Twitterを愛するユーザーに朗報です。日本のTwitterは好調。東京五輪へ向けて伸び続けます!
「収益も利用も伸びています。2020年の東京五輪がマイルストーン。そこまで右肩上がりに伸ばしていけると思います。グローバルでは人員削減するなかで、日本はマーケティングやセールスの人員を増やします」
Twitter Japanの日本のトップ笹本裕代表取締役が11月1日、BuzzFeed Newsの取材に答えました。
日本の7〜9月の売上高と月間アクティブユーザー数(MAU)は前年の同じ期間を上回りました。今年4〜6月も上回りました。
しかも9月のMAUは4000万を超えたといいます。昨年12月の3500万から約15%も増えました。
LINEの6400万(9月時点)には及びませんが、Facebookの2600万(6月時点)は軽々と超えています。
1人で複数アカウントを使っている人もいるのでは?という疑問もわきますが、笹本代表は「平均2もありません。イッテンいくつです」と話しました。
日本重視
好調の日本。米サンフランシスコのTwitter本社でも日本市場の重要性が強く認識されて「日本ファースト的な考え方は浸透し始めています」と笹本代表は話します。
「日本の意見を強く反映していくのは間違いないですね」「『日本は伸びている。日本でTwitterはどう使われていて、日本にはどんなアイデアがあるかを学んで、反映しよう』というマインドに変わってきています」
なぜ日本は伸びたのか?
これまで日本のTwitterの成長を支えてきたのは10代〜20代の若者でした。「伸び代がないぐらい占有率が高いです」と笹本代表。そこに30代〜40代のユーザが増えたのが成長の原動力になったそうです。
電車の遅延情報や事件・事故、新商品の口コミ——。こうしたニュースを見たり、検索をしたりといった「情報を入手する目的でTwitterを活用するのが日本の特徴」。こうした使い方を「ツイートすることがないから使わない」という人たちにも提案したため、うまくいったそうです。
オリンピック?
なぜ東京オリンピックが目標になっているのでしょう? 笹本代表はこう説明しました。
「日本でTwitterはオリンピックやワールドカップといった行事があるとよく使われます。みんなでひとつのことを共有する熱量がすごく上がるのが日本のカルチャーでしょうか。最も上がるのが東京オリンピックだと思います」
具体的な事業計画は明らかにはしてくれませんでしたが「非常に野望を持った計画」(笹本代表)があるそうです。
課金してください!
これまで不振が伝えられてきたTwitterを愛する人たちからは「課金してください!だから生き延びてください!」という声も挙がります。そんな声を笹本代表にぶつけました。
「ありがとうございます(笑)おかげさまで、いまのところはその必要もなく、日本は成長しています。グローバルでも(1月からは)MAUも伸びています。ここから逆襲だと思っています」
"逆襲"とは頼もしい言い方です。
「ハッシュタグやリツイートといったものを産んだTwitterの原点に回帰しようと小さな修正もしてきました。その結果として、伸びていると思っています」
勝手に計算しました
BuzzFeed JapanはTwitterへの愛があふれるあまりに、世界のユーザーひとり当たり77円を課金すれば広告なしでも黒字になると独自の計算をしました。笹本代表に想いをぶつけると、笑いながらこんな答えがかえってきました。
「ははは。77。いい数字ですね。個人の皆さんに愛してもらえることはありがたいです」
もちろん、すぐに課金をすることはないそうですが、いろいろな方法を考えているといいます。
「Twitter上で多様なことが行われているので、事業化できるポテンシャルはたくさんあります。広告収益だけのモデルでいいのか、いろんな可能性があるということは議論されています」
デマや差別表現の対策は?
Twitterの長年の懸案に、デマや差別発言が拡散することがあります。先月も「東京の停電に乗じて中国人が店の商品を盗もうとした」というデマが広まりました。
愛するがゆえにTwitterには使いやすい場所であってほしいと、笹本代表に訴えました。
「ものすごく心痛いです。(創業者の)ジャックも問題視してきています。いつとはまだ言えませんが、近いところで、安心して使ってもらえる場作りについてお伝えできると思います」
わいせつ広告
Twitterでは9月ごろから「わいせつな広告がタイムラインに流れてきた」というツイートも相次ぎました。デマの拡散と同じように問題です。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
Twitterは以前、限定した企業とだけ広告の取引をしていました。ところが1年ほど前から、お金を払えば原則誰でも広告を流せるようにしたため、審査はしていても、わいせつな広告が流れる結果を生んでしまったといいます。
「(審査をすり抜けようとする人たちと)イタチごっこになって、歯がゆい。危機感をもっています。これだけツイートのボリュームが多い国なので、人力(の審査)だけだと追いつかないので、機械学習を強化し続けています」
さようならVine
Twitterは10月、Vineのサービスを数ヶ月以内に停止すると発表しました。6秒という短い動画にかけるクリエーターの情熱、クオリティの高さからも惜しむ声が絶えません。
なぜこうした決断に踏み切ったのでしょうか?
キーワドはやはりTwitterの原点回帰。笹本代表はこう話します。
「残念な気持ちは否めません。ただ、いま起きていることを瞬時に発信するTwitterと、6秒で表現するために加工するVineは異なるものがあるよねと。いま撮ったものを瞬時に出すということにわれわれの原点を置いて、プロダクトを見直していくなかで、こういう決断になりました」
140文字制限は?
Twitterが140文字の制限を取り払うのではないか——。そんな報道が年明けごろから相次ぎました。実際に5月に公表されたのは、リンクや動画などの文字カウントをやめるという変更でした。
議論には日本の存在が大きかったといいます。笹本代表がこんな裏話を教えてくれました。
「(本社に)日本から切なる思いとして『140文字(制限)は絶対守ってくれ』と理由も含めて、しっかり説明しました。守れたのはよかったです」
「漢字、カタカナ、絵文字。日本語の表現力と(140文字の)カルチャーが合っていて、日本の利用を支えています。『これを崩すのがどれだけ日本にネガティブな影響になるかわかりませんよ』と半分脅しも含めながら(笑)、説明しました」
「『日本だけ140文字にしよう』という話もなくはなかったのですが、そういうわけにはいかないと(笑)。議論のなかでリンクとか(の文字カウント)をはぶけば、十分に英字でも140文字で表現が豊かにできると、いまの最終形になりました」