ヤンキーが殴るわけ… 密着取材してきた打越氏 背景にある社会構造からひもとく


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県内の建設業界で働く若者たちに密着取材した経験を話す打越正行氏=8日、那覇市国場の沖縄大学

 県民間教育研究所と県民間教育研究団体連絡会は8日、沖縄大学で「聴き合う関係をどのように作るのか」をテーマに合同研究集会を開き、全体講演で社会学者の打越正行氏が「沖縄のヤンキーの若者と地元―彼らが殴るわけ―」と題して講演した。

 打越氏は過去10年間にわたり、県内で暴走族やヤンキーと呼ばれる若者の生活を密着取材してきた。

 講演では、強烈な上下関係や暴力、過酷な労働条件の下、地元の建築業界で働く若者たちを紹介。その背景にある沖縄の歴史や産業構造、社会の問題を指摘した。

 若者たちが厳しい建設業で働く理由を「社会から排除されてきた経験がある彼らは空間的、社会的存在を職場に見いだしている」と話し、本土と比べて製造業が少なく、ステップアップの場がないことも苦しい状況から抜け出せない要因の一つだとした。講演の最後には「全体主義化が進む教育の現場で支えを必要とする子どもたちの声に耳を傾け、関係を築いていくことが重要だ」と話した。