猛暑・多湿列島を襲う 「一つの災害と認識」気象庁会見
全国各地で記録的な猛暑が続いている。日本列島の広い範囲で高気圧に覆われた23日、東京都青梅市や埼玉県熊谷市など各地で40度超を観測。気象庁によると、関東甲信や東海、近畿などで7月中旬の平均気温は統計開始の1961年以来、最も暑くなった。今夏、世界各地も異常な高温に見舞われている。
「命の危険がある暑さ。一つの災害と認識している。気温の高い状態は8月上旬にかけて続く見込み」。今年1番の暑さとなった23日午後5時。臨時記者会見した気象庁気候情報課の竹川元章予報官は、今後の猛暑の見通しを予想した。暑さのピークが9月上旬までに複数回ある可能性もあるという。
温暖化による平均気温上昇に加え、偏西風の影響でチベット高気圧が大陸側から張り出し、日本上空の太平洋高気圧に重なる形で「2重」の巨大高気圧の層が続き、記録的な気温上昇を招いたとみられている。
こうした気圧配置が続く中、熊谷市が国内の観測史上最高気温を更新したのは、いくつかの要因が重なったとみられる。連日の猛暑で気温が下がりにくくなっていた。加えて北西の山地から風が吹き下ろし続け、空気が圧縮されて気温が上がる「フェーン現象」が続いたことで最高気温に達した。いつもは東京からの海風で多少気温は下がるが、北西からの吹き下ろす風で海風が入り込めなかったという。
日本の場合、海外に比べ湿度が高く、実際の気温よりも、体が感じる暑さである体感温度が高いといわれる。暑くなればなるほど、熱中症にかかるリスクが高まる。
熱中症予防のために環境省は06年から、国際指標「暑さ指数」を算出。気温だけでなく、湿度、物体が出す熱も含めて5段階で熱中症の危険を示している。
23日午後2時時点の「暑さ指数」では環境省が観測した全国840地点のうち、約3割の地点が最も警戒すべき「危険」レベルとなった。関東から西日本にかけ広く危険が高まっており、上から2番目の「厳重警戒」レベルまで含めれば6割に達した。日本救急医学会も、今の猛暑は「未体験のゾーン」だとして、気温や湿度による危険度を意識した生活を求める緊急提言を発表しており、熱中症リスクがいかに高いかがうかがえる。
こまめな水分補給や日中の運動を控えるなどの対策をとっても、一向に減らない熱中症。危機感を強める自治体の中には、冷房を効かせた公共施設を開放する「クールシェア」の利用を促す動きも出てきた。
最高気温40.3度を観測した甲府市は、市内各地の公民館や福祉センターなど計24カ所を住民向けに開放。エアコンで室温を28度以下に保ち、冷水機を設置して住民の熱中症予防に努めている。千葉県浦安市もクールシェアスポットとして23の公共施設に加え、大学のキャンパスやホテルなど8カ所からも協力を得た。施設の場所や詳細をパソコンやスマートフォン上の地図で紹介。9月まで実施する。