鴻海・郭氏「東芝を助けられる」 半導体出資に意欲
【広州=伊原健作】台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘董事長は1日、分社化が決まった東芝の半導体メモリー事業について「我々は東芝の経営を助け、資金をつぎ込むことができる」と出資に強い意欲を示した。出資について郭氏本人が公の場で発言するのは初めて。
1日午後、広州市内で開いたパネル工場の起工式で記者団の質問に答えた。郭氏は「我々は製造サービス企業であり(半導体メモリーの)アンチ・トラスト(独占禁止法)が問題にならない」と指摘。入札に参加するとみられる米半導体大手などを意識し優位性をアピールした。さらに「(資金支援をして)中国に工場を建設するよう誘うこともできる」と話した。
出資の狙いは人工知能(AI)などの発展で成長するデータセンター需要への対応だと明らかにした。鴻海はデータセンター向けのサーバーの生産も手がけている。
東芝の主力、NAND型フラッシュメモリーは最新の記憶媒体ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)に使われる。SSDはデータセンター向けの需要拡大が確実視されており「SSDは省エネルギー性に優れ、未来の産業のカギを握っている」と力説した。
郭氏は「我々は東芝を非常に長い間、研究しており、自信と誠意を持っている」とも話した。「東芝が日本にとどまれるよう助けられるし、世界での製品販売も支援できる」と強調。加えて「(買収した)シャープでは財務問題に取り組んだ。この経験を東芝でも生かせる」と話した。