06年にデビューした大島優子(28)や秋元才加(28)宮沢佐江(26)ら、AKB48の2期生は、グループきっての個性派世代といわれる。全員が卒業し、今はグループから「絶滅」したが、その元2期生を取材する機会が、偶然にもここ半月で2度、続けてあった。

 4月26日、増田有華(25)のソロデビュー曲「愛してたの」発売記念イベントを、川崎市のラゾーナ川崎で取材した。「AKB48史上最高の歌姫」との呼び声も高く、卒業後もミュージカルや舞台などで活躍していたが、物心ついたころから歌手になることが夢だった。芸能界入りから11年、やっと夢への1歩を踏み出した増田の歌声は、アイドル当時と比べてもさらに磨きがかかっていた。

 増田はリハーサルから、歌への強いこだわりを見せていた。音量の調整指示が、とにかく細かいのだ。プロフェッショナルだった。イベント会場は、商業施設の広場にある屋外のステージ。聴衆は開始直後、さほど多くなかったが、ほれぼれする歌声で道行く買い物客の足を止めていた。「元AKB48」という看板に頼らず、実力で勝負する姿は、何よりかっこよく映った。

 5月9日には、都内で宮沢の著書「これさえあれば。」(ぴあ)発売イベントを取材した。とにかく冗舌で、サービス精神が旺盛。AKB48時代も、上海のSNH48時代も、SKE48で国内復帰した時にも取材をしたが、どの時代もまったく対応が変わらない、いわゆる「神対応」だ。古巣の選抜総選挙が近づき、「誰に投票するか?」と振られると、「誰にも投票しません。平等が大好きなので」と答えた。誰かを特別扱いしない。メンバー人気も高かったわけだ。

 取材対応後、著書のお渡し会イベントを見学した。驚いたのは、列に並んだファンの約8割が女性だったこと。そういえば、アイドル時代も、生誕祭公演(宮沢の誕生日近くに行われる特別公演)も、客席がほぼ女性ファンという珍現象が起きていた。

 技術を磨き、いい意味で「変わった」増田と、いつ会っても「変わらない」安定の宮沢。まったく違う味を醸し出していて、魅力的に映った。