2016年9月に政府によって働き方改革が推進されはじめ「新しい働き方」が広まってきていますが、そもそも「新しい働き方」とはなんなのか全然わからない人も多いと思います。

今回はそんな方のために「新しい働き方に入門し、深く学び、実践する」ための情報を提供したいと思います。

「新しい働き方」とは

「新しい働き方」とは簡単にいうと

「時間」「場所」「組織」にとらわれずに自分のライフステージや価値観に合わせて選択できる働き方

です。

「働き方改革」以降、「新しい働き方≒働き方改革」と言ってもいいと思います。

今までの働き方

今でもほとんどの会社では

  • 時間:会社が決めた出勤時間の間で
  • 場所:会社が決めたデスクで
  • 組織:労働契約を結んだ1つの会社で

仕事をしなければならず、さらに「出産/育児」「親の介護」「自分探しの旅」などのライフイベントが起これば、仕事を辞めるという選択肢しか持てないことも少なくありません。

具体的な「新しい働き方」の例

「新しい働き方」のトレンドを受けて、企業で導入が広がっている制度としては次のようなものがあります。

  • 副業を原則許可へ
  • 複業(週4以下の出社)社員の募集
  • リモートワーク/テレワークの推進
  • 残業が当たり前の社風の改革
  • フリーランスなどの外部人材の活用
  • サバティカル休暇(自分探しなどのための長期休暇)

「フレックスタイム」や「時短労働」もさらに広まっていますが、特に注目されるのはやはり「複業/副業」と「リモートワーク/テレワーク」です。

人事制度を新しい働き方でまとめてみるとこんな感じになるのではないでしょうか。

新しい働き方の3軸で分類した人事制度

なお、「雇用形態を自由に変更できる制度≒ライフステージと価値観に合わせて個人から契約形態を変更する制度」を正面から導入している企業はまだありません。当然といえば当然で、長期的な雇用を前提とした上での雇用形態の変化を認めるというのは制度として作るのは難しそうな印象がありますね。

「新しい働き方」を深く理解するためにAmazonで買える13冊の本

新しい働き方についての書籍はたくさん出ています。

「新しい働き方」を深く理解するためにAmazonで買える13冊の本のマッピング

まず、こちらのマップでは「個人/企業」と「一つまたは複数の事例の詳細な記述/事例を元に抽象化した概念の提示」という二つの軸で分類してみました。(マップの数字「x」は以下で紹介している<x冊目>と一致しています。)今の立場に応じて本を選ぶ参考になれば嬉しいです。

次に、以下ではさらに踏み込んで、皆様の状況に応じて最適な本を選んでいただけるように様々な観点で分類してみました。

文字通りの「新しい働き方」の2冊

「新しい働き方」についての本は文字通りのタイトルの

  • <1冊目>『あたらしい働き方』本田直之(著)
  • <2冊目>『新しい働き方 幸せと成果を両立する「モダンワークスタイル」のすすめ 』越川慎司(著)

の2冊が有名です。

これらの本は「新しい働き方」がタイトルに入っていることからベーシックな入門書と言えます。

『あたらしい働き方』本田直之(著)他

<1冊目>『あたらしい働き方』本田直之著

海外の企業を含む18社の取材を通して見えてきた「あたらしい働き方を提供している企業を選ぶための6つのクライテリア」と「あたらしい働き方を実践するための17のスキル」を提案しています。

なお、本書でいう個人としての新しい働き方は「企業の中にいながらも自由に働く」としており、本記事で紹介した意味より狭い意味合いになっています。

新しい働き方を提供している18企業事例
  1. スタンフォード大学d.school
  2. エバーノート
  3. IDEO
  4. インストラクタブルズ
  5. キックスターター
  6. ネットアップ
  7. パタゴニア
  8. セールスフォース・ドットコム
  9. ホワイトストラタス
  10. ザッポス
  11. カヤック
  12. Sansan
  13. スタートトゥデイ
  14. チームラボ
  15. ディー・エル・イー
  16. Plan・Do・See
  17. Liverty
  18. ワークスアプリケーションズ
あたらしい働き方を提供している企業を選ぶためのクライテリア6分類
  1. 仕事
  2. 時間・場所・休日
  3. 給与・評価
  4. 会社・経営者
  5. 環境
  6. カルチャー
あたらしい働き方を実践するための17のスキル
  1. 自ら考え行動できる
  2. コラボレーションできる能力
  3. 時間効率がハイレベル
  4. 新しいハードワークができる
  5. 上下ではなく横のパートナーシップ
  6. クラウドなどITを最大限活用する能力
  7. 売れる仕事のスキル
  8. 考えているだけでなく、行動する力
  9. ボーダレスに仕事をする力
  10. 人間性が重要
  11. 思考の柔軟さ
  12. 不確実性を楽しめる
  13. 暗黙知、明文化されていないルールを読める能力
  14. お金だけではなく、意義を感じて働く力
  15. 自分自身をよく理解する能力
  16. 常に進化し続けられる力
  17. 自分のスタイルを持っている

複数社を横断して企業と個人の要素を抽象化している点がとても興味深いです。

<2冊目>『新しい働き方 幸せと成果を両立する「モダンワークスタイル」のすすめ 』越川慎司著

著者が日本マイクロソフトの執行役員としての実績から同社の事例を解説しています。

「人生100年時代構想会議」参加メンバーにもなったリンダ・グラットンの著書

2016年以降の「新しい働き方」の世の中のイメージに最も影響を及ぼしているのは2017年9月、政府の「人生100年時代構想会議」にも参加したリンダ・グラットンでしょう。そのリンダ・グラットンが著者の一人になっている『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』は世界中で大きな話題となっています。

  • <3冊目>『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) ― 100年時代の人生戦略』リンダ・グラットン (著), アンドリュー・スコット(著)
  • <4冊目>『WORK SHIFT(ワーク・シフト) ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』リンダ グラットン(著)

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』

<3冊目>『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』

長寿化に伴って人は100年生きる時代になったという前提で個人の人生戦略≒キャリア設計を見直すべきというのが主な内容です。先にも述べましたが、昨今の「新しい働き方/働き方改革ブーム」のメインストリームのとなっている本です。

特に、ライフステージに合わせて提示した以下の三つの働き方の分類が注目されています。

  • エクスプローラー(探検者…自分探しや自分の可能性を見出す時期にいる人)
  • インディペンデント・プロデューサー(独立生産者…どちらか企業と対等なイメージのフリーランスや永続的な会社維持を考えない起業家)
  • ポートフォリオ・ワーカー(様々な仕事に同時並行で関わる者…最近の日本の流行り言葉でいうパラレルワーカー)

<4冊目>『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』よりも前に出されたのが『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』です。マクロな変化とそれに伴って働き方の固定概念を変えるべきという内容です。『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』の背景に当たる部分が示されていると言えます。

働き方に影響を与える5つのマクロ変化
  • テクノロジーの変化
  • グローバル化の進展
  • 人口構成の変化と長寿化
  • 社会の変化
  • エネルギー・環境問題の深刻化
3つの変えるべき「働く」という概念
  • 「大量消費をするために稼ぐ」から「情熱を傾けられる経験をする」へ
  • 「他者との孤独な競争関係」から「イノベーションの創出するための協力関係」へ
  • 「ゼネラリスト」から「連続スペシャリスト」へ

マクロ観点で個人と企業の対応を比較しやすい3冊

マクロな視点から新しい働き方を捉えたい方向けにおすすめの3冊を紹介します。

  • <5冊目>『フリーエージェント社会の到来 -組織に雇われない新しい働き方』ダニエル・ピンク(著)・・・個人視点
  • <6冊目>『未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ』リンダ・グラットン(著)・・・企業視点
  • <7冊目>『ALLIANCE アライアンス―人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』リード・ホフマン (著),ベン・カスノーカ (著),クリス・イェ (著)・・・個人/企業の関係を取り持つ視点

『フリーエージェント社会の到来』『未来企業』『ALLIANCE アライアンス』

<5冊目>『フリーエージェント社会の到来 -組織に雇われない新しい働き方』

昨今のフリーランスブームの火付け役のようなイメージを抱くタイトルの本ですが、実は2002年の本であり、アメリカでは2000年前後で既に労働人口の1/15の1000万人程度がフリーランス化(派遣社員含む)していたという内容です。

約20年も前からアメリカでは働き方の変化の波が訪れており、20年経った今では労働人口の約1/3の5500万人がフリーランスに分類されるというデータもあります。(「10 Surprising Stats About Today’s Independent Workforce」Crew)アメリカの事例ではありますが、個人の観点の働き方の変化を正面から捉えた本です。

<6冊目>『未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ』

先に紹介した『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』などの著者のリンダ・グラットンの著書です。『WORK SHIFT(ワーク・シフト) 』の企業版と言える本で、マクロな時代の変化に企業が対応していくための方法を示しています。

具体的には、企業が外部リソースを有機的に取り込むこと(≒オープンイノベーション)で変化を糧に成長していくための3つのステップが記載されています。

  1. 内なるレジリエンス(自己蘇生力)を高める
  2. 社内と社外の垣根を取り払う
  3. グローバルな問題に立ち向かう

<7冊目>『ALLIANCE アライアンス―人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』

ここで紹介している本が「個人」あるいは「企業」のどちらかの視点によった本ばかりの中で、その中間に立って「個人と企業はどのように契約すれば良いのか?」について解説している珍しい本です。

特に参考になるのは以下です。

コミットメント期間の3分類
  • ローテンション型・・・ジョブディスクリプションが切りやすく人員の代替が比較的やりやすいタイプ
  • 変革型・・・プロジェクト完遂タイプ
  • 基盤型・・・会社と個人が切っても切り離せないような関係のタイプ
企業が社員のネットワーク情報収集力を活かす方法
  • 人脈のある人間を採用する
  • 社員の人脈を作る研修を提供する
  • 会社の「卒業生」ネットワークを作る

個人視点で様々な角度から新しい働き方を比較できる4冊

『LIFT SHIFT(ライフ・シフト)』のように包括的というよりは少し変わった観点から個人の変化を捉えた本を紹介します。

  • <8冊目>『ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと』本田直之(著)
  • <9冊目>『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』ちきりん(著)
  • <10冊目>『時間と場所を選ばない パラレルキャリアを始めよう!―「2枚目の名刺」があなたの可能性を広げる』石山恒貴(著)
  • <11冊目>『アグリゲーター 知られざる職種 5年後に主役になる働き方』柴沼俊一 (著), 瀬川明秀 (著)

『ノマドライフ』『時間と場所を選ばない パラレルキャリアを始めよう!』『未来の働き方を考えよう』『アグリゲーター』

<8冊目>『ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと』

『あたらしい働き方』の著者の本田直之さんの著書です。

『あたらしい働き方』はさまざまな企業を取材した上でのリサーチレポートのような内容でしたが、本書は自分や知人の経験をもとに、独立して好きなように生きていくにはどうすれば良いのか?そのような「ノマドライフ」はどのように分類することができるのか?という視点で新しい働き方に向き合っています。

<9冊目>『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』

有名ブロガー「ちきりん」さんの著書です。『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』を日本人向けにローカラズしたような内容になっています。

『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』のような海外の本は、翻訳調で読みづらかったり、事例が外国の話で馴染みづらかったり、ということが多いと思います。そのような本が苦手な方には、この本がオススメです。

<10冊目>『時間と場所を選ばない パラレルキャリアを始めよう!―「2枚目の名刺」があなたの可能性を広げる』

最近「プロボノ」という一般企業に勤めている人が自分の職能を活かしたNPO活動をすることが一種のブームのようになっています。「パラレルキャリア」という言葉は、複数の会社で働くという意味の「複業」の類語として使われる一方で、このプロボノのように「本業+無報酬のNPO活動/地域活動」をするという意味でも使われるようになっています。

この本は、そのようなプロボノを実践している人たちの事例、プロボノで行われているプロジェクトの事例をたくさん紹介しています。

<11冊目>『アグリゲーター 知られざる職種 5年後に主役になる働き方』

個人の新しい働き方というと「いかに本業以外の/あるいは独立して、複数の組織と関わっていくか」という視点で語られることが多いですが、本書で紹介されているアグリゲーターは「個人が複数の会社で関わっていくような時代の中で、企業の中にいる人間のロールモデル」を示しています。

本書の表現とは異なりますが「アグリゲーターとは、企業のノンコアの要素となる機能に秀でた個人を巻き込んで一つのプロジェクトをリーダーとして推進していける人材」と言えます。

最先端企業の組織・人事の実践例がわかる2冊

最後に企業が社員とどう向き合っていくべきかについて学べる2冊をご紹介します。

  • <12冊目>『How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント』エリック・シュミット (著)他・・・Googleの経営視点での組織論
  • <13冊目>『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』ラズロ・ボック(著)・・・Googleの採用から育成あたりまでの人事制度論

『How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)』『ワーク・ルールズ!』

<12冊目>『How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント』

こちらの書籍は新しい働き方の文脈で紹介されることは少ないですが、企業がどのように社員と向き合っていくべきかについての先端の事例なのでリストに入れました。

「文化」「コミュニケーション」「意思決定」「イノベーション」など非常に根本的な組織の要素について幅広くGoogleの仕組みを紹介しており、一回で全てを頭に入れるのは大変なボリュームなので、何度も読み返したい本です。

<13冊目>『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』

Googleの採用方法や育成方法が詳しく載っている本で、その斬新さが「新しい働き方」の文脈で大きく話題になった本です。

Googleが実施して失敗してきたことも載っており、本書で紹介されているメソドロジーが多くの企業で使えることが理解できます。

企業の導入事例

働き方改革/新しい働き方の導入事例は

  • 『あたらしい働き方』本田直之(著)
  • 60の先進事例で学ぶ 本当の働き方改革 (日経BPムック)

などをご覧いただくのが良いと思いますが、ここでは特に2017年の最新事例を紹介したいと思います。

リクルート〜ZIP WORK〜

リクルートのZIP WORKのロゴ

http://www.recruit.jp/company/csr/contribution/iction/zipwork.htmlより

リクルートは「"限られた時間で成果を出す"新しい働き方」というキャッチコピーで「ZIP WORK(ジップワーク)」という専門人材の時短の契約による採用制度を2016年9月を導入し、広く世の中の企業に参画を呼びかけています。

リクルートは営業職向けの「CV職」(Career View、キャリアビュー)職という契約社員の雇用体系が一定の人気を誇っており、ジップワークはこのキャリアビュー職についで新しくブームになりそうな採用制度と言えます。

ランサーズ〜タレント社員制度〜

ランサーズのオープン・タレント・プラットフォーム構想

https://www.lancers.co.jp/news/pr/12686/より

ランサーズはクラウドソーシングプラットフォームの業界最大手の一つですが、2017年6月に実際に自社の人事制度としても「タレント社員制度」という複業雇用という新しい働き方の仕組みを導入しました。

ランサーズはテクノロジーに力を入れ「オープン・タレント・プラットフォーム構想」という新しい成長戦略を掲げており、「タレント社員制度」はその取り組みの一環となっています。(なお、人事制度ではないですが「新しい働き方LAB」という施設を作り各種イベントも行なっています。)

DeNA〜フルスイング〜

DeNAのフルスイングのサイト

DeNAは「フルスイング」という社外の副業と社内でも他部署の仕事を兼務するという一風変わった副業制度を2017年10月から開始しました。

制度名の「フルスイング」は、おそらく横浜ベイスターズを傘下に持つ関係上のネーミングではないでしょうか。制度浸透のためサイトまで立ち上げいるところに力の入れようを感じます。

ソフトバンク〜Smart&Fun〜

ソフトバンクの「Smart&Fun!」の仕組み

https://www.softbank.jp/corp/hr/personnel/workstyle/より

ソフトバンクは「Smart&Fun」をスローガンに、非常に合理的な働き方改革のフルパッケージとも言える制度を2017年2月より導入しています。

詳細は以下の他社比較表を参考にしていただきたいのですが、働き方改革をなす上で見落としがちなIT/インフラ投資をしっかり実行した上で改革を実施していくという合理性を備えています。

最新事例の4社まとめ

企業名 開始時期 制度名/スローガン 概要
リクルート 2016年9月 ZIP WORK(ジップワーク) 「1. 時間が限定されている(1日5時間、週3日など)」「2. 専門的な知識やスキルを活かせる」「3. 高い専門性に見合う報酬を得られ、昇給などのキャリアアップの機会がある」の3つを満たす働き方を「ZIP WORK」と定義し人材を募集。グループでの知見を蓄積しつつ、賛同企業や団体にノウハウを共有し協働することで新しい働き方「ZIP WORK」を社会に広げていく。
ソフトバンク 2017年2月 Smart & Fun! 「ITやAIを駆使してスマートに楽しく働こう」として様々な働き方改革を導入。2017年2月にプレミアムフライデーの導入、2017年4月にコアタイムを撤廃したスーパーフレックスタイム制や在宅勤務制度の拡充、2017年11月にグループアドレス制の導入やサテライトオフィスの活用によるオフィス改革、副業を可として社外活動によるイノベーション創出の促進、社員のスキルアップと意識改革を推進するeラーニングやワークショップを活用した取り組みを導入。グループ会社のWeWork Japanが展開するコワーキングスペースの利用も検討。
ランサーズ 2017年6月 タレント社員制度 複業の雇用制度。個人がこれまで培ってきた経験や専門スキル、人脈をスキルとして可視化し、ランサーズの社員として採用する仕組み。「オープン・タレント推進室」を創設し、自社で得たノウハウを複(副)業に積極的な企業に対して提供するコンサルティング・ビジネスなども計画している。
DeNA 2017年10月 フルスイング 副業制度。社外だけでなく同社内の他部署の仕事も、一定の条件の下で兼務できるようにしている。社内の兼業については、業務時間の最大30%までを他部署の仕事に充てられる。

新しい働き方を実践するために役立つ業界プレイヤー

企業が人事制度として新しい働き方となる雇用体系や制度を導入する中で、個人側に積極的に新しい働き方をしてもらえるような支援サービスがいくつも出てきています。ここでは、様々な観点から働き方改革の中で特に重視されている「女性」という軸を意識し、計10のサービス/企業を紹介したいと思います。

支援サービスの一覧

  1. Waris(ワリス)
  2. 時短executive(ジタンエグゼ)
  3. CasterBiz(キャスタービズ)
  4. CIRCULATION(サーキュレーション)
  5. VISASQ(ビザスク)
  6. サンカク
  7. Lancers(ランサーズ)
  8. mama square(ママスクエア)
  9. KIDS LINE(キッズライン)
  10. As Mama(アズママ)

新しい働き方を支援する10の業界プレイヤー

就労支援系のサービス

1. Waris(ワリス)

Warisはサービス名というよりは社名になりますが、ビジネス系女性フリーランス向けのお仕事紹介サービスを提供しています。

nomad journalでも代表取締役共同創業者の田中美和さんに以前インタビューしておりますので、合わせてご覧ください。

2. 時短executive(ジタンエグゼ)

ジタンエグゼは、5時間などの短い時間の雇用契約、いわゆる時短社員に特化した転職エージェントです。週3〜4日勤務の求人も取り扱っているようで、かなり柔軟な求人を開拓しています。

運営しているのは株式会社ビースタイルという会社で、女性に特化し「アルバイト」「BPO」「派遣」「人材紹介」など人材業のフルラインナップを展開しています。

3. CasterBiz(キャスタービズ)

キャスタービズはオンラインでアシスタント/秘書業務を請け負うサービスです。実質的に、リモートワークでアシスタント業務ができる新しい働き方のサービスです。

4.サーキュレーション

このnomad journal(ノマドジャーナル)を運営しているのが株式会社サーキュレーションです。

  • 引退された元経営者層の方向けの業務委託案件の紹介サービス「KOMON WORK DESIGN」
  • プロ人材としてのビジネスフリーランス向けの業務委託案件の紹介サービス「NOMAD WORK DESIGN」
  • ITエンジニアの元CTOクラスの方向けの業務委託案件の紹介サービス「flexy」
  • 専門知識が豊富な企業にお勤めの方も含むプロフェッショナルな方向けの短時間のナレッジシェアサービス「Open Research」

を展開しており、サーキュレーションはプロフェッショナルの方が独立して活躍できる機会を広く創出しています。

5. VISASQ(ビザスク)

ビザスクは2017/11時点で5万人の会員データベースを保有するスポットコンサルサービスです。

個人向けにはサーキュレーションのOpen Research同様に相談相手にナレッジをシェアすることで対価を得ることができます。「新しい副業」を支援するサービスの一つです。

6. サンカク

サンカクはリクルートの新規事業で、Open Researchやビザスクのように登録企業とマッチングを受けてディスカッションをするサービスです。

特に、成長企業の経営に参画(サンカク)するという対個人への打ち出しが特徴的です。

7. Lancers(ランサーズ)

ランサーズは言わずと知れたクラウドソーシングプラットフォームの最大手の一つです。

Pook(プック)というスキルシェアリングサービスをはじめていたり、ランサーズTopという実名のハイレベルな人材のマッチングサービスや、スポット常駐という1日〜の求人紹介サービスなど、ランサーズ社として新しい働き方の支援サービスを次々と立ち上げています。

育児支援系のサービス

8.mama square(ママスクエア)

育児支援カテゴリに入れてしまっていますが、ママスクエアは就労支援+育児支援の要素を両方持ったサービスです。

就労支援としては、電車を使わずに車で通えるような郊外の場所に施設を作り、そこで企業から受託したBPOの仕事を提供しています。育児支援としては、その施設に保育所を併設することで仕事をしながら子供の様子を把握できるというサービスを提供しています。

小さな子供を連れて電車で勤務地まで通い会社の保育所に預けるというのはとても億劫で気が引けますので、車で移動できる場所に勤務地があるのはママにとって魅力的です。また、ママスクエアの施設は大きなショッピングモールの中に入っていることが多いので、買い物などの利便性も高いです。

働くママ目線で設計されたオールインワンサービスではないでしょうか。

9. KIDS LINE(キッズライン)

ベビーシッターのマッチングサービスです。病児保育対応もしてくれるシッターもいるようです。

以前、「保活ママ救済キャンペーン!『不承諾通知』を買い取ります!」という認可保育園に落ちた人を対象に実質1万円分まで無料でキッズラインが使えるキャンペーンを実施したことで話題を集めました。

10. As Mama(アズママ)

アズママは古くて新しいママ同士のご近所付き合い支援サービスです。

このサービスを介して繋がると「預かった友達の子供に万一のことがあったら保険適用」されたり、ママサポーターという託児研修を受けている積極的に育児をするママを支援したい人と繋がれたり、外部事業者が間に入るならではのサービスが魅力的です。

おわりに〜新しい働き方を実践するために必要なこと〜

冒頭でも触れましたが、働き方改革の影響で企業/個人に新しい働き方が広まっていますが、「ライフステージや価値観に合わせて選択する」という行為は個人の姿勢次第です。

私たちは今まで以上に「自分はどうしたいのか?」という問いに向き合わなければならないのでしょう。

信澤みなみ

監修:信澤みなみ

株式会社サーキュレーション採用責任者。早稲田大学を卒業後、株式会社インテリジェンスへ入社。社内ベンチャーカンパニーへ新卒第1期生として配属。IPO前後の成長ベンチャー企業、中小企業の経営課題に対する経営支援に従事し、新人初となるカンパニー月間MVPを幾度も獲得。2014年4月、株式会社サーキュレーションとして独立するタイミングで、女性プレーヤー第1号の参画を果たす。女性の働き方にも深い関心があり「新しい働き方」や「女性の社会進出」などのイベントへの登壇も多数。