今井津須佐神社「修復協力を」 行橋市、豪雨被害から1年余 10月から募金
北部九州を代表する祇園社とされる行橋市元永の今井津須佐神社が、昨年7月の西日本豪雨で被害を受けてから1年以上たっても修復に着手できず、正面の石段などは立ち入り禁止が続いている。氏子らは安全対策を県や市に働き掛ける一方、建物の修復に向けて、来月から募金活動をスタートさせる。
今井津須佐神社の創建は諸説あるが、鎌倉時代の1254年に京都の八坂神社から勧請されたと伝わる。当時から続く厄よけ祈願の今井祇園祭は県指定無形民俗文化財だ。
山の斜面に建造されているため、西日本豪雨で発生した地滑りで、本殿につながる石段は波打ち、立ち入り禁止。迂回路(うかいろ)を使うしかない。中腹にある鳥居は崩壊寸前、足場を支える石垣が一部崩れて回廊(約50メートル)は傾き、神楽殿も床がゆがんで割れている。
今年の初詣は平地近くに仮宮を置いて参拝客を受け入れたが、神楽舞の奉納は中止した。
今年1月、氏子13人で今井祇園復興委員会(内本末雄会長)を結成。県や市に安全確保を要望し地盤調査などが始まった。しかし施設の修復は手付かずで、10月9日にJR行橋駅前で募金活動を始め、広げていく方針だ。目標額は1億円。それでも回廊と神楽殿の修復しか賄えず、鳥居や石段は別途考えるという。
復興委事務局長の末次辰也さん(55)は「由緒ある神社をみんなで守り復興させたい」と話している。 (石黒雅史)