1 #メインストリームカルチャー化するマリファナ

合法大麻でアメリカがえらいことになっている。新世界を示す9つの証拠

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大麻学部、大麻ツアー、大麻投資。

人気ドラマ「グレイズ・アナトミー」でも患者にもらった大麻クッキーで全医師がハイになる場面があったり、アメリカでは大麻がもはや当たり前に語られています!

全米30州と首都で医療用または娯楽用の大麻が合法化され、カナダはウルグアイに続いて10月から完全合法化の国になるようですし、海外ではいま大変な勢いで大麻のメインストリーム化が進んでいます。

違法、違法と言っている間に技術も頭も手も世界についていけなくなっていた、な~んてことになるとナーセリー技術が神の日本にとってはかなりの損失ですので、ちょっと日本では考えられない現象を中心に今の米国の空気を伝えてみたいと思います。

1.首都DCに広まる大麻の香り

まずワシントンDC。ここは市民の7割近くが賛成票を投じて大麻が合法化されました。

以来、街中では昼っぱらからマリファナの甘い香りがどこからともなく漂ってくるようになっています。地下鉄、国会議事堂周辺、スミソニアン博物館前、オフィスの廊下、ウォルマート、アパート全体など。

いちおう国家レベルではまだ違法なので国有地では吸えません。市レベルでも公共の場では吸えないため、香りだけがふわっときて、誰が吸ってるんだ!?となるらしく、Washington Postの記者が香りを追ってDCの合法リミットの2オンスの大麻をもっている市民を発見して話を聞いたら、「DCって、District of Cannabisだしね」と悪びれもせず去っていったとのことです。DCはコロンビア特別区の頭文字。それをカンナビス(大麻)特別区とは、うまいこと言うなあ。…あ、感心している場合じゃないですよね。

同紙が「なんで香るんでしょうね」と大麻ブロガーに取材したら、「オフィス街はクラブ街ほど警察もこないし、観光客も少ないので、吸いやすいのだろう」、「FBI本部周辺はハードコアな市民運動家ならばやりそうだ」、「禁煙の店は客の服についた残り香だろう」とテキパキと持論を展開したそうです。DCでは夜な夜な12件ぐらいのペースで大麻のイベントが開かれ、ベンダー、マーケター、大麻コンサルタントが集まって商品を披露している今日この頃とのことです。

ちなみに首都DCでは自宅で1人6本まで大麻を育てていいことになりました。売買は禁止ですが、所持、吸引、友だちにあげることは合法です。

2. 老人ホームから大麻バスツアー

学生時代ヒッピーじゃなかったシニアの間でも、人生の夕暮れどきに刹那的に大麻を試す人が増えています。というか、世代別大麻利用人口の増加率ではシニアが群を抜いて首位です。

シニアホームからディスペンサリー(販売店)に大麻を買い付けにいくツアーがCNNで4月に紹介されていたんですが、毎回50人以上が参加して大変な活況を呈していました。「THC(テトラヒドロカンナビノール。大麻の有効成分)ってどんな作用があるんですか?」と聞くシニアに、ツアーコンダクターは「ワインみたいなものですね。気楽になってハッピーになります」と答えており、ちょっとうきうきした雰囲気も装いもナパやソノマのワイナリーツアーと変わりありません。

まあ、しかし、体の痛みで夜寝付けないシニアにとっては、ハッピーになることより、大麻の鎮痛作用を求める気持ちの方が切実なんでしょうね。医療用大麻を医師の処方で試してみて、効き目があったから娯楽用でも続けているという人もいます。アメリカは、がんでも大麻は処方されますしね。若者なら「大麻やると入り口ドラッグになってしまう」という不安もあるかもしれませんが、シニアは人生出口…最後ぐらいラクに生きたいと思っても罰が当たらない気が…。

「大麻が合法になって何が変わったと思う?」と息子に聞いてみたら、「『うちのおじいちゃんがポット(大麻)で生まれて初めてハイになりました』っていう動画がよく回ってくるようになった」と言って笑ってました。まじめ一本やりで人生勤め上げたおじいちゃんがポットでちょっとばかし浮かれる様子は、なかなか癒されるものがあるようです。

3. 大麻のドライブスルーが登場

ハンバーガーのようにドライブスルーで大麻が買える店も生まれました。最初に設置したのは昨年11月の「Nuwu Cannabis Marketplace」(ラスベガス)です。体の不自由な人やお年寄りでも買えるようにとの配慮から設け、引き渡しの窓口は、銀行の現金受取窓口をワシントン州から取り寄せて改造しました。防弾ガラスで、監視カメラも2台設置しています。

4. 大学に大麻学部ができる

体育館の裏でストリートの売人に聞くだけでは上質な大麻はつくれません。大麻産業の夜明けに商機を見出したノーザンミシガン大学は、さっそく医療用大麻を科学する履修課程をスタートしました。

はじめたのはBrandon Canfield准教授。学会分科会で大麻研究の立ち遅れと人手不足が話題となって、人材育成に乗り出すことにしたのだといい、「卒業後は初任給で年収7万ドル(790万円)のアナリスト職種に就ける」とCNBCに豪語しています。

もちろん卒業するのは容易ではありません。生物静力学、クロマトグラフィーなんてものまでやらねばなりません。化学、生物学のみならずマーケティング、会計管理も必修だし、分析を本業にするには修士号も必要です。

でも今から勉強すればタイミングはちょうどいいかもしれません。ミシガン州では7月12日には州内初の大麻事業許可を発行しました。栽培、運搬、販売など業種はさまざまですが、州内年間売上7億ドル(790億円)の新産業に一歩を踏み出しました。

5. アメリカ人の6割は合法化支持

ピュー研究所が昨秋実施した世論調査の結果では、大麻合法化を支持する米国民は61%にのぼります。

また、50~80歳のシニアを対象に行った春の世論調査(出資・AARP&ミシガン大学医学部)では、医師にすすめられたら80%は摂取すると答えており、「処方鎮痛薬の方がマリファナより中毒性が高い」と答えた人は48%、「マリファナより処方鎮痛薬の方が副作用がある」と答えた人は57%にもおよびました。シニアの間で「自然の生薬」という意識が意外と強いことが伺えます。

6. 米国で大麻は9000億円ビジネス。スヌープ・ドッグは大麻長者に

2017年アメリカ国内の大麻売上高は80億ドル(約9000億円)を超え、今年は120億ドル(約1兆3000億円)に迫る勢いです。

日本でミュージシャンが大麻所持で捕まっている間に、スヌープ・ドッグは大麻投資で1億2400万ドル(約140億円)儲けました。

2015年に仲間と設立したベンチャーキャピタルファンド「Casa Verda Capital」がとても好調なのです。投資先は大麻人材データベース会社「Eaze」、大麻配送アプリ、英国の大麻研究所「オックスフォード・キャナビノイド・テクノロジーズ」など。いい右腕がいる感じですね。

スヌープ・ドッグ自身も後述の大手キャノピー・グロースとタイアップし、独自の大麻ブランドを展開中です。

7. 大麻の会社が続々IPO、大麻関連ETFも

今年は大麻の大型IPOが続いています。2月には医療用大麻生産5社に投資する「クロノス・グループ(Cronos Group)」がナスダックに上場し、5月には医療用大麻生産大手「キャノピー・グロース(Canopy Growth)」がニューヨーク証券取引所に上場、7月には同じく医療用大麻生産大手「ティルレイ(Tilray)」がナスダックに上場しました。これでカナダに本社を構える大麻業界の世界最大手3社が揃って株式市場にデビューを果たしたかたちです。

北米医療用大麻企業の30銘柄で構成される上場投資信託(ETF)もあるので、大麻銘柄だけ選んでマリファナ投資することもできます。

8. 美しすぎるディスペンサリー

大麻といえば古来、ビニール袋に入れて薄汚いバックパックに隠し持ってる貧乏学生か不良高校生のイメージですけれど、合法化でいきなり高級感が増しました。シガーバーか貴金属店か見分けがつかない、世にも美しい大麻ショップがあちこちにできています。

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もう、茶色い紙袋に入れて売ってる店なんかどこにもありません。香り高い高級輸入茶のような瓶に入っていて、ピンセットで取り出す式です。iPadで説明したり、大麻ソムリエがいたり、下手すると大麻コンサルタントなんてのもいて、買い付ける人も上品なおじさまだったり。隔世の感がありますわ。

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9. 警察署付近の花壇から大麻が生える

一方、ワイオミング市(合法化前)では、警察署付近のパンジーに混じって大麻が生え、大麻とも知らずに毎日花壇の水やりをやっていた市の職員が警察に通報する騒ぎがありました。種を撒いた犯人は明らかになっていませんが、「おもしろいと思ってやったんだろう」と署長は語っています。

以上、大麻合法化が進むアメリカからの報告でございました。

Image: Medmen
Source: Instagram(1, 2, 3), Facebook, The Washington Post

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