ある日姉が

「前みたいに歩けるようになったらいいのにね。」と母に話をしていました。

すると母が、

「歩けるで。 あっちで歩いとる。なんか、つかまるもんあったら歩ける。」と言うのです。

二人してびっくり、とりあえずつかまる物を探します。

一番安全な方法として二人で両脇から支えることにしました。

両脇から支えて母を立たせると、一歩、一歩、歩き出すのです。

「おお~歩けるやん。すご~い。」

翌日、デイケアのお迎えのとき、ヘルパーさんに聞くと、施設の中で車椅子を押して歩く練習をしている。と聞きました。家でも歩く練習をしようと思いましたが、補助できるのは私一人。一人でも安全に歩く練習が出来る方法を考えなければなりません。そんな時、

夜寝ていると、ドン、ドン。 ドン、ドン。 異様な音に目が覚めます。

どこで鳴っているのかわかりません。薄明かりの中、もうろうとした頭でとりあえず母の様子を見に行きます。

部屋の扉を開けると人影が・・・・思わず飛びのきました。

よく見ると、

母が床に足を投げ出した状態で座っていました。

なんで母がここにいるの。ベッドからどうやって降りたのだろう・・・。  一瞬パニックです。

[どうしたん。]と声をかけると

[便所に行く。]

トイレに連れて行くには車椅子に乗せなければなりません。母をベッドに戻そうと抱え上げるのですが、母の足ががすべって抱え上げることが出来ません。起き抜けで力も出ません。仕方がないので主人を起こし、ベッドにあげてもらいました。

トイレの後、母に話を聞くとベルを鳴らしても誰も来ないので自分でトイレに行こうとベットを降り、ドアの前まで来たけれどドアのノブがとどかず、壁を叩いていた。と言うのです。感心するやらあきれるやら・・・

数日後、再び、ベッドから降りていました。

「ベッドから降りたらあかんやん。」と言うと

「なんでや。」

「私ではベッドに上げられん。」と言うと

「上げられんかったら下に布団敷いてくれたらええやん。」

「下におったら、トイレに行かれんし・・・・・・」

私の負担が増える。

母にとっては自力でベッドから降りれたことがうれしかったと思いますが、今なら少し補助するだけで自分で動けるようになっています。勝手に降りて骨折でもしたらと思うと、寝たきりの時の状態を考えるともう無理。母には悪いと思いましたが家で歩く練習をするのはやめました。

ベッドから降りることはなくなりました。

 

 

 

 

 



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