SIHH2017で発表された新作を紹介していきます。今回は、A.ランゲ&ゾーネ。SIHH期間中に創業者一族であり、ブランド復興の立役者でもあるウォルター・ランゲ氏の訃報があり、その悲しみを乗り越えての新作発表となりました。

 

第5弾“プール・ル・メリット”堂々完成

A.ランゲ&ゾーネは、毎年、新作の主役となるモデルを巨大なオブジェとしてブースに展示するのが恒例となっています。2017年に大型化されたのは、ブランドが誇るコンプリケーションの「トゥールボグラフ・パーペチュアル“プール・ル・メリット”」。鎖引き機構が組み込まれたハイコンプリケーションです。

↑A.ランゲ&ゾーネ「トゥールボグラフ・パーペチュアル“プール・ル・メリット”」48万ユーロ(予価)/Ref.706.025/世界限定50本

 

プール・ル・メリットとは、1740年にプロイセン王国で制定された勲章のひとつで最高の名誉勲章と言われたもの。その名を冠したモデルを、A.ランゲ&ゾーネはこれまでに4作発表しており、本機で5作目となります。

搭載する手巻きCal.L133.1は、永久カレンダー、クロノグラフ、ラトラパント、鎖引き(チェーンフュジー)動力伝達、トゥールビヨンという5つの複雑機構を集約。総パーツ数は、684個(676個で構成されるチェーンは1つの部品としてカウント)にも及びます。

従来モデルに比べると、カレンダー機構が追加された本機はトゥールビヨン装置と文字盤の位置関係が広くなっています。そのためキャリッジを支えるブリッジが、文字盤からくぼむように設計されました。A.ランゲ&ゾーネほど品質にこだわるブランドになると、わずかな曲面が増えただけでも仕上げの手間が倍増することは、想像に難くありません。

 

先述の通り5つの複雑機構を備えているわけですが、そのうちの2つは精度維持のための機構。鎖引き動力伝達機構でパワーリザーブ持続時間中のトルクを一定に保ち、さらにトゥールビヨンで重力負荷を分散することで、安定した高精度を得るのです。

 

このように徹底的に精度にこだわった複雑時計は、プラチナケース仕様で世界限定50本となります。

 

十進式でチャイムが鳴る“時打ち時計”の3作目

「ストライキングタイム」「ミニッツリピーター」に続く、ツァイトヴェルクの“鳴り物系”第3弾は、正時と毎10分に音で時を報せるソヌリです。ストライキングタイムでは15分、30分、45分でしたが、最新作では10分で1回、20分で2回、30分で3回…と、10進式でチャイムが鳴ります。

↑A.ランゲ&ゾーネ「ツァイトヴェルク・デシマルストライク」1408万3200円(予価)/Ref.143.050/世界限定100本

 

ツァイトヴェルクの特徴である瞬転式数字ディスクで表示される時間と分の表示が、そのままチャイムで鳴るため直感的にもわかりやすいです。

ソヌリをOFFにしたい時は4時位置のボタンを押すとハンマーがゴングから離れて固定された状態に。リューズを引き出した際にも同様の状態になるそう。ハンマーとハンマーの受けにある微細な凹凸は、職人の手作業によるトランブラージュ仕上げです。

 

昨今では、リピーターウオッチの響きを考慮してチタンをケース素材に採用するブランドが多いですが、A.ランゲ&ゾーネは、独自の合金ハニーゴールドを選択。限定本数は100本です。

 

 

レギュラーモデルからも新作が充実

非限定モデルでは、先行発表された「ランゲ1・ムーンフェイズ」の正式公開や、A.ランゲ&ゾーネでは2型目となる年次カレンダー搭載モデルも発表されました。

↑A.ランゲ&ゾーネ「1815アニュアルカレンダー」461万1600円(予価)/Ref.238.032

 

サクソニアで発表された1型目のモデルではラージサイズデイトがありましたが、最新作では1815というコレクションの特性に合わせてクラシックなデザインが採用されています。

↑A.ランゲ&ゾーネ「1815アニュアルカレンダー」461万1600円(予価)/Ref.238.026

 

今年も期待通り世界最高峰の技術力を発揮して私達の目を楽しませてくれたA.ランゲ&ゾーネ。ブランドの精神的支柱だったウォルター・ランゲ氏も、きっと天国から新作の出来栄えに満足しているに違いありません。