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満員電車に揺られての会社と自宅の往復がしんどいと思っている会社員は多いはずだ。通勤・帰宅時のラッシュを避ける方法としては、「電車に乗る時間を変更する」「住んでいる地域を変更する」「通勤手段そのものを変更する」などがある。そして通勤手段そのものを電車から変更する場合は、自転車を選ぶのがいいようだ。

海外のさまざまなニュースを報じる「MailOnline」にこのほど、「自転車通勤と健康の関係」に関するコラムが掲載された。最近発表された研究によると、自転車通勤をすればガンや心臓疾患、早期死亡のリスクが軽減される可能性があるという。

グラスゴー大学の研究者チームは26万3,450人の中年男女を対象に5年間の追跡調査を行い、ガンと心臓疾患に罹患するか、死亡するか否かの記録をとった。得られたデータを分析したところ、徒歩通勤で1週間に6マイル(約9.6km)歩く人は、自動車や公共交通手段を使って通勤する人と比べ、心臓疾患に罹患するリスクが27%低かったとのこと。しかし、徒歩通勤はガンや慢性疾患の予防にはならなかった。

一方で自転車通勤をしている人は、その距離に関わらず、ガンや心臓疾患に罹患したり5年以内に死亡したりする可能性が、徒歩通勤者と比べて40%少なかった。

グラスゴー大学のジェイソン・ギル博士は「通勤に自転車を使うと、健康リスクを大幅に低減することができた」と語る。共同研究者のカルロス・セリス-モラレス博士は、自転車を運転すると長い距離を走るので、ウォーキングよりも健康によいのだろうとの見解を示している。

イギリスでは成人の7%しか定期的に自転車通勤をしておらず、毎日している人は4%に過ぎないとのこと。さらに、成人の1/4は1週間に30分間の早歩きやサイクリングをしておらず、ここ10年間、自転車通勤者の数は同じだという。今回の研究結果を受け、グラスゴー大学の研究者チームは、慢性疾患を予防するためにも多くの自転車専用レーンを作るといった「段階的変化」が必要だと提唱している。

「身体を動かすことがガン予防につながります。今回の研究によって、日常生活に身体を動かすことを取り入れることが潜在的に有益だとよくわかります。少し汗をかき、息切れがするようなことが健康にはよいのです」とイギリスガン研究健康情報官のクレア・ハイド氏は語っている。

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○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

(杉田米行)