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●これまでの高級車と新型LSは何が違うのか

フルモデルチェンジを経ていよいよ発売となったレクサスのフラッグシップセダン「LS」。開発を担当した旭利夫チーフエンジニアは「高級車の概念を再定義すべく、全てを根本から見直した」と語る。それでは、新型LSは既存の高級セダンと何が違うのだろうか。

○デザイン・走り・安全性で高級車を再定義

「高級車の概念を再定義」すると語る旭氏に、既存の高級車の概念と、新型LSが示す既成概念との違いを尋ねると、同氏はまず、これまでの高級フラッグシップセダンの在り方として、「例えばデザインでは伝統的なスリーボックス」であり、パワートレインについては「大排気量の大きなエンジンでパワーを稼ぐ」のが一般的だったとした。

では、新型LSは何が違うのか。まずデザインを横から見ると、クルマの後部にかけて流線型を描くクーペスタイルが印象的だ。確かに、エンジンルーム、キャビン、トランクルームに分かれるスリーボックスカーとは一線を画している。

パワートレインはというと、新型LSが搭載するのはV型6気筒3.5リッターのツインターボエンジンとマルチステージハイブリッドシステムの2種類であり、ダウンサイジング(旭氏はスマートサイジングと表現)を実現している。そうなると、高級車らしい動力性能が担保されているのか心配になるが、旭氏によれば、ツインターボエンジンと「Direct-Shift 10AT」(10速オートマチックトランスミッション)の組み合わせにより、競合する「V8ターボと同等以上の」加速性能を持たせることができたという。

また、先進の安全技術についても、新型LSでは先進技術を押し売りするのではなく、乗る人とクルマが対話・協調するような、人に寄り添う安全技術を目指したとのことだ(新型LSの高度運転支援システムについて、詳しくはこちら)。

これまでの高級セダンとは一線を画す存在だとレクサスが自信を示す新型LS。では、どのような顧客をターゲットとし、どのくらいの販売台数を目指していくのだろうか。

●高級車市場は底堅いが転換期、モノからコトへと需要が変質?

○富裕層の嗜好に変化?

まず高級車市場の需要は「底堅い」(レクサス国内営業部長の渡瀬修氏)し、国内の自動車市場全体が漸減していくとすれば構成比は増えていきそうな情勢だというのがレクサスの見方。ただし、需要には質的変化が見られるらしく、旭氏は「ラグジュアリーカー市場に転換期」が訪れているとの考えを示した。具体的には、この市場ではモノの所有よりも経験が、そして、モノそのものが発信するストーリーが重視されるようになりつつあるそうだ。

この流れを受けて、新型LSでは定量的なクルマづくりから離れて、デザインや走りの気持ちよさなど、数字に表れにくい「感性価値」を高めることにこだわったという。レクサス自体も、高級車ブランドからライフスタイルブランドへの転換を図っているらしい。

○新型LSで反転攻勢を仕掛けるレクサス

新型LSの事前受注は7,600台だと明かされたが、月間販売600台を目標とするクルマとして出足は好調なようだ。事前受注のうち8割はLSからの乗り換えだという。どんな顧客がターゲットかという問いに渡瀬部長は、「レクサスオーナーはもちろん他社、特に輸入車に乗っている人」にアピールしたいと答えた。新型LSが再定義した高級車の新たな概念に、輸入車オーナーがどのような反応を示すかが、新型LSの売れ行きを左右しそうだ。

日本におけるレクサスの販売台数を見ると、2017年1〜6月は約2万2000台で前年同期比77%と伸び悩んでいる。要因としてはLSのほか、SUV「NX」とコンパクトカー「CT」でもマイナーチェンジを控えていたため、モデル末期の台数減が影響したという。NXもCTもマイナーチェンジ後の受注は好調とのこと。渡瀬部長は2017年後半の販売を加速させるべく、新型LSを起爆剤にしたいと意気込みを語っていた。