20年以上前に放送されたスーパーマリオのTVCMは実写・セル画・3DCG・ストップモーションを組み合わせた先進的な映像だった
1990年にスーパーファミコンと同時発売されたゲームが「スーパーマリオワールド」です。その後、「スーパーマリオワールド」はアメリカでもSuper Nintendo Entertainment System(SNES)向けに発売され、日本と同様に爆発的な人気を得ます。さらにアメリカの国民食ともいえる「マカロニ&チーズ」とコラボした製品まで登場。そのテレビCMが当時としては先進的でかなり手の込んだ作りになっているとゲーム系メディアのkotakuで紹介されています。
The Magic Behind 1994's Super Mario Mac & Cheese Commercial
https://kotaku.com/the-magic-behind-1994s-super-mario-mac-and-cheese-comme-1827178950
日本では1990年11月、海外では1991年8月に発売された「スーパーマリオワールド」は、全世界で2000万本以上売り上げた大ヒットタイトルです。
by D-Kuru
クラフトフーズから発売されていた、レトルトのマカロニ&チーズと「スーパーマリオワールド」とのコラボレーション商品が以下の画像。マカロニ&チーズはゆでたマカロニにチーズを絡めて食べるグラタン料理。アメリカやイギリスでは定番の料理で、学食にも採用されるほど子どもに人気のあるメニューです。マリオとコラボしているのはパッケージだけではなく、よく見るとマカロニがマリオ・ヨッシー・ピーチ姫などをかたどっていることがわかります。
このマカロニ&チーズのテレビCMとそのメイキングは以下のムービーで見ることができます。
Making of Kraft Macaroni and Cheese: Super Mario Bros TV Commercial - YouTube
恐竜がゲーム機のコントローラーのボタンを押すとマカロニ&チーズが登場。
巨大化するマカロニ&チーズで恐竜の家が崩壊します。
パッケージから飛び出したマリオ
崖から海に飛び込み……
泳ぎます。
土管を抜けて陸に上がるとヨッシーに乗り込みます。ヨッシーはその長い舌でマカロニから吹き出すチーズをなめています。
そしてお城の中に飛び込むと、その中にあったのはマカロニ&チーズの箱。マリオはパッケージの中に飛び込みます。
マリオが飛び込むと目の前にボウルが出現し、ありったけのチーズが注ぎ込まれます。
マカロニ&チーズの完成
しかし、マカロニ&チーズの中から突然クッパが出現。それと同時に長い舌が現れて、クッパごとボウルを絡め取ります。
ヨッシーかと思ったら、舌を伸ばしているのはただの少年でした。クッパが動揺の表情を浮かべるのもつかの間……
マカロニ&チーズをクッパとボウルごと頬張る少年。
そして何の説明もなく再びマリオが登場、マントを装備したスピンジャンプで地下へと進みます。
地下の洞窟には恐竜の化石が埋まっていました。
そのあとマリオは最初に登場した恐竜の頭の中に突っ込み、大暴れ。恐竜の頭からは立派なチェダーチーズが登場します。
倒れた恐竜の脇にマカロニ&チーズのパッケージがもう一度映って終わり。子どもを意識したCMとはいえ、かなりシュールではちゃめちゃなCMです。
この30秒のCMでは「実写で撮影した映像」「セル画による2Dアニメーション」「3DCGのアニメーション」「ストップモーションアニメーション」がミックスされています。例えば冒頭の恐竜の家やマカロニ&チーズのパッケージは実写で撮影されています。まずはアニメーションのキャラクターを紙で配置しながら実写撮影を行い、全体の流れを把握します。
恐竜やマリオはセル画によるアニメーション。
背景がグリーンになっているのは、アニメーション部分をマット(切り抜き)加工するためで、実際にマリオや恐竜が出てくるシーンをマット加工するとこんな感じ。
水中を泳ぐマリオは2Dアニメーションで描かれていますが……
マリオが水に飛び込んだ時の水しぶきや泡は、なんと実写で撮影されています。
一瞬しか出てこない潜水艦の上半身は、パペットを使って撮影しています。
潜水艦に生えていた足は本物の人間の足をグリーンバックで撮影。
この二つを組み合わせて、画面の中を自由に動かします。
また、ガイコツと一緒にゲームを遊ぶ少年も、海を泳ぐシーンでは一瞬しか映りませんが、こちらはソファーと共に上下逆さまに固定した様子をグリーンバックで撮影したもの。合成時に上下をひっくり返すと、重力に引っ張られた髪の毛がまるで水のなかで浮かび上がっているように見えるという演出が採用されています。
海の中を泳ぐ魚は3DCGアニメーション
陸に上がってヨッシーと進むマカロニが生えた大地は実写です。
ヨッシーとマリオはもちろん2Dアニメーションですが、地面に映る影は別に描かれているという細かい演出。
マカロニ&チーズのボウルを少年が飲み込むシーンでは、ボウルはグリーンバックで実写撮影。
もちろん少年も実写で撮影。口を思いっきり開けていますが、ボウルが入るほどではありません。
背景に空を配置して、少年の口を大きく加工したところ。
舌とクッパは2Dアニメーション
舌の影も別の2Dアニメーションとして描かれています
スピンジャンプをするマントマリオは2Dアニメーション
地下の化石はストップモーションアニメとなっています。
わずか30秒のテレビCMですが、メイキングを見ると細かい演出とさまざまな工夫が取られているのがよくわかります。まだコンピューターによるデジタル合成が珍しかった1990年代前半ではかなり斬新な試みだったようで、20年以上経過した今も思い出す人がいるということから、当時も十分インパクトのあるCMだったことがうかがえます。
・関連記事
「スーパーマリオワールド」のセーブ領域を利用してカスタムコードを実行できる方法が見つかる - GIGAZINE
スーパーマリオワールドをクッパを倒さず謎のミニゲーム経由で爆速クリア - GIGAZINE
「スーパーマリオラン」は収益の大半をiPhoneユーザーからあげていることが明らかに - GIGAZINE
なぜスーパーマリオ オデッセイにポルノ画像が登場しているのか? - GIGAZINE
いまなお研究され続ける「スーパーマリオブラザーズ」のステージ4-2最速攻略の知られざる歴史とは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ