があることに気づきました。ガスキンズ氏以外にも、過去30年間で数名の心理学者がグアテマラの先住民族に「子どもたちが家事を手伝う」文化が根付いていることを確認しています。


カリフォルニア大学で心理学の教授を務めるバーバラ・ロゴフ氏らの研究では、8歳の女の子の発言を取り上げています。この女の子は学校から帰宅すると母親に対して「ママが家でやる仕事、全部やってもいいよ」と発言しており、自ら率先して家事を行っていたようです。

このボランティアとも取れる子どもたちの行動は「acomedido」という言葉もあるほど、メキシコでは一般的なものになっています。ニューハンプシャー大学のアンドリュー・コパンス氏は「『acomedido』には状況に応じた手助けを率先してやるという意味があり、ちょっと手助けをするとか、言われたから手伝うというものとは異なります」と語っています。実際にマヤに住むスージーという12歳の女の子は、母親を助けるために自発的に家事を行っており、食器洗いの他に料理や洗濯なども行うそうです。


コパンス氏はアメリカに移住したグアテマラの先住民族に子どもの家事の頻度についてインタビューを行い、シリコンバレーに住む中産階級のヨーロッパ系アメリカ人の家族の回答と比較調査を行いました。回答によると、アメリカに移住したグアテマラの先住民族の6歳~7歳の子どもたちは、ヨーロッパ系アメリカ人の子どもたちと比較して、約2倍家事に従事していることが明らかになったそうです。

では、一般的なヨーロッパ系アメリカ人の家庭とグアテマラの先住民族の家庭では何が異なるのでしょうか?西部工科および高等教育大学(ITESO)の心理学者レベッカ・メヒア・アラウズ氏は「一般的なヨーロッパ系アメリカ人の家庭では、『子どもたちが不器用で、物を壊すことが多いことから家事への関与を拒否する』傾向にある」と指摘しています。

しかし、グアテマラの先住民族の家庭では、全くの正反対で親は子どもたちの前で家事を行います。そして、子どもたちが「同じことをやりたい」と言えば、親が後から子どものやったことをやり直さないといけないとしても、子どもたちの自主性を尊重して家事に従事させるそうです。


例えば、ある母親は「私の息子が料理をやったとき、水をあふれさせるミスをしていましたが、失敗から学ぶこともあるので、今でも息子を料理作りに参加させています」と語っており、メヒア・アラウズ氏は「親は子どもたちの失敗を『将来への投資』と考えている」ようだと説明しています。

コパンス氏はグアテマラ先住民族の例を挙げ「早期に両親の家事に協力する機会を与えることは、子どもたちが自発的に家事に参加するようになる可能性が高い」と述べています。ユタ州立大学のデイヴィッド・ランシー氏はグアテマラの先住民族のライフスタイルから、子どもたちが自発的に家事を行うようになる4つのヒントを示しています。

◆1:子どもたちに家事をしている姿を見せる
料理をしたり、洗濯をしたりするなど、多くの家事をこなすときは近くに子どもがいる状態にします。また、子どもたちは家事をしている姿から、ある程度の行動を学び取ることができます。このため、本人が「やってみたい」と言い出す頃には内容の多くを理解しているので、全てを完璧にこなすことができなくても、教えることが少なくなっているとのことです。

◆2:大きな貢献を得られる「小さな仕事」を依頼する
子どもたちは、身体的にも未成熟で器用に仕事をこなせない可能性があります。このため、子どもに難易度の高い仕事を与えても「失敗によって挫折を味わう」可能性が高く、家事に関与する機会を減らしてしまいます。だからと言って、やってもやらなくてもいいような小さな雑用を任せてしまうと「家事をやることの達成感を得られない」という問題があります。そこで、難易度が低いものでも、家族にとって貢献度の高い仕事を依頼することを考える必要があります。


◆3:一緒に1つの仕事をする
幼い子どもたちにとって、家事に従事する上で大きな動機付けとなるのは「家族と共通の目標に取組む」というものです。このため、最初のうちは子どもに1人で仕事を行わせず、一緒に一つのことを行うようにしましょう。すると、次第に子どもたちが仕事を覚え、自発的に家事を行うようになるそうです。

◆4:強制しない
「この前、手伝ってくれたのだから、今回もやるだろう」という安易な考え方は捨て、子どもたちが自発的に「協力したい」と言い出したときに、家事に参加させるようにしてください。家事の強制は、子どもたちに家事への興味を失わせてしまうことにつながります。もし家事を依頼するのであれば、「これやって」と言うよりは「一緒にやろう」と言う方が効果的とのことです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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