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死ぬまで年収300万円…ブラックか低年収の現場でしか稼げない40代SEの悲哀

 働き盛りの30~40代。賃金カーブも右肩上がりの時期に伸び悩み、年収300万円に甘んじてしまう“稼げない病”に罹る人が増えているという。マジメに働いているにもかかわらず、なぜ低年収に陥ってしまうのか。貧困とは違うニュープア層の実態に迫る! ●井本昭英さん(仮名・41歳)の場合 …年収330万円/既婚 子供3人 東京の医療機器メーカーに就職するも、親の病気で帰省を余儀なくされ、地元・九州のソフトウェア開発会社に転職。以降、SEとして過酷な労働環境のブラック企業を渡り歩く

ブラックか低年収か。残業200時間の現場でしか稼げないSEの悲哀

ブラック企業 いわゆるIT土方として20年。ソフトウェア開発会社でSEとして働く井本昭英さんは、これまでの労働環境をこう振り返る。 「床に段ボールを敷いて、毎日3時間の仮眠だけ。1か月泊まり込みで作業する……若い頃はそんな生活が普通でした。会社の倒産で給料と経費合わせて100万円の未払いを泣き寝入りしたことも。ブラックな職場ばかりでしたね」  とはいえ、過酷な長時間労働の対価は年収450万円。家賃7万2000円のRCマンションでの生活を手に入れていた。しかし、ある日、体が悲鳴を上げる。 「管理システムの不具合を修正するために2か月間、暗い工場の一室でモニターを見続けていたら、深刻なドライアイに……。休職せざるを得なくなりました」  傷病手当をもらいつつ、転職活動をした結果、今の会社に転職できたという井本さん。だが、年収は330万円までダウンした。 「近所で家賃が一番安い月4万8000円の木造の平屋に引っ越しました。子供は小学生が3人いるんですが、個室を与えることもできず、寝室は2段ベッドでいっぱいに。子供が大きくなったら、自分は台所で寝るしかありません」  低年収が嫌ならブラックしかないとは、まさに究極の選択だ。 ― [死ぬまで年収300万円]の病巣 ―
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