初日の出は、天気さえよければ誰にでも平等に訪れる年に一度のシャッターチャンス。カメラ好きにとっては、年始を飾るにふさわしい絶好の被写体といってもいい。この機会を逃さぬよう、しっかりと準備をして納得のいく新年ファーストショットを目指したい。今回は、素敵な初日の出写真を撮るための3つのポイントを紹介する。

 

1.焦点距離を踏まえて構図を選択する

日の出撮影に絶対に必要な機材というものは特になく、例えばスマホカメラでも日の出を美しく撮ることはできる。ただ、留意したいのはレンズの焦点距離だ。

 

焦点距離が長ければ長いほど、レンズは望遠になって、日の出は大きく写る。必ずしも大きく写せばいいというわけではないが、自分が撮りたい写真の狙いに応じて、あるいは所有するカメラやレンズなどの機材に応じて、前もって写真上での太陽のサイズをイメージしておこう。

 

では、実際に「広角」「標準」「望遠」「超望遠」の4パターンの作例を見てみよう。

 

【広角】

↑広角レンズ(26mm相当)で撮影。焦点距離が24〜35mm相当の場合、太陽は画面上で小さな点として写る。一般的なスマホカメラの場合も、このくらいのサイズになる

 

【標準】

↑標準レンズ(46mm相当)で撮影。焦点距離が40〜70mm相当の場合でも、広角の写真と大差なく、太陽はまだ小さな点だ

 

【望遠】

↑望遠レンズ(150mm相当)で撮影。焦点距離が80〜200mm相当くらいなら、太陽の形がはっきりと分かる程度に大きく写せる

 

【超望遠】

↑超望遠レンズ(480mm相当)で撮影。焦点距離が300mm相当を超えると、迫力を感じるサイズで太陽を表現できる

 

このように、日の出を大きく写したい場合には、焦点距離が300mm相当以上の望遠レンズを用意するといいだろう。太陽そのものを主役にした力強い写真になる。

 

逆に、広角や標準ズーム、またはスマホカメラしかない場合には、風景の一部として太陽を捉え、空全体の見栄えがよくなるような構図を選択するといい。下の写真は、iPhone 7 Plusの広角レンズで撮影したもの。太陽を大きく写すことは最初からあきらめ、ドラマチックな空の模様が際立つように、空部分の面積を広く画面に写し込んだ。

↑ 28mm相当 ISO20 F1.8 1/977秒 WBオート

 

2.暗めの露出で“日の出らしい”写真に仕上げる

カメラの設定に関して気をつけたいことは、「露出」と「ホワイトバランス(WB)」の設定だ。

 

露出は、オートのままで撮ると、露出オーバーになって太陽とその周辺が白く飛び気味になりやすい。丸い輪郭がはっきりとわかる日の出らしい写真にするためには、マイナスの露出補正を与える、またはマニュアル露出モードを使って、やや暗めの露出で撮るのがおすすめだ。

 

【露出明るめ】

↑露出が明るいと、太陽の丸い形が分からない。40mm相当 ISO100 F5 1/200秒 WB日陰

 

【露出暗め】

↑露出を暗めにすると、丸い輪郭が出て、日の出のイメージを強調できる。35mm相当 ISO100 F5.6 1/320秒 WB日陰

 

ホワイトバランスについては、朝焼けの赤みを強調したいときは、「晴天」または「曇天」「日陰」にセットすること。ただし赤みを強くしすぎると、朝日というより夕日のようなイメージになりがちだ。初期設定である「オート」のまま、赤みを抑えて撮ったほうがむしろ日の出らしい雰囲気になることも少なくない。いろいろ試して、好きなほうを採用するといいだろう。

 

3.脇役を写し込んで写真の見栄えを高める

日の出撮影では場所選びも重要なポイントだ。単なる記録ではなく、写真的な見栄えを考えるなら、視界の先に絵になる建造物がある場所から狙いたい。

 

次の2枚は、人気日の出スポットのひとつ、葛西臨海公園から撮ったもの。主役である日の出を引き立たせるための脇役として、城のシルエットを写し込んだ。

↑ 480mm相当 ISO100 F9 1/200秒 WB日陰

 

↑ 186mm相当 ISO100 F5.6 1/3200秒 WB晴天

 

続いての写真は、同じく人気スポットのひとつである羽田空港第2ターミナルの展望デッキから撮影したもの。太陽のみでは単調になるが、飛行機や煙突を組み合わせることで、より印象の強い写真に仕上がった。

↑ 480mm相当 ISO100 F11 1/1000秒 WB日陰

 

こうした人気スポットは混雑するので、事前にしっかりと情報収集したうえで訪れることをおすすめする。また、場所ごとの日の出の時刻や方位はサイトやアプリによって細かく確認できるので、自分なりの初日の出スポットを見つけるのもいいだろう。ぜひ早起きして挑戦してみてはいかがだろうか?