敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。今回はアメリカ史に残るスパイ事件のおとり捜査を担当した、元FBI秘密捜査官のエリック・オニール(Eric O’Neil)さんの登場です。

エリック・オニールさんはFBIのテロ対策捜査官時代、スパイ容疑のあるロバート・ハッセンの部下として配属され、密かに上司を見張るおとり捜査を担当していました(詳しくはWikipediaを参照)。彼のおとり捜査は、2007年に『アメリカを売った男』という映画になり、俳優のライアン・フィリップがオニールさん役を演じています。

現在のエリックさんは、Carbon Black社の国家安全ストラテジストであり、スパイ防止活動、サイバーセキュリティ脆弱性評価、諜報活動に関する著名なオピニオン・リーダーでもあり、CNNやブルームバーグ、フォックス・ビジネスなど多数の放送局で全国放送番組へ頻繁に出演し、国家安全速報を論説しています。今回は、そんなエリックさんの仕事術を聞いてみました。

居住地:ワシントンDC

現在の職業:Carbon Black社の国家安全ストラテジスト、Georgetown Group創立者、講演者、スパイハンター、誇り高い父親

仕事の仕方を一言で言うと:飛躍

現在の携帯端末:iPhone

現在のPC:MacBook Pro


略歴と現在の仕事に至るまでの経緯を教えてください。

父は海軍兵学校出身でしたが、私は父の足跡をたどりませんでした。海軍エリート校へ行かなかった埋め合わせに、私はFBIのスパイ・テロ対策秘密捜査官で構成されるエリートチームに入ったんです。

最初のPC(Apple IIgsでした)を持って以来、コンピューターシステム、プログラミング、ハッキング、建築にはいつも興味を持っていました。コンピューターシステムの知識があったせいで、ロバート・ハンセンの内偵捜査官に選任されたんです。そのときの私の尽力で、結果的にハンセンのスパイ活動の動かぬ証拠をつかみ、ハンセンは逮捕され、有罪判決を受けました。

その後、FBIを退職し、政府関係の契約や業務と国家安全法を専門にする弁護士になりました。大手法律事務所に5年間勤務した後、3人の調査員と一緒に Georgetown Groupという会社を立ち上げました。昨年、Carbon Black社の国家安全ストラテジストのポジションについたのですが、このポジションはサイバーセキュリティの経験を生かすにはもってこいなんです。

「これがないと生きていけない」というアプリ・ソフト・ツールは?

情報収集したいときは、iPhoneとiPadを使っています。旅行には必ずKindleを持っていきますね。健康管理アプリのFitbitのおかげでエレベーターに乗らず、いつも階段を使う習慣がつきました。

私のお気に入りのアプリは以下の通りです。

・ あらゆるニュースはFlipboardThe Wall Street Journalで収集しています。

・ WhatsAppで海外の仲間と連絡をとっています。

・ 1SEで瞬時に生活を記録しています(毎日1秒で可能)

・ Google Mapは現代生活の必需品です。

仕事場はどんな感じですか?

私の場合、立ったまま仕事をすると一番はかどるので、集中できるようにスタンディングデスクを使っています。デスクから離れたところに「おじいちゃんの書斎」を彷彿とさせるシッティング・エリアがあるのですが、そこに置いてある3脚のイスのうちの1脚がオフィスにある唯一のイスです。車輪の無いスケートボードみたいに見えるこのカーブしたプラスチックのボードの上に1日中立っています。

スタンディングデスクから一番近い壁はホワイトボードになっていて、さまざまなアイデアや子供のいたずら書き、ToDoリスト、頭の中にあるごちゃごちゃを書き出したもので覆われています。オフィスでは、モニター、キーボード、マウスを使っていますが、自宅では、ラップトップのみで、シンプルにしています。

お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?

Flipboardです。私に合わせてキュレートしたニュースを提供するようにプログラムされたアプリを持っているおかげで、講演で話すことは何であれ最新情報をキャッチアップできています。自分のTwitterで情報を流すときにも使っています。私のFlipboardのマガジンは『Chasing Shadows』という名前なので、興味を持った方はぜひご覧ください。

愛用しているToDoリストマネージャーは何ですか?

iPhoneにもともと入っているリマインダーを使っています。Notesアプリを使うこともありますね。うれしいことに、どちらもMacBookやiPadとシンクロします。

日常の中で「これはほかの人より上手い」と思う作業は何ですか?

仕事の日は、終日1つの作業に集中して、帰宅時間になると完全に切り替えられることでしょうか。おかげで、翌日のために充電できて、気分を新たにできます。ちょうど格闘家が1ラウンド終わるたびに元気を回復してリングに戻ってくるような感じです。そのために実行している儀式やルーティンもあります。

仕事から帰宅して最初にすることは、楽な服装へ着替えることです。スーツやビジネスカジュアルという「制服」を脱ぐという儀式で、仕事の不安やストレスから解放されて、家庭モードになれます。結局のところ、仕事はすべて家族のためにしているのですから。

仕事中は何を聞いていますか?

特に文章を書いたり、契約書や複雑な文書を見直したりするなどの集中しているときは、沈黙を好みます。注意力が散漫になる原因はすべて取り除き、全力投球で作業を完了することが大切です。もっと軽い仕事や簡単なリサーチをしているときは、ポッドキャストかNPRを聞きます。運転するときはポッドキャストが必需品です。

現在、何を読んでいますか? おすすめの本はありますか?

今読んでいるのはロビン・ホブ氏の最新刊です。私自身はテクニカルな文章や分析的な文章をずいぶん書くので、できるだけフィクションを読んで、心に夢を与えています。

どのように充電していますか? 仕事のことを忘れたいときはどうしていますか?

仕事のことを忘れて充電するベストな方法は、妻や子どもたちと過ごすことです。あとは、昔からやっている武術ですね。最近はジムにも入会しました。ワークアウトで良い汗をかくのは、頭を空っぽにする最高の方法です。デッドリフトや飛び蹴りのことだけ考えるので。

睡眠習慣はどのような感じですか?夜型ですか、朝型ですか?

私は夜型です。妻からは「みんなが寝た後に出没する幽霊みたい」と言われています。昔から不眠症なので、眠りにつくのはいつも至難の業です。ジムのクラスへ出るために午前5時から起きていた日の夜は、さすがにすぐ眠りに落ちましたが。

今日あなたがされたのと同じ質問をしてみたい相手はいますか?

脚本家兼映画監督のビリー・レイさんです。

これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください。

父がくれたアドバイスで「睡眠は武器だ」です。父は多くのことに関して完璧に正しい人なので、私は毎晩これをマントラのように唱えています。睡眠をとると頭が整理されますし、その日にあった嫌なことを全部忘れられます。たっぷり眠った後は頭の回転が速くなり、周囲との関係も良くなります。

仕事の本題に入る前のプロセスで最も重要なことは、前の晩にしっかり睡眠をとることです。夜にゆっくり休めると、講演の聴衆と一体になり、心を揺さぶる言葉が見つけられ、一定の速度で丁寧に考えを伝えていくことが、普段より早く達成できます。

そのほかに読者やファンに伝えたいことがあればどうぞ!

仕事は、人生をより良いものにするためにするものです。また、人生の多くの時間は仕事に費やすことになります。私の最も成功したキャリアチェンジは、いろいろな意味でワクワクできてチャレンジに満ちた分野にやみくもに飛び込むことでした。

自分の仕事が好きで、充実感と前向きな気持ちを常に持てば、もう仕事だと思わなくなります。物事がルーティン化し始めて、退屈や行き詰まりを感じたら、変化すべきとき、次の飛躍をすべきときです。


I'm Eric O'Neill, Former Counterterrorism Operative, and This Is How I Work | Lifehacker US

Image: Lifehacker US

Reference: Wikipedia, Carbon Black, Wikipedia, Flipboard, The Wall Street Journal, WhatsApp, 1SE, Google Map, The Next Web, Amazon, Wikipedia