NMB48の創設メンバー上西恵(22)が18日、大阪・NMB48劇場で卒業公演を行い、約6年半の活動に終止符を打った。

 「私を変えてくれた皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです」。涙声で、ファンに御礼の気持ちを伝え、頭を下げた。

 上西は10年秋の1期生。「滋賀の田舎から自信満々に出てきて、入ってみたら何もできなくて…」と言い、活動を振り返ると、何度も言葉を詰まらせた。

 山本彩(23)、OGの渡辺美優紀、山田菜々らAKB48グループきってのダンサーに囲まれ、どんどん自信を喪失。そんな自らを応援してくれたファンがいたからこそ「今私がここに、このステージに立っています。皆さんがいなければ、もっと早くに辞めていました」。一昨年の選抜総選挙では自己最高36位まで押し上げてくれたファンには、感謝しかない。

 最後の曲に選んだのは、最新シングル「僕以外の誰か」に収録されている最初で最後のセンター曲「途中下車」。昨年6月に加入した妹の怜(15)も加わったユニット曲だった。

 上西は「NMBが大好きで、本当にもう、こんな楽しい時間はないと思う」と言うほど、NMB48愛にあふれ、充実した活動だった。その中で「思い残すことは、せっかく妹も入ったのに、もう少し一緒に何かしたかった。それだけです」と話していただけに、最後のナンバーに妹との共演曲を選んだのは必然だった。

 上西は、今月10日のオリックス劇場での卒業コンサートでも、怜と組んだ「ハートの独占権」を披露していた。そんな姉の涙ながらのあいさつを怜は、しっかりと見つめていた。

 この日の卒業セレモニーでは、盟友の山本彩が手紙を読み上げた。

 山本はAKB48との兼任時代もあり、昨年からはソロ活動を始め、つねに同じチームNで、副キャプテンをたくしていた上西は、「腹心」でもあった。

 山本は「困ったメンバーの話を聞き、絶対に仲間を置いていかない。私がいないとき、メンバー1人1人の体調まで報告してくれて、だから私はチームを離れても安心していられた」と読む途中、何度も言葉が出てこず、涙を流した。

 以前、上西は卒業を決意したものの、翻意したことがあった。一連の経緯を相談されていた山本は「1度は卒業を思いとどまってくれたから、だからこそ、もう次は(翻意は)ないと覚悟していた」と、昨年10月の卒業発表を思い、天をあおいだ。

 山本は「正直、明日から上西がいない現実が始まると思うと、不安要素ばかりだけど、でも、上西が守ってくれたこのNMBを、今度は自分自身がすべてをかけて、守っていきたい」と約束していた。

 上西はこの日で活動を終え、今後はしばらく、将来を熟考する。