今年はボルボ「XC60」が制した(写真は日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイトより)

12月11日、今年の「年クルマ」を選出する「日本カー・オブ・ザ・イヤー(略称:COTY:Car of the Year Japan)2017-2018」の最終選考会が行われ、ボルボ「XC60」がイヤーカーに選ばれた。COTYは1980年から開催されているが、輸入車の受賞は2013年のフォルクスワーゲン(VW)「ゴルフ」以来、2度目となる。

XC60はボルボの3割を占めるヒットモデル

ボルボ「XC60」は10月16日に発売されたばかりの新型クロスオーバーSUVだ。2008年の初代登場以来(日本での導入は2009年)、世界累計で約100万台が売れているヒットモデル。現在ではボルボの世界販売台数の約3割を占める。排気量2000ccのガソリン、ディーゼルエンジン、電気モーターを組み合わせるプラグインハイブリッドの3タイプをそろえる。車両本体価格は599万〜884万円という高級車である。

今年のノミネート車両は2016年11月1日から2017年10月30日までに国内で発表/発売されたモデルで、自動車メディアを中心に構成されるCOTY実行委員会が選任した60人の選考委員によって、1次選考で選出された10台のモデル(10ベスト)を対象に採点を実施。ちなみに採点には以下のルールがある。

1 持ち点は25点
2 最も高く評価した1台に10点を入れる
3 残りの15点を4台に配点する(ただし9点以下)

その最終結果が下記である。

1位 ボルボ「XC60」 294点
2位 BMW「5シリーズセダン/ツーリング」 242点
3位 トヨタ「カムリ」 232点
4位 スズキ「スイフトシリーズ」 210点
5位 ホンダ「N-BOX/N-BOXカスタム」 189点
6位 レクサス「LC」 115点
7位 アルファロメオ「ジュリア」 89点
8位 マツダ「CX-5」 83点
9位 シトロエン「C3」 35点
10位 フォルクスワーゲン 「ティグアン」 11点

COTYの歴史を振り返ると、これまで上位2台が僅差の争いを行うことはあったが、複数台で接戦になった例は恐らく初めて。選考会ではランダムに選考委員の採点が読み上げられ点数を加算していき、例年では比較的早い段階で「これは決まりでしょう!!」という流れになるのだが、今年は最後の最後まで「いったいどうなるの?」といった状況だった。


次点はBMW「5シリーズ」だった

近年まれにみる混戦の理由の1つとしては、「航続距離大幅アップ」と自動運転技術「プロパイロット」を武器に2代目に進化した日産自動車のEV(電気自動車)「リーフ」が、完成検査問題を受けてCOTY選考対象から辞退したことも大きかったのも事実である。

そういう意味では「今年のCOTYは本命なき戦い」と揶揄する人もいるが、筆者の考えは非常に単純で、いいクルマが多いことから最高得点10点の配点が分散されてしまった、と思っている。

60人の選考委員が10点を投じたモデルは下記である。

1位 ボルボ「XC60」 9人
2位 BMW「5シリーズセダン/ツーリング」 4人
3位 トヨタ「カムリ」 14人
4位 スズキ 「スイフトシリーズ」 11人
5位 ホンダ 「N-BOX/N-BOXカスタム」 10人
6位 レクサス 「LC」 8人
7位 アルファロメオ 「ジュリア」 2人
8位 マツダ「CX-5」 0人
9位 シトロエン「C3」 2人
10位フォルクスワーゲン 「ティグアン」 0人

このように総得点で3〜5位のモデルのほうが10点の配点が多い。ちなみに昨年を振り返ると、10点を投じたモデルはイヤーカーとなったスバル「インプレッサスポーツ/G4」が25人、2位のトヨタ「プリウス」が22人だった。

突出こそしていないが多くの選考委員から支持を集めた

となると、重要なのは残りの15点をどのように配点するかなのだが、ここでボルボXC60に配点をした選考委員を見ると60名中54名。そういう意味では、今回の結果はモータースポーツの世界で言う「優勝回数は少ないが確実にポイントを稼いでタイトルを獲得」に近いのかもしれない。とはいえ、つまり、多くの選考委員が「いいクルマ」であると判断したことも事実である。

ちなみにCOTY選考委員の配点は日本カー・オブ・ザ・イヤーの公式サイトで全て公開されているが、筆者は下記のように配点した。

・スズキ「スイフトシリーズ」 10点

ボルボ「XC60」 6点

・ホンダ「N-BOX/N-BOXカスタム 4点

・BMW「5シリーズセダン/ツーリング」 3点

・トヨタ「カムリ」 2点

このように筆者は今年のイヤーカーとは違うクルマに10点を投じているが、今年のイヤーカーとなったボルボXC60素直に称えたいと思う。一度試乗してその実力を体感してほしいところである。

ちなみに点数は一人歩きしがちながら、重要なのは各選考委員が10点を投じたモデルの「選考理由」であり、そちらも日本カー・オブ・ザ・イヤーの公式サイトに掲載されている。

ネット上では輸入車がCOTYを獲得したことに加え、比較的高価格帯かつボディサイズも大きなXC60がイヤーカーになったことに対し否定的な意見も聞く。日本人としては「日本車頑張れよ!!」といった想いもわからなくないが、海外のカー・オブ・ザ・イヤーを見ても必ずしも自国のモデルばかりが受賞しているわけではないことも認識してほしい部分だ。