写真集チラ見せ

31歳カトパンが全てを脱ぎ捨て新しい一歩を 初の著作「あさえがお」

【写真集チラ見せ】31歳カトパンが全てを脱ぎ捨て新しい一歩を 初の著作「あさえがお」
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今年4月末にフジテレビを退社、フリーに転身したアナウンサー、加藤綾子さん(31)が書いた初めての本「あさえがお 心のハンドルをぎゅっとにぎる33の言葉」(小学館、1200円+税)は、自身についてとても率直につづっている。

会社員時代は、自分について語るのを禁じ手としてきたという加藤さんだから、これは大胆な挑戦といえる。

エッセーであって、もとより写真集ではないのだが、殻とかよろいとかを脱ぎ捨てているという意味では、まさに一糸まとわぬ31歳の女性の息づかいが感じられる1冊になっている。

加藤さんはこの本で、まず自分の「心のハンドルをぎゅっと握る」33の言葉を紹介する。

「聞いたり、読んだりして心に響いた言葉を必ずメモします。辛くなったり、うまく笑えなくなったりしたら、読み返し、自分を奮い立たせてきたのです」

関係者向けの書籍説明会に自ら登壇した、加藤さん本人による説明だ。

折々に書き留めてきた言葉の主は、吉田松陰からタレントの明石家さんまさんまで、さまざまだが、それら言葉たちに、自分がいかに救われてきたかを書いている。

加藤さんは、さらに家族のこと、自身の体調にまで言及。これまで一切明かしたことがない事柄だという。

言葉を軸に明かされる経験や思いの積み重ね。これこそ、加藤さんがテレビカメラの前で7年半にわたって笑顔を見せ続けられた最大の秘密だと、この本は教えてくれる。

フリーランスという新しい道に踏み出して半年。すべてを吐露するようにこの本を書くことは、過去と未来を整理して次へ踏み出すため、今の加藤さんに必要な作業だったのかもしれない。

もう1人の女性がいる。この本を企画し、編集した小学館の増田祐希さん(28)だ。

子供の頃から「めざましテレビ」(フジ系)を欠かさず見ていた増田さんは、代替わりを続ける女性キャスターが加藤さんになったとき、カメラの向こうの女性と自分の年齢がたいして変わらないことに気づく。

そして、思うのだ。なぜ、彼女は毎朝早い時間から笑っていられるの?

「日々いろいろなことがあるはず。にもかかわらず、毎日笑ってカメラの前に立てる。これは、すごいこと。同じ働く女性として、自分にはできない」

4月に加藤さんがフリーランスになると聞くや、書籍の企画書を一気に書き上げた。加藤さんの笑顔の秘密を知りたい! 思いは届いた。

11月に発売すると、わずか4日で重版。同世代の女性に支持されているのは、増田さんの狙い通りだ。

「30歳前後の女性って、自分を肯定しづらいんです。100パーセントの自分で会社に向かえない。読者は、加藤さんも同じだと知って、自分も頑張ろうと思ってくれる。ポジティブになりましょうと押しつけるのではなく、読者が自然にそう感じられる点が加藤さんの本の魅力です」

自然体の加藤さんを伝える上で、24ページの撮り下ろし写真は必要だった。エッセーだと前述したが、グラビアページもあるのだ。

「初めてお会いした際の加藤さんの私服姿に、私は女性の強さを感じました。そんな服装の加藤さんの写真を読者にごらんいただくことで、素顔を伝えたかった」

前日に台風が通り過ぎ、いっそう青くて高い空が印象的な屋外の写真は、このごろはアートの島として知られる香川県の直島で撮影した。同県高松市での室内撮影と合わせて1泊2日の日程は強行軍だが、以前テレビの取材で同島を訪ねた際より、よほどゆっくり過ごせたという。

この香川行きは、加藤さんが希望した。同県は祖父母の出身地で、その空気を、ゆっくりと感じてみたかったそうだ。

ノースリーブのワンピースや柔らかく流れるようなドレス。撮影で着用した衣装は、スタイリストと一緒に加藤さんが選んだ。

衣装選びに至るまで本人が関与しているこの本は、まさに今の加藤さんの分身といってよいだろう。

「笑顔の秘密を知りたい」という願いがかなった、編集の増田さんの分身ともいえそうだ。

あるいは、立ち止まり、過去と未来を整理したい年頃の、すべての女性たちの分身なのかもしれない。

あなたの心をぎゅっとにぎる、大切な言葉はありますか?(文化部 石井健)

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