子どもというのは、親はどんなことを聞いても正しい答えを即座に教えてくれる、完璧な人間だと思いがちです。実は地理の成績がC(可)だったとか、道路標識の「XING」(クロッシング、「横断注意」の意味)を誤って「ジング」と読んでいたといった情けない話がバレない限り、親の威厳は揺るぎません。というわけで、子どもたちは親に、ありとあらゆる質問を投げかけてきます。

「どうして朝ごはんにミミズ型のグミを食べちゃだめなの?」

「惑星が丸いのはなぜ?」

「お父さん/お母さんはどうしてそんな顔なの?」

このように尋ねられたら、親は子どもの疑問に何とか答えようとして頭をひねるはずです。

「糖尿病になるからだよ」

「重力のせいだね」

「それは……やっぱり重力のせいなんだ」

子どもが好奇心旺盛なのはすばらしいことですし、親としてはまずは持てる知識を総動員して答えてあげるべきでしょう。でもそれにも限度があって、どこかでやめるべきポイントがやってくるはずです。この件について、元数学教師だというSteven Clarke氏が、Q&AサイトのQuoraで説明しています。

「うちの子どもはまだ幼児ですが、ありとあらゆることになぜ?と尋ねてきます。親としてどう対応したらいいでしょうか?」というこの相談には、多くの回答が寄せられていましたが、Clarke氏の答えはその中でも際だっていました。その一部をご紹介しましょう。

この相談に寄せられたアドバイスのほとんどは、お子さんからの疑問にどうやって答えればいいか、というテクニックを教えるものですね。でも、こうした疑問にいちいち答えていると、「答えを知っている人に尋ねればすぐに知識が得られる」という思い込みが強化されてしまいます。もちろん、それが効果的なアプローチであるケースも多いのですが、質問者のお子さんはこの方法をもうすでにマスターしていますよね(だから親に質問をしているわけです)。それなら、この機会を生かして、とても大事なのに見過ごされがちなスキル、すなわち自分で答えを導き出す能力を磨くように仕向けるのです! お子さんに「なぜだと思う?」と尋ねてみてください。簡単な質問なら、すでに(一部かもしれませんが)正解を知っていることも多くて、親も(尋ねた子も)驚くと思いますよ。

さらにClarke氏は、子どもに質問を返すこうしたやり方を使う場面について、実例をいくつか挙げています。これを読むと、子どもが疑問に思っているトピックについて、ある程度知識を持っている場合でも、全くわかっていない場合でも、この方法が効果的なことがわかります。Clarke氏は「なぜ空は青いの?」という、よくある疑問を例にこう説明しています。

子:「なぜ空は青いの?」

親:「こうじゃないかな? という理由を考えてみようか?」

子:「うーん……誰かが青いクレヨンで塗ったのかも」

親:「そうかもね。どれだけ大きなクレヨンがいるのかな?」

子:「おうちくらい大きなクレヨン!」

親:「すごいね! それは大きいな! そんな大きなクレヨン、本当にあるのかな? 持ち上げられる人はいるのかな?」

といった調子です。

即座に答えを返す(あるいはインターネットで調べた知識の受け売りで「それは、光のエネルギーが波として伝わって……」と説明する)代わりに、子どもに自分の頭で考えるよう促すのは、賢いやり方と言えるでしょう。これなら、ただ人に聞くのではなく、自分なりに分析をするという大切なスキルを、子どもに身につけさせられます(ツイッターのユーザーなら、このスキルを使える人も多いのではないでしょうか)。また、親のほうも、我が子の小さな頭の中にどんな発想が渦巻いているのか、改めて知ることができる得難い経験になるでしょう。

それに加えて、親には肩の荷が降りるというメリットもあります。こんなことを言いたくはないのですが、トピックによっては、子どもが親の知識を上回る日が必ずやってきます。それはそれで結構なことです。さまざまな可能性を検討して正解を探り当てるステップを子どもにきちんと教えておけば、親もまるですべての疑問に答えを返すロボットのようにふるまう必要はなくなるはずです。


Image: iyd39/Shutterstock.com

Source: Quora

Michelle Woo - Lifehacker US[原文