教育費や学費の準備に使う「学資保険」。そのメリットとデメリット、選び方について、ファイナンシャルプランナー(FP)の風呂内亜矢さんに聞きました。

 子どもを持つ親にとって、教育資金の確保は頭を悩ませるトピックの一つ。そこで、教育費や、学費の準備に使う保険としておなじみの「学資保険」への加入は、その解決策に挙げられるのではないでしょうか。学資保険のメリットとデメリット、その選び方について、ファイナンシャルプランナー(FP)の風呂内亜矢さんに聞きました。

 学資保険には、大きく分けて「貯蓄性のある保険」と「親に万が一のことがあったときに保障を行うための保険」の2種類があります。貯蓄部分と保障部分の比率は保険会社によって異なり、貯蓄性のものでも満期のタイミングだけお金がもらえるものや、中学、高校、大学入学時にそれぞれお金がもらえる設計のものもあります。

 純粋に貯蓄のためだけを考えるのか、それとも保障も加えるべきなのか、学資保険自体のメリットとデメリットも考慮しつつ、ライフプランに合わせて検討していく必要がありそうです。学資保険のメリットとデメリットについて、風呂内さんは以下のポイントを挙げます。

 

学資保険のメリット

1.強制的に教育資金の貯蓄ができる

2.親に万が一のことがあった場合でも教育資金の一部を確保できる

3.生命保険料控除の対象になり、所得控除を受けられる

4.積み立てられている金額の一定額について契約者貸付制度が利用できる

 貯蓄や投資であれこれ考えるのが苦手な人にとって、学資保険は着実に資金を確保することができる方法の一つかもしれません。ちなみに契約者貸付制度とは、解約払戻金の範囲内でお金を借りることができるというもの。住宅ローンの融資にも影響を与えにくく、低金利で借りられて、なおかつ審査も比較的緩やかなのが特徴です。

学資保険のデメリット

1.元本割れすることがある(満期保険金や保障額などが減らされる可能性がある)

2.加入時に確定した運用利率が適用される

3.貯蓄部分、保障部分の比率を理解するのが難しい

4.返戻率が高く見えても、年利で考えると低いこともある

 現在の学資保険は、低金利が続く市場の状況に合わせて金利が設定されています。固定型金利を選択し、将来インフレが進んだ場合には、結果的に学資保険以外の投資商品の方がパフォーマンスが高くなる可能性もあります。また「元本割れ」については、初めから積立金の一部が保障に使われることで、元本が割れる設計になっている商品もあります。一概に評価を下すのが難しいところですが、保障の割合をどう捉えるかがポイントになりそうです。

学資保険に加入する時期

 では、上記を踏まえて、学資保険に加入するとしたら、どの時期が適切なのでしょうか。

 学資保険は、子どもが小学校1年生になるくらいまでを対象に、加入年齢に制限を設けているものが多いです。そのため、たくさんの選択肢から選びたいのであれば、子どもが生まれる前から検討し、生まれたらすぐ加入することもよいと言えます。また、学資保険の代用として低解約返戻金型の保険(支払い期間中の解約返戻金が低く抑えられている代わりに保険料が割安な保険)も最近は人気があります。

 学資保険を選ぶのであれば、貯蓄としての機能、保障としての機能など、条件をしっかりと理解して加入することが大切です。また、学資保険にすべてを求めるのではなく、学資保険でまかなえないところは、貯蓄やその他の運用でまかなうようにするのもよいでしょう。多くの柱を用意しておくことで、より力強く、子どもを支えることができます。

 子どもの教育資金がきちんと確保できれば、必ずしも学資保険に入る必要はなさそうです。学資保険に加入するにしても、そうでない方法を取るにしても、選択肢が多いうちに検討は進めていきたいものですね。

(マネースクウェア・ジャパン提供)