ファーストリテイリング柳井正社長「革命を起こす」有明プロジェクト発表

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 ファーストリテイリングが3月16日、2月から稼働している有明の新社屋UNIQLO CITY TOKYOで「有明プロジェクト」の取り組みを発表した。柳井正 代表取締役会長兼社長は、これまでの製造小売業から「情報製造小売業(=DIGITAL CONSUMER RETAIL COMPANY)に変える」と宣言。従業員の働き方から産業構造まで、全社的にあらゆる改革を進めていくことを説明した。

 プロジェクトでは具体的に「服を作る人と着る人の境をなくす」「一人一人に寄り添う」「次の世代に繋がるサステナブルな社会を作る」の3つの実現を目指す。これまでは全世界で10万人を超える従業員が縦割りの構造で働いていたが、部門ごとにワンチームで連動し、かつダイレクトに世界中とつながっていく働き方に変える。商品の作り方では、作ったものを売るという従来のやり方から、情報プラットフォームをベースにAIなどテクノロジーを活用し、客の要望をリアルタイムに近い形で商品化に反映するなどサプライチェーンのスピード化を図る。UNIQLO CITY TOKYOにはオフィスの他に約2万2,000坪の物流倉庫を備え、最先端のテクノロジーを導入。客との接点については、すでに展開しているサイズオーダーの仕組みを充実させ、またコンビニエンスストアとの提携を広げて従来のセブンイレブンだけではなくローソンとファミリーマートでも商品を受け取れるようにする。これまで掲げてきたコンセプト「Made For All」から一人一人にジャストフィットする「Made For You」に変えるなど、様々な側面から「革命を起こす」(柳井社長)という。

 柳井社長は、従来のファーストリテイリングについて「デジタルとグローバルの時代に働き方が伴っていなかった」と捉え、数年前から「有明プロジェクト」を構想。2月から本格的に始動した。「今日の仕事を今日のためにするのではなく、明日の仕事をどうするか。我々は未来を作る仕事をしている。一人一人、社員全員がビジネスリーダーになる。そんな働き方に変えていきたい」とし、改革と実践の拠点としてUNIQLO CITY TOKYOをグローバルイノベーションセンターと位置付けた。情報とテクノロジーを最大限に活用して双方向のコミュニケーションを重視し、かつ「誰にも負担をかけない」という新しい物流と産業を世界単位で形成していくことを強調。プロジェクトのスタートから約1カ月を振り返った柳井社長は「ようやく具体的に始まったところ。エンドはないが、手応えは十分にある」と自信を見せた。

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