西武・菊池の辛抱、サヨナラ劇呼ぶ 反則投球判定に対応

松元章
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(17日、西武3―0楽天)

 サヨナラの瞬間、西武の菊池はベンチ裏にいた。「歓声だけ聞こうと目をつぶっていた」。ベンチを飛び出し、本塁付近でサヨナラ本塁打の栗山に抱きつく。辛抱の末、自己最多タイの12勝目を手にした。

 「難しい試合でした」。二回1死、楽天の松井稼への初球。突然、2段モーションの反則投球(記録はボール)と判定された。続く2球目も再び同じ判定。右足を高く上げる動作は一回から変わらないように見えたのに、だ。

 「もう8月。ルールに従ってやるしかないが、なぜ今なの」。いぶかしそうな表情を浮かべつつも、クイックモーションで対応。それでも150キロ台を連発してみせる。難なく無失点で抑えたが、フラストレーションがたまったのだろう。ベンチへ戻りながらグラブで口元を隠し、叫んだ。

 以降も負荷の大きいクイックで投げ続ける。暑さもあって、四回くらいから両足がつっていたという。それでも2位楽天との直接対決。「根負けしちゃいけない」。交代の打診も断り、9回を投げきって2安打無失点。エースの踏ん張りがサヨナラ劇を呼んだ。

 これで最大11ゲーム差あった楽天に、2・5ゲーム差に迫った。だが菊池は、静かに言った。「(上位との対戦は今後)もっと緊迫した展開になる。そこでこういう投球が出来れば」。2位浮上を現実のものとするため、何度でも相手の前に立ちふさがる覚悟だ。(松元章)

 ○栗山(西) 九回2死一、二塁、代打でサヨナラ3ラン。無表情でベースを一周し「どうやって格好つけようかと。頑張って(表情を)固めていた」。

 ○辻監督(西) 「菊池が本当に粘った。勝ちをつけられて野手もホッとしてるのでは。栗山は切り札だから。見事でした」

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