私は観た・・・!

 

2017年のロイヤル・ハイランド・ショウ

(The Royal HIghland Show)の

これこそがわが白眉でございましたよ。

 

というわけで本日はハイランド・

ショウにおける羊の毛刈り競争の話。

 

重機も工具も見ましたし

家畜の鼻面も撫でまわしましたし

あとは何か日持ちする食べ物を買って

家に帰りますか、みたいな気持ちに

私も夫(英国人)もなった午後3時頃。

 

「夫よ、それはそれとして

プログラムによればもうまもなく

『羊の毛刈り競争:オープン』が

あっちのほうで開かれるらしいぞ。

私はこれ、ちょっと観てみたいぞ」

 

会場に行ってみるとちょうど

『セミファイナル』が佳境だったのですが

私は羊の毛刈り競争というのが

あんなに興奮する代物だとは

これまでまったく予想もせず。

 

6人の参加者が決められた数の羊の毛を

どれだけ素早く刈れるかを競うという

非常に単純なゲームなのですが、

毛刈り人(競争者)は常に仲間と

2人組のペアを組んでいて

この仲間が毛刈り人に羊を

渡すところから戦いは始まっている・・・!

 

羊は毛刈り人に対し背中を向けて手渡され

当然羊は暴れて逃げようとする、それを

毛刈り人はがっちりヘッドロック、

ずるずると所定の位置に引きずって行き

むぎゅっと完全に押さえつけたところで

バリカンのスイッチを入れお尻から剃毛開始。

 

 

さすがオープンの準決勝まで

駒を進める猛者たちだけのことはあり

各自思わず見惚れるバリカンさばき、

面白いように羊の毛は

剃りあげられて行きまして

お尻から後脚、お腹から背中、前脚、首、

そこから反対側の前足、背中、後脚、

流れるように作業は進み

最後に羊は上下逆さの体勢にされ

そこでぴっと尻尾の部分の毛を剃られると

全身の毛がひとまとまりになって

体から離れる、これはもう妙技の世界。

 

丸裸になった羊のお尻を

毛刈り人が押して『毛刈り終了』の

戸口をくぐらせると次の羊がまた

仲間から背中向きに手渡される。

 

何がすごいって

この1頭あたりの毛刈り時間がまず

40秒かからないっていうんですから

(この日私は『1頭を25秒で刈上げ』の

偉業をも目撃しました)(会場騒然)

もうこれは本当に目が離せない。

 

また司会進行役のお兄さんの

実況兼解説が素晴らしく

どこまでがアドリブなのか

どんどん競技者にあだ名をつけて

「すごいぞ3番、早業だ、まさに

フライング・スコッツマーン!」

「ニュージーランド期待の星、

栄光のキウイの追い上げだー!」

「6番はすでに4頭目の羊を

ボトムアップ(上下逆さ、

『一気飲み』の意)しているぞー!」

「ウェールズの戦士に対する

会場の声援が足りなーい!」

「フランスからの挑戦者に対する応援も

足りなーい!不人気に負けるなあー!」

 

刈り上げられた羊毛は

舞台上の一段低くなっている場所で

待機している赤シャツの女性たちが

くるくるっと俵サイズにまとめて

ぽんぽん舞台袖に投げ込んでいき

これもまた小気味よい動作で

見ていて気持ちが良かったです。

 

 

「・・・あの羊の毛を丸める作業、

僕は子供の時にやったことがありますよ」

 

「ほほう。赤シャツ組の子たちは

軽々と俵型羊毛を放り投げているが

あれは彼女たちの肩が強いのか、

それとも羊毛というのは軽いものなのか」

 

「重さはそれほどないですね。

ただ羊の毛はベタベタしているので

あの作業を終えると手と腕が

ベタベタを通り越して

ツルツルになってしまうんです」

 

「それは意外な美肌効果だな。

でも羊毛を俵型にするのも大変な

作業だろう、立ったりしゃがんだりで」

 

「いや、でも毛刈りをする人の

運動量に比べたら何でもないですよ」

 

「ああ、やっぱり毛刈りは

体力が必要な作業なのか」

 

「何を呑気なことを言っているんです、

当たり前でしょう、あの毛刈り人の体つきを

よく見てごらんなさい、みんな全身の筋肉が

無駄なく鍛え上げられているでしょう。

動揺して力任せに跳ね上がろうとする羊を

片手と両足で押さえつけて毛を刈るんですよ。

同時に羊に怪我をさせても駄目なんですよ。

技術と集中力と腕力が要求される仕事なんです」

 

なお試合では毛刈り人それぞれに

ジャッジがひとり横について

毛の刈り残し・怪我・傷がないかを

採点表片手に確認している様子でした。

 

(競技会運営者の本気を感じる)

 

セミファイナルを2試合観た時点で

私はすっかり毛刈り競争の

トリコになってしまっており

当然の如く決勝戦も観戦することに。

 

決勝はなんと20頭勝負。

 

地元スコットランド勢のリード、逆転、猛追、

もう本当に手に汗握る熱戦でした・・・!

 

「夫よ、私は今日理解した、

私は羊毛刈り競争が好きだ。

今後こういう催しがどこかであれば

可能な限り観戦するようにしよう」

 

「いいですけど、次の競争が

今日のと同じくらい面白いですかね。

今日の競技者は全員世界トップクラスでしょう。

実況兼解説者も素晴らしかったですし。

彼はどうしてあのスピードで

よどみなく韻を踏んでいけるんでしょうね」

 

そこを確認するためにも

もう1度試合を見なくちゃ駄目じゃない。

 

というわけで英国在住の皆様、

近場の催しで『羊毛刈り競争』がある場合、

ご観戦を心よりおすすめします私です。

 

 

Youtubeに去年の

ハイランドショウ毛刈り大会オープン決勝の

映像があるようなので参考にどうぞ

 

 

 

 

・・・どんな映像なのか確認できていない私

 

最近またネットの調子がおかしくてですね

ほら、風が強いから

 

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