内田真礼、『Magic Number』ツアー東京公演で示した“エンターテイナー”としての底力

内田真礼、エンターテイナーとしての底力

 6月24日、内田真礼のライブツアー『UCHIDA MAAYA 「Magic Number」 TOUR 2018』東京公演が、東京国際フォーラム ホールAで開催された。今ツアーは福岡、東京、大阪の三都市を回るというもの。その中日にして、ツアー中最大キャパシティの会場でのものとなる本公演は福岡、大阪公演以上にリッチな演出に彩られた。

 定刻、山本陽介(Gt)、黒須克彦(Ba)、今井隼(Key)、鈴木浩之(Dr)、大串友紀(Manipulate/Per)という腕ききのサポートメンバーが居並ぶステージに現れた内田は、ご挨拶とばかりにZAQ作詞作曲の「My Star is Here!!」をドロップ。その軽快に跳ねるビートで満員の客席をいきなり盛り上げると、その後も「今日は国際フォーラムを揺らしまくっていきたいと思います」との宣言どおり、アニメ『たくのみ。』オープニングテーマ「aventure bleu」やデビューシングル曲にして、アニメ『悪魔のリドル』のオープニングテーマ「創傷イノセンス」、アニメ『聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ』オープニング曲「Resonant Heart」とヒットチューンを連射して、文字どおり、国際フォーラムを揺らしまくる。ラブリーな「aventure bleu」で彼女はダンサー陣と見事なシンクロダンスを披露し、山本のエキサイティングなインプロビゼーションからスタートした「創傷イノセンス」では赤いライティングに染め上げられたステージで「いくぞ!」のかけ声とともに、そのハードなメロディをエモーショナルに歌い上げていた。

 かと思えば、ライブ中盤は一転。東京公演限りの参加だというサックス、トロンボーン、トランペットからなるホーン隊を交えてスウィンギンな「クラフト スイート ハート」や、どこか昭和歌謡を思わせるノスタルジックな「Agitato」、四つ打ちギターロック「ロマンティックダンサー」、サーフロックナンバー「モラトリアムダンスフロア」とダンサブルな楽曲で中盤のセットリストを構成する。ここでもまた自身の「みんな踊っていこうぜ!」のMCのとおり、オーディエンスを踊らせてみせた。

 そしてテクニカルなエレクトリックピアノソロと内田の高速フロウが絡み合う「セツナ Ring a Bell」、変則的な8ビートナンバー「TickTack…Bomb」、メロウなトイピアノの音色とストリングスのループが耳に残る「シンボリックビュー」とストレンジな楽曲群を立て続けに聴かせた後には、またもクライマックスがやってくる。

 オーディエンスがめいめいの思いの丈を叫ぶ大歓声に「えっ、なに?」「みんな、私のことかわいいって言ってる?」とイタズラっぽく笑った彼女だったが、4月リリースの2ndフルアルバム『Magic Hour』と、それに伴う本ツアーに込めた“今見ている景色や今までの思い出をリスナーと共有した上で、この先どこに行けばいいのかを模索した”というコンセプトを語るその目にはうっすら涙が。そのまま涙声で「大好きなんだよ、この場所が…」「そんな思いをみんなに届けます」と続けた彼女は自作詞曲であるバラード「magic hour」と、ミト(クラムボン)が制作するトランシーな「c.o.s.m.o.s」というドラマチックな2曲をパフォーマンス。盛大に沸き上がった客席をいったんクールダウンさせると、今度は“泣いたカラスがもう笑った”とばかりに「泣いてる場合じゃない」「私はみんなと楽しい時間を作らなきゃいけないんだよ」と圧倒的にブライトなパーティチューン「Applause」、ダンサー陣とともにモンキーダンスで魅せる「Smiling Spiral」、山本と黒須という弦楽器隊をステージ最前に引き連れて客席を煽りまくる「take you take me BANDWAGON」を畳みかけた。

 さらにライブ本編ラストでは、過去に内田がライブでまとった衣装の数々にお色直ししたダンサーたちに囲まれながら「Step to Next Star!!」を投下。ZAQによるそのメロディに〈出会ったもの全部宝物だよ〉〈いつだって一緒にいよう〉〈きみとならやれる気がするんだ〉と、ライブとアルバムのコンセプトをまさに表象するかのような言葉を乗せて、本編のステージをあとにした。

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