日本スポーツ仲裁機構(JSAA)は8日、全国大会優勝経験がある高校の男子ハンドボール部監督が、部員への暴力を理由に、日本協会から受けた3カ月の指導停止処分を不服とした申し立てを認め、処分を取り消す裁定を下した。協会は聞き取りで監督も暴力を認めたとして、6月の理事会で処分を決めた。しかしJSAAは、被害にあった部員への聞き取りがなく、具体的な事実の認定がないとして、手続きの不備を理由に処分を取り消した。

 一方で、監督が選手の前で2位の賞状を破り捨てるなど、体罰、暴力行為が日常的にあった疑いも指摘。同部の保護者のほぼ全員から暴力はなかったとする嘆願が協会に届いた点を「異様な状況」とした。「進路への絶大な影響力を背景とした指導は即刻改めるべき」と、反省と改善を求めた。