渋谷駅前の商業施設「ヒカリエ」にあるハチミツ専門店で、「渋谷のはちみつ」という商品が販売されています。

商品名の通り、渋谷で採られたハチミツですが、「どうして渋谷で養蜂を始めたのか?」という大きな疑問が浮かびます。

ウェブメディア「Mugendai」がその理由を「渋谷のはちみつ」の販売元である「渋谷みつばちプロジェクト」、その代表である佐藤勝さんにインタビューしていたので、抜粋してご紹介します。

渋谷は暑すぎる。このままでは人が来ない街になってしまう

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──「渋谷みつばちプロジェクト」は、どんなきっかけでスタートしましたか?

佐藤:私は渋谷で34年間、不動産業を営んできました。言い換えると、街をつくる仕事をずっとやってきたんです。

そんな中、15年ほど前から、「空調機が効かない」というお客様の相談が増えてきました。確かめてみると、空調機が壊れている場合もありましたが、室外機が熱くなりすぎて、動いてないことが多かった。だんだんと同じようなことで相談に来るお客様が増えていき、これはおかしいなと感じました。

当時も既に、地球温暖化やヒートアイランドという現象は、環境問題として広く認知されていましたが、身近な自分事としては捉えていませんでした。しかし、お客様から多数の相談を受けていくうちに、渋谷の街も温暖化やヒートアイランドの影響が出ているのではないかと考え始めました。長年、渋谷という街のために頑張って仕事をしてきましたが、このままでは、真夏に人が歩けなくなるような街になってしまい、渋谷の街の価値が下がってしまうのではないかと。

──特に都心部において、気温の上昇は一般の人でも感じていることかもしれません。

佐藤:渋谷は地名の通り「谷」なので、風がない夏は本当に暑いんです。真夏に行きたくない街になってはいけないなと思ったし、40歳を過ぎて子育ても終わっていたので、街に恩返しができるような活動がしたかった。

そこで、ヒートアイランド改善をテーマに、まずは桜を守り広める活動を始めました。渋谷には、36本の桜並木がある桜丘町があります。春には両側の道が桜で埋まり、まるで"桜のトンネル"のようになる綺麗な桜です。

この渋谷の桜を守るため、2006年に「NPO法人渋谷さくら育樹の会」を立ち上げました。そこから桜の花を植える活動を開始しました。

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佐藤:その後、銀座のビルで養蜂を行い、ハチミツを作っているという「銀座ミツバチプロジェクト」の存在を知りました。詳しく話を聞くと、ミツバチは、放置していれば消えていく花の蜜や花粉を食べることで、多くの植物の受粉を媒介している大切な存在だと分かりました。私たちが守ってきた桜も、ミツバチによって受粉すればサクランボがなり、それを食べに小鳥がやって来る。人間が断絶した、植物と動物のつながりを回復させることができます。

近年は都心でも屋上緑化などの活動が盛んですが、養蜂もビルの屋上で行うことができます。賛同者が増えてくれれば、生態系の循環によって都会の緑化活動も促進され、植物が増えれば温暖化やヒートアイランドの対策にもつながります。さらに、ミツバチが生息するには、蜜源となる花が必要となるため、養蜂によってどれだけの蜜が採取できるかで、渋谷に自然がどれだけ残されているかも知ることができます。

佐藤さんは実現に向けて活動を開始しますが、「ミツバチに刺されないのか?」という大きな問題がその前に立ちふさがります。どのようにして「渋谷でとれたハチミツ」が店頭に並ぶまでになったか、続きは以下のリンク先でご覧ください。

【渋谷×ミツバチ】都心で広がる温暖化・ヒートアイランド対策 | Mugendai(無限大)

(ライフハッカー編集部)