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●コラボに力を入れ始めたスシロー

あきんどスシローがコラボスイーツに力を入れている。VERY FANCY監修のパンケーキに続き、17日に発売したのがアロハテーブル監修の「ハワイアン・フレンチトースト」だ。コラボスイーツに力を入れだしたのはなぜなのか。理由に迫ると、女子高生、コンビニの存在があった。

○寿司同様の柱に

回転寿司屋のデザートといば、アイス、パフェ、プリン、ケーキといったところが大方のイメージだろうか。調べれば、冷やし白玉ぜんざい(かっぱ寿司)、かき氷 宇治金時(くら寿司)、きな粉と宇治抹茶のわらびもち(はま寿司)といったように和風デザートも増えている。スシローにもアイスやケーキ、パフェのほか、わらびもちもあり、和洋のデザートを揃えるが、最近は"コラボ"に力を入れている。

スシローは昨年11月、東京・代官山で行列が絶えない人気店「VERY FANCY」監修のパンケーキを発売。SNSで話題になり、即品切れになるほどの好評を得た。最終的には約100万食を販売したという。

次いで発売したコラボデザートが、「ハワイアン・フレンチトースト」である。ゼットンが展開するハワイアン・カフェ&ダイニングのアロハテーブルが監修したもので、フレンチトーストの上に、フローズンのバナナ、マンゴー、べリーとバニラアイスを添えたものとなる。ハワイなのにフレンチトーストとは意外だが、ハワイで人気であり、フレンチトーストに決まったという。

●コラボの背後に女子高生とコンビニあり

食べてみると、ひんやりとして、くどくない甘さが口の中に広がり、暑さのピークを迎えるこれからのシーズンにマッチしそうだ。値段が700円だと提示されれば、妥当とも思えるほどのものであり、これが280円で販売されるということに驚きを覚える。味、値段ともに、回転寿司屋のイメージを大きく変えそうだ。

とはいえ、スシローは回転寿司屋。寿司を食べるために行くのであり、デザートは主役ではない。しかし、あきんどスシローの野口清史広告宣伝部長は、寿司同様に「もうひとつの太い柱としてデザートをやっていきたい」と話す。

○コラボスイーツを推し進めたもの

デザートに力を入れるのは、お客を呼び込めるとわかったからだ。それを証明してくれたのが女子高生だった。

部活帰りにスシローに寄り、デザートを食べる。その後で寿司を食べ、自宅に帰って行く。そんな光景を目にして、デザートで集客できることがわかったのだという。

回転寿司に女子高生のグループというのは意外だったのだが、スシローは地方・郊外に多く出店しており、野口氏の言葉どおりなのかもしれない。

スシローをはじめ、回転寿司屋が提供するデザートは価格が安い。ファミリーレストランでパフェを食べようとすれば、700円前後はかかるが、回転寿司なら女子高生でも出せる金額だ。そして、女子高生が訪れる時間帯は、お客が少ないアイドルタイムに相当し、お客を呼べるならば……ということでデザート強化に乗り出したとのことだ。

もうひとつ理由がある。それはコンビニの存在だ。お寿司を食べて帰っていくお客。その人たちが次に向かうのがコンビニだ。コンビニのスイーツは今や秀作揃い。回転寿司でありきたりのデザートを食べるくらいなら、コンビニで買って食べるという人たちが少なくないのだという。

こうしたお客の動きを察知したことで、デザートを提供するなら「本当においしいデザートを」ということで始めたのがスシローのコラボデザートとなる。女子高生を魅了し、コンビニデザートにも負けない品質を保ちつつ、280円での展開には苦しさもありそうだが、経営上の課題を緩和するための商材ともいえそうだ。

●次のコラボの展開は?

○気になる次のコラボデザートは?

大きな反響を生んだ第一弾コラボでは来客数の増加に貢献した。第二弾の成果はまだ出ていないが、その味からは期待できるところだ。今後については「相手もいることなので……」と前置きしつつも、3カ月おきに1商品を出していきたいという。

気になるのは、次のコラボデザートだ。第一弾はパンケーキ、今回の第二弾はフレンチトースト。パン系のデザートに寄っているようにも思われ、第三弾もその路線でいくのかと思われた。しかし、このあたりはこのあたりはSNSを参考にしたためだという。

SNS上の人気スイーツが1位がパンケーキ、2位はドーナツ、3位はフレンチトーストであり、コンビニとかぶるドーナツを外して打線を組んだのだ。

もうひとつ、コラボ相手も気になるところ。これまでは都心の人気店をコラボ相手としてきた。実はそこにも理由がある。「人気店の味を地方・郊外へ」という狙いがあるからだ。別の見方をすれば、スシローとコラボ相手の商圏がまったくかぶらず、お互いのメリットになるということでもあるのだろう。

いずれにせよ、全国チェーンと組むようなことは現在のところは考えていないようだ。都心の人気店と人気スイーツランキングを参考にすれば、次の展開がなんとなく予想できるかもしれない。次のデザートはどんな驚きを提供してくれるのか、今から楽しみである。